●2019年2月25日午前、沖縄防衛局は埋め立てに使用する土砂の搬出作業を名護市安和の琉球セメント安和桟橋で継続した。 当然だ。 実際の「反対」の票は全有権者115万3589人の37.64%の43万4273人で過半数どころか4割にも満たず「反対が県民の多数意見」とは言い難く、そもそも県民投票には法的拘束力が無いのだから。1996年の県民投票投票率は59.53% (48万2538人・得票率91.26%・全有権者の54.32%が基地の縮小に賛成) 2019年の県民投票投票率は52.48% (43万4273人・得票率71.73%・全有権者の37.64%が埋め立てに反対) 県民の意思を表明する目的の県民投票において投票者に占める反対の割合(71.73%)に大きな意味はなく全有権者に占める反対の割合(37.64%)に意味がある。 これは一般の国政選挙とは異なり 「投票自体に反対」 の有権者や 「反対に投票しない」 ことをもって 「反対ではない」 ことを意思表示していると考える有権者が大量に存在すると考えられるためだ。 ●米軍基地を国内のどこに置くかという判断は国の専権事項である安全保障政策に属する。 憲法は地方自治体の長に安保政策や外交上の約束を覆す権限を与えていない。 最高裁も判断を示しているように基地をどこに置くかの判断に地元の民意は関係ない。 ●米軍基地は現状日本全体の利益を守ると同時に沖縄そのものの安全保障環境を成立させている。 沖縄に米軍基地があることによって今のところ戦場にならなくて済んでいる。 沖縄を「戦力の空白地帯」とすれば沖縄の人たちをさらなる現実的脅威に直面させることになりかねない。 いくら中国人民解放軍でも世界一の軍隊である米軍を正面から敵に回して戦うことは当面避けたいから中国海軍は 「東シナ海・尖閣諸島へ進出はしたいが米軍の影響力が邪魔」 だと思っている。 中国がうまく沖縄の人々や米軍基地反対派を乗せ、米軍の影響力を追い払うことが出来ればむしろその後にこそ沖縄が戦場になる日が近づくことになる。 沖縄県のエゴで日本全体を危険に晒すことは許されない。 反基地イデオロギーに支配された沖縄県政は日本全国にとって危険だ。 ●沖縄県民投票に認められるマスメディアの県民支配 2019年02月27日 16:00 http://agora-web.jp/archives/2037473.html 藤原 かずえ 辺野古埋め立てを問う沖縄県民投票においては有権者の37.65%が埋め立て反対の意見を示しました。 この結果に対し安倍首相は 「結果を真摯に受け止めこれからも基地負担軽減に向けて全力で取り組む」 という見解を示しました。 これは国家のセキュリティに責任を持つ首相が法的拘束力のない意見表明に対して対応可能な範囲で最大限尊重する決意を示したものと考えます。 今回の県民投票をとりまく議論においては民主主義を破壊しかねないいくつかの重大な問題点が存在し辺野古埋め立て反対の論調を持つ偏向マスメディアがそのキープレイヤーとなっています。 明らかに偏向マスメディアは投票前においては情報操作で沖縄県の有権者をミスリードし投票後においては印象操作で国民全体をミスリードしています。 本記事では、これらの問題点についてそれぞれ「直接民主制」「民意」というキーワードを使って分析してみたいと思います。 ■情報操作下における「直接民主制」 2019年2月23日、TBSテレビ『報道特集』では翌日に行われる沖縄県民投票に関連した特集報道を放映しました。 <★金平茂紀氏 「普天間基地の移設先として政府が埋め立て工事を強行している名護市辺野古の海兵隊基地」 「沖縄県民が何度も示し続けてきた民意がこれほど無視され続けた例は戦後の歴史に他にあるでしょうか」 「県民投票という行動を思い立った一人の青年の思いを追いながら問われているものの重みを考えたいと思います」> 民主主義の手続きに従って埋め立て工事を進める政府を【悪魔化】する一方で工事に反対する青年を【偶像化】する金平氏の恣意的なイントロダクションからもわかるように、この番組は、住民投票を行う有権者の【ルサンチマン】[記事]を一方的に刺激して「反対」の投票行動を【内発的動機付け】する内容になっていたと言えます。 