http://www.asyura2.com/19/senkyo257/msg/925.html
Tweet |
読みが外れまくった共産党・不破氏の「科学の目」ベネズエラ左派政権を評価、後始末に追われる志位氏
2019.2.26(火) 筆坂 秀世
東京・千駄ヶ谷の日本共産党本部ビル
日本共産党の指導者である不破哲三氏の造語に「科学の目」というのがある。物事を科学的に見る力をつければ、さまざまな事象の本質を正しく認識できる、ということであろう。
これまで共産党では、「科学の目」を党員に植え付けるべく「科学の目」講座なるものが行われてきた。また私が知る限り、不破氏は「科学の目」という名称が入った著書を3冊著している。「二十一世紀と『科学の目』」(2001年、新日本出版社)、「ふたたび『科学の目』を語る 二十一世紀の資本主義と社会主義」(2003年、新日本出版社)、「『科学の目』で見る日本と世界」(2011年、新日本出版社)がそれである。
だが、森羅万象の出来事を科学的に、かつ正しく認識するなどということは、容易なことではない。しかも政党や政治が直面するのは、自然現象だけではない。人間社会のありようにも直面する。このことまで正しく認識できるなどというのは、傲慢でしかない。そんなことは、ほぼ不可能だと私などは思っている。
完全に見誤ったベネズエラの社会主義政権
周知のように、いまベネズエラはチャベス大統領の後を継いだマドゥロ政権のもとで大混乱が発生している。何しろインフレ率が100万%を超えているというのだから、絶望的とも言える状態になっている。
だがこの左派政権を高く評価してきたのが、日本共産党であり、不破氏であった。2009年9月に出版された『激動の世界はどこに向かうのか 日中理論会談の報告』という不破氏の著作には、その評価の高さがこれでもかこれでもかと強調されている。
日本共産党の現在の規約には、「党は、科学的社会主義を理論的な基礎とする」とある。科学的社会というのは、かつてはマルクス主義とかマルクス・レーニン主義と呼ばれてきたものである。だがベネズエラの左派政権は、マルクス主義とか、科学的社会主義を掲げる政権ではなかった。それでも不破氏は、この政権を高く評価していたのだ。これは共産党としては、相当、思い切った評価であった。
なぜなら、これまでどの国の共産党であっても、マルクス主義・科学的社会主義に導かれた共産主義政党が存在してこそ、社会主義革命が可能になるという立場をとってきたからだ。ところが不破氏は、この立場を大胆にも変更したのである。「科学の目」を誇る不破氏にしかできないことだった。
不破氏の著書を見てみよう。
「ラテンアメリカの左翼政権・左派政権は、・・・どの国でも、政権の主力をなしているのが、科学的社会主義・マルクス主義の立場に立たない勢力だということは、共通しています。しかもその左翼政権のなかから、『新しい社会主義』をめざすところが、ベネズエラ、ボリビア、エクアドルなど次々と現れている」
「共産党がいないところでも新しい革命が生まれうるし、科学的社会主義の知識がなくとも自分の実際の体験と世界の動きのなかから、さまざまな人びとが新しい社会の探究にのりだしうる時代です」
マルクス主義も、共産党もいらないというのだ。日本共産党の存在意義まで否定しているようなものである。
2009年4月には、当時のチャベス大統領が訪日した際の懇談会で、不破氏は次のような要旨の発言をしたそうである。(1)ベネズエラ革命は、従属体制を一掃する転機となった。(2)ベネズエラ革命は、各種選挙、国民投票を16回も行うなど、国民の支持を確かめながら進められた。世界の革命運動で初めてのことだ。(3)「新しい社会主義」の旗を掲げているこの革命の進行に大注目している。
だが現実は、不破氏の鋭い「科学の目」による見通しとは大きく違ったものだった。チャベス大統領は反市場原理主義、反新自由主義を掲げ、貧困層の底上げを図ろうとしたが、経済の低迷、格差と貧困問題の解決はできなかった。同時に、徐々に独裁色を強め、ついにはチャベスの無制限再選が可能となる憲法改悪まで行なった。そしていま、その後継のマドゥロ政権のもとでベネズエラは完全な破綻状態に陥っているのである。
