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室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
イラスト/小田原ドラゴン
室井佑月「安倍首相の感染力」
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190206-00000007-sasahi-pol
AERA dot. 2/7(木) 7:00配信 週刊朝日 2019年2月15日号 作家・室井佑月氏は、安倍晋三首相の意のままに進む国の状況に危機感を募らせる。 * * * ラジオで一緒に仕事をしている経済学者の金子勝先生が怒っていた。いいや、先生は現政権のやり方にかなり前から怒り沸騰なわけで、怒りを通り越し、半笑いの呆れ顔だった。 「こんなんで、俺ら、いったいどうやって仕事していったらいいのよ」と。 厚生労働省の「毎月勤労統計」の不正問題が発覚した。障害者雇用や裁量労働制のデータ、外国人技能実習生の実態調査などもデタラメであった。1月25日、野党の追及で明らかになったが、2018年、実質賃金が上がっているってのも嘘だった。GDPも怪しいという噂。 金子先生もぼやきたくなるだろう。国が出してくる資料やデータはデタラメばかりで、なにを根拠に学術研究や未来予想をすればいいの? 先生のぼやきを聞いて、あたしはいった。 「もうこうなったら、預言者になるしかない。自分のシックスセンスを信じるんだ!」 「んじゃ、これからは水晶玉でも持ち歩いちゃう? 意見を求められたら水晶玉を見ながら『こんなん出ました!』といってから答える」 あたしたちは笑った。笑い事じゃないんだけれど。 どうなっているの、この国は。この国の未来を考えるとき、知識人たちの、適切な判断や助言はいらないってか? すべて、安倍首相のやりたいようにやるからいいって? 大切なことは、安倍首相のレガシー作り。それとお仲間へいい顔をしたいから、その優遇。 とんだ独裁国家だ。マジでこの国、ぶっ壊れそう。 安倍首相はアベノミクスは成功したと胸を張っていい張る。すげぇよな。経済成長は進まず、財政再建は目標期限を先送りしたのに。 官僚は、なぜ安倍首相の嘘に付き合うんだろう。忖度なのか命令なのかはわからないが、学歴エリートの彼らが、ついうっかりとは考えにくい。 権力の監視という使命を忘れ、政府の発表をただ垂れ流すマスコミも(2018年、記録的な賃金上昇をうたっておった)、おかしい。 そして、ぎりぎりのところで頑張っている良識ある人間、たとえば金子先生だって、政府があげるデータが嘘ばかりなのだから、これからの研究は、自分の感覚にかなりの部分頼るしかなくなる。 安倍首相を肯定しようが否定しようが、彼が首相でいる限り、この国にいる人たちは、いや応なく彼のようになってしまう。インフルエンザより感染力が強い。 安倍首相は23日、ダボス会議に出席し、 「産業界は5年連続、賃金を今世紀に入って最も高い、前年比2%上げるという対応を示してきた」 と、また威張ってきた。 でも、安倍首相の目標は3%で、それは実現しなかった。どうか、海外のマスコミよ、彼の大言壮語に反応してください。この国は感染者多数で、もうどうしていいかわからない。海外からそれはまずいと特効薬が送られてくるのを待つばかりである。
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