一方で番組は、沖縄基地が必要となる直接原因である覇権国家中国の日本に対する敵対行動の実際については一切報じることがありませんでした。 そんな中で興味深かったのは基地移転の当事者の次のような発言です。 <★辺野古商工会理事 「県民投票はやらない方がいいというのが本音ですね」 「おそらく大差で反対意見は出ると思います」 「無意識の意識というか、賛成すると、県民は後ろ指を指されるような思いになる感情を持っているかもしれません」> 辺野古基地の受入れを容認している「直接の当事者」である辺野古商工会理事が「後ろ指を指される思いがあるのでは」と「直接の当事者」ではない県民の気持ちを善意で思いやっている状況は極めて異常であると言えます。 そこには、本来の当事者の意見など介在する余地のない極めて身勝手な反対運動と賛成者を黙らせる【沈黙の螺旋】[記事]が存在していることがわかります。 <★普天間飛行場付近の住民 「自分の家の側にあるのがダメなら他所のところに行くのも向こうに住む人は嫌だろう」> これも「直接の当事者」である普天間飛行場周辺住民が、「直接の当事者」となる辺野古区住民を善意で思いやっている発言です。 辺野古基地においては、実際には飛行機の進入経路が海上となるため、危険性という観点においては辺野古区住民の安全性にほとんど影響を与えることはありません。 このような誤解もメディアが辺野古の状況を適正に報じないことに起因するものです。 以上のように「直接の当事者」である辺野古区住民ならびに普天間飛行場周辺住民の意見が不在のままに、「直接の当事者」ではない沖縄県民が、偏向マスメディアにルサンチマンを刺激されて操られたということが今回の住民投票の結果の背景にあるのは自明です。 ちなみに大票田の那覇市から辺野古基地までは直線距離で約50kmもあります。 多くの那覇市民は 「我々は政府にバカにされている」 と辺野古基地の存在を反対していますが、これは首都圏で言えば、横田基地にの存在について、浦安市や横須賀市や春日部市の住民が 「我々は政府にバカにされている」 と憤慨し反対しているようなものなのです。 そのような実状も十分に承知しているはずの金平氏の偏向リポートが続きます。 <★金平氏 「ここに建設反対派のノボリが立っていますけども、建設賛成派のノボリなんていうのはまったく見当たらないです」> 金平氏はついつい本心が出てしまうようで、反対派のノボリは「ノボリ」、賛成派のノボリは「ノボリなんていうの」と表現しています(笑)。 そして待ってましたかのようにVTRの最後には、玉城デニー県知事が登場し、その政治的主張をしっかりと宣伝しました。 <★デニー沖縄県知事 「”民主主義の根幹””尊厳”が問われている県民投票だと私は思っています」 「どのような結果であれ、この沖縄県民が県民投票にかける思い、願い、その重みというものは、国際社会はしっかりと見ていると思う」 「もう国がやると決めたことは、もう地方自治では反論することはできないのか、そこに生きる国民は何も言うことができないのかということに”一つの形”を示そうとしている」 「日本国民、どこにお住まいであっても、この沖縄の状況をしっかり受け止めていただきたい」> 確かに、今回の沖縄県民投票では「民主主義の根幹」「尊厳」が問われていました。 ただし、それは、マスメディアが主張するような 「虐げられた沖縄県民が自由に意思表明できるか」 ではなく、 「マスメディアが一方的な偏向報道を行う環境下で直接民主制が機能するか」 ということです。 現在の世界の民主国の政治形態のメインストリームは、政治のプロフェッショナルである政治家に政策の決定を委ねる【間接民主制】です。 それに対して今回の住民投票のような【直接民主制】は有権者が直接政策決定を行うものです。 