記憶に残る言葉たち、故チャベス大統領
ベネズエラ首都カラカスの大統領府で行われた閣僚会議で、ギターを演奏するウゴ・チャベス大統領(当時)(2012年9月20日撮影)。(c)AFP/PRESIDENCIA〔AFPBB News〕
後始末をさせられる志位氏
気の毒なのは、志位和夫委員長である。不破氏の「科学の目」の後始末に追われているからだ。
去る2月21日、「弾圧やめ人権と民主主義の回復を─ベネズエラ危機について」と題する声明を発表したが、そういう事態に追い込まれてしまったということだ。
苦しい声明である。冒頭、まず次のように述べている。「日本共産党は、南米ベネズエラのチャベス政権が発足当初、選挙をつうじて国民多数の支持を得ながら進めてきた変革のプロセスに肯定的に注目してきた」。
「肯定的に」などというレベルではない。“不破氏が天まで持ち上げてきた”と言うべきだろう。
続いて、「しかし、同政権および後継のマドゥロ政権の失政と変質のもとで状況が変化し、市民の政治的自由と生存権に関わる人権問題が深刻化している。人権の保障は、第二次世界大戦後の国際秩序のもとで、それ自体が国際問題としての性格をもつものとなっており、ベネズエラ問題は重大な国際問題となっている」。
ずいぶんさらっと言っているが、なぜ「失政」と指摘するような失敗を引き起こしたのか、「変質」と言うが本当に変質したのか。そうだとすれば、その要因はどこにあったのか。またそもそも「天まで持ち上げた」ことが誤りだったのではないのか。
この声明では、肝心なことが何も解明されていない。
とってつけたように、弾圧や抑圧をやめよと言っても説得力は何もない。
北朝鮮が拉致を認めたときの苦しい反応
不破氏の見通しが外れることは、まったく珍しくない。その1つが北朝鮮による拉致問題である。
2002年9月、小泉純一郎首相が訪朝した際、金正日が拉致を「北朝鮮特殊機関の一部の妄動主義、英雄主義によるもの」と認めたことにより、拉致が北朝鮮の犯行であったという事実が確定した。
それ以前は、不破氏は拉致が北朝鮮の犯行だという指摘に疑いを持っていた。森喜朗首相時代には党首討論で、警察白書に「北朝鮮による日本人拉致の疑いのある事案」とか「北朝鮮に拉致された可能性のある行方不明者」などと書かれているがどれも結論が出ていない、疑惑の段階で外交交渉する例はない、などと主張し、森首相から「それじゃ拉致問題を交渉すべきではないということになってしまう」と反論されていた。
この党首討論の後、緒方靖夫・党国際局長/参議院議員(当時)と「赤旗日曜版」(2001年1月4日号)で対談しているのだが、そこではもっとあけすけに語っている。大要は、次のようなことである。
朝鮮半島の全体的な情勢は南北会談、米朝交渉など良い方向に向かっているが、拉致問題が難関となって行き詰まる可能性がある。だから党首討論で、拉致は北朝鮮による犯行の疑惑でしかないのだから、証明済みのような交渉をしてはならない、ということを提起した。
これに対して緒方氏は、「7件10人」のうち物証のあるものは1つもない、拉致問題を冷静な議論に引き戻した、などと語っている。
要するに、北朝鮮の犯行ではない、ということを遠回しに、しかし必死に主張していたわけである。ところが北朝鮮自身が認めてしまったのだ。不破氏は何と弁明したか。金正日が「特殊機関の犯行」と認めたところに食いついて、「『特殊機関』が、北朝鮮で、今なお大きな権限をもって活動している事実にぶつかって、本当に驚きました」と釈明しているのだ。独裁国家で特殊機関がない国がどこにあるのか。あったら教えてもらいたい。こんな陳腐な弁明しかできない人間が「科学の目」とは聞いて呆れる。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55592
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK257掲示板 次へ 前へ
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK257掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。