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2019年2月28日 週刊ダイヤモンド編集部
ムキ出しの国家エゴと止まぬ応酬…今という時代がヤバい理由
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『週刊ダイヤモンド』3月2日号の第1特集は「今が全部ヤバい理由」です。地球規模の影響力を手に入れた超国家企業、魔力を失った市場の守り神、エゴむき出しの国家――。リーマンショックから10年が過ぎた今、これらが三位一体となり「次の危機」への扉を開きかねないリスクが、マグマのようにたまり続けています。三つの危機のうち、最後に紹介するのは、国家のむき出しのエゴです。「ああ、またトランプネタかあ」とまひしてしまうことこそが、危うさを招くのです。(本記事は特集からの抜粋です)
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まるで子供のけんかだ――。米トランプ政権誕生から2年が経過し、もはや、トランプ大統領の国家首脳らしからぬ発言は“日常”になった。
そんな、トランプ大統領誕生をきっかけに、世界はまひしてしまったのだろうか。今、他の国家のトップたちも、エゴむき出しの言動に出ている。
日々のニュースは流れ去っていくから、ついつい忘れがちだが、あらためてまとめて並べてみると、トランプ政権誕生後の異様さが分かる。次ページに、各国首脳のエゴむき出しの発言を並べた。
イタリアの副首相が移民問題は「フランスなど一部欧州諸国が植民地化をやめなかったからだ」と断じると、フランス政府はイタリア大使を呼び出した。さらに、EU(欧州連合)の高官はブレグジットでもめる英国に対して「地獄の特等席が用意されている」と脅しをかけている。
ロシアのプーチン大統領は自国の核兵器が米国のフロリダ州を攻撃するようなアニメーションを流すとともに「無敵だ」と発言。
韓国の文在寅大統領は慰安婦やレーダー照射の問題でひたすら日本を攻撃し、同国の国会議長は「天皇陛下が元慰安婦に謝罪すべきだ」と同調、安倍晋三首相は猛反発している。
本家本元のトランプ大統領は、「正気の沙汰ではない」とか「屈辱的」だとか、ありとあらゆる国にけんかを売って、口汚くののしる。また、その攻撃対象は経営者や映画俳優にも及ぶ。
米国とソビエト連邦の間で起こった冷戦の時代でも、これほどまでに国家首脳が相手国を攻撃することがあっただろうか。一国の政治を任される為政者は、もう少し威厳があり尊敬される人物であったはずだ。
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首脳の強烈発言は
国民の不満蓄積の象徴にすぎない
なぜ、今のようなエゴむき出しで突っ走る時代になってしまったのだろうか。各国の首脳はトランプ大統領の様子を見て、「そうか俺も言っていいのか」とまねしてもいいとでも思ったのか。
そうではない。簡単に言えば、国家首脳の振る舞いは、自国民の不満を受け止めたものだからだ。
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例えば、米国内ではグローバリゼーションや好景気の波から取り残された大衆が、トランプ大統領の出現を後押しした。韓国の文大統領が日本を攻撃するのも、不景気への不満の矛先を日本に向けたいからだろう。
欧州ではポピュリズムが吹き荒れ、各国首脳の中では控えめな発言をし、100万人の移民受け入れを主導してきたドイツのメルケル首相は、与党党首の退任に追い込まれた。
そして、世界中で不満だらけの国民が増えている背景には、世界が成長停滞時代に入ったという大きなうねりがある。
『経済と人類の1万年史から、21世紀世界を考える』の著者、ダニエル・コーエン氏は「経済の急成長は、社会的な緊張を緩和する。というのは、誰もが他者に追いつけると、信じることができるようになるからだ。しかし、この理想の途方もない弱点は、すでに達成した富のレベルにもかかわらず、景気が減速すると、この理想は一気に崩れ去ることだ」と喝破する。
リーマンショック後のようなひどい不景気でなくても、成長が緩やかであれば、多くの人は不満を口にする。まして、一度急成長を体験したことがある人たちなら、なおさらだ。仮に20年前よりも生活の水準が大きく改善していたとしても、急成長の熱狂がなければ不満に感じてしまうのだ。