ここで、直接民主制にとって重要なことは、政策決定者である有権者が、自分が真に望む政策決定を判断できるだけの正しい情報を事前に得ていることです。 ところが沖縄の場合、これが極めて難しいのです。 沖縄で新聞のシェアをほぼ独占する沖縄タイムスと琉球新報は、いずれもかなり偏向した論調を持つ新聞社であり、その論調に合致する情報のみを伝えて合致しない情報を葬り去るというあからさまな【チェリー・ピッキング】を行っています。 例えば沖縄タイムスは、1日に複数回にわたり辺野古の活動家の情報を美談仕立てで報じる一方で、尖閣諸島周辺海域における中国船の侵入については1カ月に1回事務的に報じるのがいいところです。 また、基地反対活動家の極めて悪質な挑発行為・暴力行為・違法行為については、あからさまに見て見ぬふりをします。 実際、記者による「見て見ぬふりの行動」は、動画投稿サイトにアップロードされたいくつかの動画によって検証されています。 このような異常な偏向マスメディアの情報操作を受けた一部の沖縄県民が盲目的に反対側に賛同することは自然です。 前出の辺野古住民の言葉から明らかなように、一部の沖縄県民は、自覚しないままに偏向マスメディアに思想を支配され、その思想に反する行動を自由に行えない状態にまで陥っています。 辺野古埋め立て反対の37.65%の数字の中には、このような有権者が多数含まれていることは自明です。 偏向マスメディアが情報を支配する沖縄県において、政治の専門家ではない有権者が適正な情報を得ないままに直接民主制である住民投票が今回行われたということは、民主主義の危機に他なりません。 まさにマスメディアが有権者から主権を奪っているのです。 ■「民意」の数字の独り歩き 特集のVTRが終わると、金平氏が地元のRBC琉球放送の記者にインタヴューしました。 <★金平氏 「県民投票の意義、何が問われていると思いますか」 ★RBC記者 「今回は投票率だったり、どちらの選択肢が多数を占めるかが、県民の選択として注目されています」 「しかし沖縄はこれまでにも国政選挙や県知事選挙で辺野古の賛否という民意は示してきているのですが、政府による工事は進められています」 「日本の安全保障という本来であれば全国で議論されるべき問題がなぜ沖縄で今、住民投票という形で問われなければならないのか」 「国民一人一人が問われているのではないでしょうか」> 地方自治法に定められているように、地方公共団体は 「住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担う」 ものであり、 「国際社会における国家としての存立にかかわる事務」 である安全保障は国の専管事項です。 実際、国民は生存のために安全保障行政を国に委ねていて、多くの国民は安全保障行政を委ねるのに最も相応しい政府を選挙で選択します。 普天間飛行場の辺野古移転は長年にわたる民主主義の手続きによって決定された事項であり、これを住民投票の結果を根拠にして停止させたとしたら、それこそ民主主義の破壊に他なりません。 なお、辺野古の飛行場はキャンプシュワブ内につくる施設であり、けっして新基地ではありません。 飛行機の進入路が海上にあるため、普天間飛行場のように危険ではなく、完成すれば普天間飛行場が返還されます。 辺野古移転は政府による沖縄の基地負担軽減政策に他なりません。 さらに国は、沖縄県に対して通常の2倍規模の多額の国庫支出金を計上して可能な範囲で最大限寄り添っています。 このような背景の中で、マスメディアは政府を一方的に悪魔化し、問題の本質を歪めているのです。 金平氏は最後に感想を述べます。 <★金平氏 「VTRに出てきた元山仁士郎さん達若者世代が必死に動いて県民投票をとにかく実現させたということが大きいと思います」 「日本の他の都道府県でこんなエネルギーがある所はないと思いますね」 「元山さんの言葉を借りますと、どのような結果が出ようが県民の意思を示すこと自体が大事なんだと」 「ここまで県民投票に至る過程で実はいくつもの問題点が出てきました」 「マヨネーズ状と言われる軟弱地盤が工事海域にあることがわかって、工事計画全体のそもそものコンセプトを変えかねないという非常に重大なことです」 「もう一つは海中に投入された土砂の成分が勝手に変更されていて赤土が混入しているのではないかと県が懸念を表明していることです」 「これらの事柄は国・政府が県民に対してきちんと説明しているとは思えません」 「政府がお決まりのように口にしている県民に寄り添うというのは一体どういうことなのでしょうか」 「投票率も気にかかるところですけれども、それがどうであれ、示された民意を真摯に受け止めることが必要だと思います」> 今回一人の青年を偶像化した金平氏ですが、金平氏は2015年の安保法案の時にも、SEALDsの青年を偶像化する【戦略型フレーム報道】を展開し、扇動を盛り上げた成功体験があります。 一方で悪評の流布も忘れてはいません。 軟弱地盤と赤土に関連して不確定な見通しをあたかも事実であるかのように報じています。 そして金平氏の発言の最大の問題点は 「投票率がどうであれ、示された民意を真摯に受け止めることが必要だ」 という箇所です。 反対者の反対者による反対者のための投票で反対者が多数を取ることは、事前に予想され、事実そうなりましたが、金平氏はそれを見越して、投票率はどうであれ結果に従うよう主張したものと考えられます。 住民の意思を表明する目的の住民投票において、投票者に占める反対の割合(71.74%)に大きな意味はなく、有権者に占める反対の割合(37.65%)に意味があります。 これは一般の国政選挙とは異なり、投票自体に反対の有権者や、反対を示さないことをもって反対ではないことを示していると考える有権者が大量に存在すると考えられるためです。 ところが、投票日翌日のマスメディアはこの71.74%をあたかも沖縄県民の71.74%が反対であるかのように大合唱しているのです。 これは、極めて不当な数字の独り歩きに他なりません。 毎日新聞は社説で次のように書いています。 <毎日新聞社説(2019/02/25) 「辺野古」反対が多数 もはや埋め立てはやめよ 辺野古埋め立てへの反対票が多数を占めた。 政府はただちに埋め立てをやめ、沖縄県と真摯に解決策を話し合うべきだ> 毎日新聞は 「反対票が多数あった」 ことを 「反対票が多数を占めた」 とミスリードし、 「埋め立てはやめよ」 と乱暴に主張しています。 法的拘束力のない住民投票の結果に対して 「盲目に従う」 のではなく 「慎重に向き合う」 のが真の民主主義です。 「7割の反対」を事実認定しようとする一部マスメディアの暴走は民主主義への明確な挑戦でありけっして容認することはできません。 ■マスメディアの沖縄県民支配 マスメディアの情報操作下における直接民主制の主権は、沖縄県民にはなくマスメディアにあります。 マスメディアは、この歪めた直接民主制で得た民意の数字をさらに独り歩きさせようと【プロパガンダ】を必死に展開しています。 新聞の発行部数が減少し、テレビの視聴率が低下する中、特殊なメディア環境下にある沖縄は、既存マスメディアによる偏向報道の最後の砦となる可能性があります。 朝日新聞のプロパガンダは現在も続行中です。 <朝日新聞社説(2019/02/26) 政権と沖縄 これが民主主義の国か この事態を招いたのは、沖縄の人びとの過重な基地負担の軽減に取り組むという原点を忘れ、「普天間か辺野古か」という二者択一を迫る政権のかたくなな姿勢にある> この事態を招いたのは、普天間から辺野古が基地負担の軽減になるという原点を忘れ、「辺野古中止」という一者択一を迫る偏向メディアと活動家のかたくなな姿勢にあります。 この偏向マスメディアの一連の無意味な戦略型フレーム報道の被害を受けているのは沖縄県民に他なりません。 マスメディアによって扇動された一部の沖縄県民は、 「政府と本土は沖縄をバカにしている」 「沖縄に新基地はいらない」 という事実誤認の理解不能な根拠によって、普天間飛行場の危険性を早期に排除して基地面積の縮小を実現することができる辺野古への移転を反対しています。 このプロパガンダには、いつかはバレる明らかな論理不全があります。 後世において、普天間飛行場の辺野古移転反対は、国際線の成田移管反対や築地市場の豊洲移転反対とともに 「理解不能の反対」 の典型事例として語り継がれていくことになると考えます。 なお、これらの事例の共通点として、 「特定の政治的イデオロギーを持つ反対活動家の存在」 と 「偏向マスメディアの強力な支援」 が挙げられます。 この組み合わせが偶然なのか、偶然でないのかは、残念ながら私の知るところではありません。 ●【ノーカット配信】沖縄ヘリパッド移設反対派リーダーが逮捕〜これが暴力行為の決定的証拠だ!【ザ・ファクト】 視聴回数 799,087 回(2016年12月1日現在) https://www.youtube.com/watch?v=8eS4o-CxyjI 2016/10/21 に公開 映像中のピンクの鉢巻きをしている人物、沖縄高江のヘリパッド移設反対派のリーダー・山城博治氏が器物損壊に続き、傷害と公務執行妨害の容疑で再逮捕されました。 番組では、8月5日に、高江の抗議活動を取材。 その際、山城氏を中心とする反対派によって行われた、沖縄防衛局職員への恫喝行為を撮影してきました。 今回、その映像をノーカットでお送りします。 いま、高江の警備にあたる大阪府警の機動隊員が反対派に対し、「土人」「シナ人」と発言し、地元マスコミを中心に、ヒートアップしています。 しかし、大阪府の松井知事が言うように、彼ら反対派もそれ以上のことをしています。 いま話題となっている、「土人」「シナ人」発言は、無辜の市民に向けられたものではないということをこの映像を通して知っていただければ幸いです。 ●【最新版】再び潜入!沖縄ヘリパッド反対派がまた…!【ザ・ファクト】 「THE FACT」 マスコミが報道しない「事実」を世界に伝える番組 チャンネル登録48,018 視聴回数 146,212 回(2016年12月1日現在) https://www.youtube.com/watch?v=I6XufDKN6Wc 2016/11/03 に公開 8月5日 沖縄・高江にいるヘリパッド移設反対派が沖縄防衛局の職員に対し、過激な抵抗運動をしていた動画を撮影した。 あれから3か月近くがたち、現在高江ヘリパッド建設地がどうなっているのか取材した。 高江へリパッド建設予定地は今どうなっているのか―。 そして、そこにいる反対派集団は何をしているのか―。 これが高江の「ザ・ファクト」です。 ●写真、動画あり。 【防衛局・資料】違法かつ悪質な妨害活動の例。新聞の歪んだ記事の紹介【やりすぎ!と思ったらシェア】 2016年11月19日 https://samurai20.jp/2016/11/okinawa-15/ ●辺野古移転の反対を理不尽に正当化する理由なき反抗 2018年12月24日 16:01 http://agora-web.jp/archives/2036321.html 藤原 かずえ 米軍のキャンプ・シュワブ基地(辺野古)の敷地内に滑走路を建設して 「世界一危険な基地」 と呼ばれる普天間基地から飛行場を移転する 「辺野古移転」 は、米軍の制約条件の下で普天間基地周辺の安全を確保できる唯一の方策であり、沖縄県・日本政府・米国の長年にわたる議論によってギリギリ構築されたコンセンサスであると言えます。 この方策に反対することは、移転を更に遅らせ、普天間基地周辺におけるハザード発生のリスクを高めることになります。 また、返還されることになっている普天間基地の土地を運用できなくなり、経済活動における機会損失が発生することになります。 ■なぜ沖縄県民の多くが辺野古移転に反対するのか 海上に進入経路がある辺野古に飛行場を移転すれば、基地周辺住民の安全性が確保され、沖縄の全体の基地面積も縮小することになります。 