そして、コーエン氏はそれはいずれ新興国の国民も経験するだろうと予言。すでに中国の成長は落ち着きつつあるだけに怖い予言だ。
折しも、英国の経済誌「エコノミスト」は世界が「スローバリゼーション」の時代に入ったとの特集を組んだばかりだ。
さらに、低成長の経済に「移民・難民」という問題が追い打ちをかける。
米国でも欧州でも中流層が苦しくなり下流に転落しかけているが、下流が担う単純労働は、移民・難民が奪ってしまう。我慢できなくなった各国で反移民主義が台頭しているのだ。移民の動きはやむ気配がなく、世界にはますます大衆の「エゴむき出し」の風潮が広がっていくだろう。
さて、このパートでは、超国家企業の台頭、中央銀行の消え失せた魔力、むき出しの国家のエゴという三つの危機を紹介してきた。実は、その三つはつながっていて、相互に増幅し合うような関係にあるのだ。
GAFAに代表される超国家企業は富の極端な集中をもたらし、格差を拡大させかねない。不満がたまった大衆の意を酌み国家はさらにエゴをむき出しにするが、超国家企業は豊富な資金を背景にロビー活動で揺さぶりをかける。
そして、窮地に陥った国家は中央銀行をまるで自由に使える財布のように扱う誘惑に駆られ、独立を保ちたい中央銀行を苦しめる。中央銀行とGAFAも当然無縁ではなく、富が集中し庶民の賃金が上がらず物価を上げづらくする要因になるかもしれない。
三つの危機それぞれが暴発するリスクがあることは紹介してきたが、この3者が互いに刺激し合うことで危機が増幅して暴発するリスクも高まっているのだ。
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地政学の世界では、トゥキディデスの罠という言葉がある。覇権国家に対して、新興国が争いを仕掛ける構図を指す。『米中戦争前夜』によれば、これまでの歴史でトゥキディデスの罠にはまった16回のうち、戦争を回避できたのは4回だけ。
一方で、『サピエンス全史』では、今の米国と中国は貿易で相互に大きく依存しているため、簡単には戦争は起きないとも述べている。確かに、「お互いに良いことがないなら、どこかで妥協するだろう」とも思える。
しかし、雲行きは怪しい。当初、トランプ大統領の思い付きの“口撃”で幕が開いたかに見えた、米中貿易戦争のフェーズが変わってきたからだ。
トランプ大統領はひたすら「貿易赤字=負け」と捉えている側面がある。また、貿易をめぐる米中の争いは当初は「プロレス」のようにポーズを取っているだけと思われた。
ところが、今ではトランプ大統領のみならず、米国議会が中国への対決姿勢を強めている。ペンス米副大統領や議会はもっと大きな視点、安全保障やテクノロジー、経済覇権に至る分野で中国を本当の脅威と捉えている。
そもそも、『サピエンス全史』が書かれたのはトランプ大統領誕生前。著者で知の巨人として知られるユヴァル・ノア・ハラリ氏も、完全なる預言者ではないのだ。
そして、肝心なのは対中姿勢の背景にある「中国の安価な製品が流れ込んで雇用を奪われている」という米国民の意識は、簡単にはなくならないということ。
三つの危機を米中対立というエンジンが加速させる。耳を澄ませばさらに大きな危機の足音が聞こえてくるのだ。
【今さら聞けない! ニュースの全体像】
抜けるの? 抜けないの? ブレグジット
2016年は世界を揺るがしたニュースが二つもあった。一つは、米国のトランプ大統領を生んだ大統領選挙。もう一つは、国民投票により英国がEUから離脱することを決めた「ブレグジット」だ。EUに対して英国の主権が低下していると感じられることや、移民急増による社会負担の増加への不満が国民投票へとつながったといわれている。
国民投票以降、ブレグジットは一筋縄ではいかない。事態は混沌としているがざっくり説明しよう。まず、国民投票の結果を受けて、英国とEUは離脱案の中身を交渉し始めた。検討事項は、英国がEUに支払う手切れ金の額や、アイルランドとの国境での国境検査を復活させるかどうかなどだ。英国のメイ首相とEUは1年半かけて離脱案をまとめたのだが、なんと19年1月に英国の議会は歴史的大差でこれを否決してしまう。特にアイルランドとの間で自由な移動ができなくなることへの拒否反応が大きかった。
EUとの交渉の期限は3月29日。交渉期限の延期か合意のないままの離脱が考えられるが、後者なら貿易が停滞するなど大きな混乱が予想される。
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