この2点が実現することは沖縄県民の強い要望であり、辺野古移転は一定の合理性を持っている方策と言えます。 ところが、マスメディアの世論調査によれば、沖縄では辺野古移転反対の意見が多数認められます。 勿論、一定の合理性を持った方策であっても、それ以上の反対理由があれば移転を反対するのは合理的です。 それでは、その反対理由とは一体どのようものなのでしょうか? 実はそれが今よくわかっていないのです。 極めて不可解なことに、地元有力紙の沖縄タイムス・琉球新報、全国紙の朝日新聞・毎日新聞、テレビ放送のテレビ朝日・TBSといった移転反対の論調を持つメディアは、沖縄県に反対者が多いことについては頻繁に報じますが、反対の具体的理由については思わせぶりだけでけっして明示しません。 また、世論調査においても、なぜか反対者に移転反対の具体的理由を聞きません。 さらに、[辺野古基金]や[沖縄平和運動センター]といった反対運動を行っている団体も反対の具体的理由を明示していません。 彼らが掲げている唯一の反対理由らしきものは 「みんなが反対しているから民主主義のために反対している」 ということだけなのです。 ■簡単に論破されてしまう反対理由 辺野古移転の反対派が反対理由を述べない理由として考えられるのが、その理由を述べると、いとも簡単に論破されてしまうことです。 例えば、玉木デニー沖縄県知事は反対の具体的理由を明示している数少ない一人ですが、その内容は次の通りです。 <★玉木デニー沖縄県知事候補(現・同知事) 基地反対について、私が一番訴えたいことは辺野古の新しい基地の建設、そしてそのための埋め立て工事は断念するべきだ、ということです。 この6〜7割の県民の思いは揺るぎません。 このように訴えている理由は、戦後73年経ってもいまだに、日本の0.6%の面積しかない沖縄県に日本の70%あまりの米軍基地が集中させられているためです[記事]> この主張は明らかに不合理です。 既存の基地であるキャンプシュワブへの移転によって基地の面積は減少するからです。 また、キャンプシュワブ内に建設される辺野古の滑走路は新基地ではなく、新たに接収される土地もありません。 さらに 「日本の70%あまりの米軍基地」 という統計値は正確でなく 「日本の70%あまりの米軍【専用】基地」 です。 ちなみに、自衛隊が一部供用する 「米軍一時使用施設」 を含めた 「米軍施設」 という観点では、沖縄のシェアは20%程度であり、自衛隊の専用基地も含めた 「米軍+自衛隊施設」という観点では、沖縄のシェアは15%程度ということになります[記事]。 「日本の70%あまりの米軍基地」 というのは、いわゆる 【半分真実 half-truth】 と呼ばれるレトリックに過ぎません。 一方最近、芸能人のローラ氏が環境破壊を根拠して辺野古移転に反対する[署名]を集めました。 <★ローラ氏 美しい沖縄の埋め立てをみんなの声が集まれば止めることができるかもしれないの。 名前とアドレスを登録するだけでできちゃうから、ホワイトハウスにこの声を届けよう。 芸能以外のことが、すっごくやりたくて[記事]> この主張も明らかに不合理です。 ローラ氏のいう「美しい沖縄」ではこれまでも多くの地点で埋め立て工事が行われてきましたし、今後も10か所以上の地点で大規模な新規埋め立ての計画があります。 環境を問題視して埋め立てに反対するのであれば、むしろジュゴンの出現頻度が高い沖縄本島西岸に位置する現在進行中の那覇空港の増設工事に反対した方が効果的です。 「芸能以外のことをやりたい」 という自己実現目的で目立つネタにとびつくというのはどうかと思います。 ちなみに、辺野古の滑走路の場合には、建設予定地が当初案から移動したため、ジュゴンの餌場とされる辺野古周辺の豊かな海草藻場がそのまま保存されることになりました。 ■ルサンチマン 具体的理由がないのにも拘わらず、沖縄の大衆が自らの要望と矛盾しない辺野古移転に反対する理由として唯一考えられるのが、繰り返されるマスメディアの扇情報道の結果として大衆の内面に生じていると推察される【ルサンチマン ressentiment】の影響です。 ニーチェは、権力者は悪の存在であり権力者に対峙する者は善の存在であると断定することで道徳的に優位に立って権力者を不合理に見下す【畜群 herd instinct】という本能が人間に存在することを指摘しています。 ルサンチマンとは、この畜群の原動力となる妬み・憤慨の感情のことであり、この感情に基づく価値判断の規範を【奴隷道徳 slave morality】と言います。 沖縄の大衆は 「政府は沖縄に寄り添っていない」 という認識をマスメディアから一方的に植え付けられることによって畜群本能を引き出され、奴隷道徳に基づくルサンチマンを発動しているものと考えられます。 ルサンチマンの本質は、権力者よりも高潔な【精神 spirit】を持っている自分でありたいという【自己実現 self-actualization】への【欲望 appetite】を行動原理として【理知 logic】を否定するものです。 ルサンチマンに心を奪われた人間は、【意志 voluntary】を持ちたいという【感情 emotion】の延長線上で【知性 intellect】を嫌悪します。 すなわち【主意主義 voluntarism】の仮面を被った【主情主義 emotionalism】によって【主知主義 intellectualism】を蔑視するのです。 現実を検証することなく、自己実現目的で感情を前面に出して署名を集めたローラ氏はまさにこの典型です。 規範となる道徳に基づく自己実現への欲望という行動原理は、明らかに【宗教 religion】の行動原理と一致します。 ルサンチマンを発揮するに至っている大衆は、説得者であるマスメディアに対して【内在化 internalization】と呼ばれる重いレヴェルの【同調 conformity】をしているものと考えられます。 内在化とは、説得者の考えを正しいと判断して同調するものであり、同調後に態度変化が起こりにくいことが知られています。 ここで、マスメディアが大衆に植え付けた 「政府は沖縄に寄り添っていない」 という認識は明らかに不合理と言えます。 日本政府は、税収が少ない県よりも優先して、普通の県の水準の2倍という圧倒的な額の国庫支出金(全国1位)を私達国民の血税から沖縄県に計上しています[記事]。 政府が工事を急ぐのも、可能な限り早期に普天間基地周辺住民の安全を確保すると同時に基地面積を減らすためと考えるのが合理的です。 政府にはその理由以外に工事を急ぐ理由はないからです。 少なくとも政府は、沖縄の大衆よりは当事者である普天間基地周辺住民に寄り添っています。 辺野古移転が遅れれば遅れるほど困るのは、沖縄県の「数の論理」によって阻害されている「沖縄県内のマイノリティ」である普天間基地周辺住民に他ならないからです。 沖縄県知事選挙では、確かに辺野古移転反対を掲げる玉城デニー氏が全体の約55%の票を集めて当選しましたが、普天間基地が位置する宜野湾市長選挙では辺野古移転反対の仲西春雅氏が落選、辺野古が位置する名護市長選挙では辺野古移転反対の稲嶺進氏が落選しました。 また、地元の辺野古区民は、米軍と長年にわたる交流もあり、辺野古移転を容認しています[過去記事]。 このようなマイノリティの観点から見れば、玉城沖縄県知事は県民投票という数の力を使って少数意見を抑え込もうとしていると言えます。 しかしながら、マスメディアはそのような少数意見を一切無視しています。 マスメディアが認定する沖縄の【民意 public will】とは 「辺野古移転反対」 でしかないのです。 ■エスカレートするマスメディアのプロパガンダ ルサンチマンを利用したマスメディアによる扇動の極みが、2018年12月15日の朝日新聞社説です。 <★朝日新聞社説「辺野古に土砂投入 民意も海に埋めるのか」 安倍政権が沖縄・辺野古の海への土砂投入を始めた。 (中略)「辺野古ノー」の民意がはっきり示された県知事選から2カ月余。 沖縄の過重な基地負担を減らす名目の下、新規に基地を建設するという理不尽を、政権は力ずくで推進している。 「いつまで沖縄なんですか。どれだけ沖縄なんですか」 先月の安倍首相との会談で玉城デニー知事が発した叫びが、あらためて胸に響く。 ▼まやかしの法の支配 政府の振る舞いはこの1年を見るだけでも異様だった。 (中略)政権は聞く耳をもたなかった。 中国や北朝鮮を念頭に、日ごろ「民主主義」や「法の支配」の重要性を説く安倍首相だが、国内でやっていることとのギャップは目を覆うばかりだ。 ▼思考停止の果てに その首相をはじめ政権幹部が繰り返し口にするのが 「沖縄の皆さんの心に寄り添う」 と 「辺野古が唯一の解決策」 だ。 本当にそうなのか。 辺野古への移設方針は99年に閣議決定された。 しかし基地の固定化を防ぐために県側が求めた「15年の使用期限」などの条件は、その後ほごにされた。 そしていま、戦後間もなく米軍が行った「銃剣とブルドーザー」による基地建設とみまごう光景が繰り広げられる。 (中略)既成事実を積み重ねて、県民に「抵抗してもむだ」とあきらめを植えつけ、全国の有権者にも「辺野古問題は終わった」と思わせたい。 そんな政権の思惑が、土砂の向こうに透けて見える。 ▼「わがこと」と考える 何より憂うべきは、自らに異を唱える人たちには徹底して冷たく当たり、力で抑え込む一方で、意に沿う人々には経済振興の予算を大盤振る舞いするなどして、ムチとアメの使い分けを躊躇しない手法である。 その結果、沖縄には深い分断が刻み込まれてしまった。 国がこうと決めたら、地方に有無を言わせない。 8月に亡くなった翁長雄志前知事は、こうした政権の姿勢に強い危機感を抱いていた。 沖縄のアイデンティティーを前面に押し出すだけでなく、 「日本の民主主義と地方自治が問われている」 と繰り返し語り、辺野古問題は全国の問題なのだと訴えた。 (中略)そんな国であっていいのか。 苦難の歴史を背負う沖縄から、いま日本に住む一人ひとりに突きつけられている問いである> この社説では、辺野古移転の反対理由という問題の論点を一切語らずに、まるで共産主義国の[プロパガンダ映画]のようにひたすら政府を悪魔化してルサンチマンを煽りに煽っています。 文章を読む限り、日本政府は日本を支配しようとする悪の結社であるかのようです。 この朝日新聞の造ったストーリーにおける最も大きな論理破綻は、政府が 「自分たちのため」 に何としてでも辺野古移転を行いたいと考えているかのような思い込みです。 日本政府も米国も、沖縄県民が普天間基地を残してもよいと考えるのであれば、辺野古移転を実施する必要はありません。 また、普天間基地を残すのもダメで辺野古移転を実施するのもダメというのであれば日米安保条約を解消するしか解決方法はありません。 この場合、防衛費は現在の5兆円から20兆円に膨れ上がり、日本は重税に苦しむ軍事大国となるはずです。 勿論、この場合には日本国民が安保条約解消を許容するわけはなく、憲法改正してでも辺野古移転を進めるものと考えられます。 この程度の自明なバックワード・インダクションもできずに、誰のためにもならない無責任な扇動社説を書いているプロパガンダ新聞社は淘汰された方がよいと考えます。 マスメディアが政権チェックというミッションを遥かに超えて、束となって政治運動を先導している現状は、1930年代から朝日新聞と東京日日新聞(毎日新聞の前身)が国民を扇動して日本を無謀な戦争に巻き込んだ事例とよく類似しています。 マスメディアに対する監視は、沖縄県民を含めて、いま日本に住む一人ひとりに突きつけられている問いに他なりません。 不良グループに挑発されて無意味なチキンレースに興じることで損するのは自分であると同時に周辺の人をも不幸にすることを大衆はよく認識すべきであると考えます。 「理由なき反抗」はムダの極みです。
|