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安倍首相の“超楽観的”中国接近の危険性
米国の対決姿勢とますます乖離、懸念される日米摩擦
2019.2.6(水) 古森 義久
中国共産党、幹部に「自己批判」迫る 習主席への忠誠要求か
中国・北京の人民大会堂で開かれた改革開放40周年を祝う式典に出席する習近平国家主席(2018年12月18日撮影、資料写真)。(c)WANG Zhao / AFP〔AFPBB News〕
(古森 義久:ジャーナリスト、産経新聞ワシントン駐在客員特派員)
安倍晋三首相の中国への協調姿勢が米国の対中対決政策とまったく相反する形となってきた。
トランプ政権が政治や安保面で中国との闘争を宣言するのに対して、安倍政権は中国との友好的な交流の拡大を強調している。このままだと対中政策をめぐり日米両国が大きく離反する危険性も生まれてきた。
安倍首相の演説は願望の表明
安倍首相の中国への融和的な姿勢は1月28日の国会での施政方針演説で明らかにされた。同首相は演説の中で、中国に関して以下のように語った。
「昨年秋の訪中によって、日中関係は完全に正常な軌道へと戻りました。『国際スタンダードの下で競争から協調へ』『互いに脅威とはならない』、そして『自由で公正な貿易体制を共に発展させていく』。習近平国家主席と確認した、今後の両国の道しるべとなる3つの原則の上に、首脳間の往来を重ね、政治、経済、文化、スポーツ、青少年交流をはじめ、あらゆる分野、国民レベルでの交流を深めながら、日中関係を新たな段階へと押し上げてまいります」
以上を文字通りに解釈すれば、日中両国の間にはなんの問題も支障もないということになる。「完全に正常な軌道へ戻った」というのだ。
ところがこの発言は願望の表明であって、現実の認識とは思えない。
中国は自国の経済運営や日本企業を含む外国企業の扱いにおいて、国際スタンダードを順守していない。日本へのレアアース禁輸で示したように、自由で公正な貿易体制をとってはいない。また、戦争中の日本軍の「残虐行為」のみを強調する反日教育を相変わらず続けている。尖閣諸島周辺の日本領海には間断なく武装艦艇を侵入させ、日本側に脅威を与えている。
安倍首相の演説では、中国に関するこのような諸問題にはまったく言及がなかった。「交流を深める」といったバラ色の言葉だけだった。日本側の中国の現実への客観的な認識を反映しているとはとても言えない。まして、米国の現在の中国認識とは天と地ほどの差があることを指摘せざるをえない。
「中国は米国の安全保障に対する最大の挑戦者」
安倍首相の施政方針演説の翌日の1月29日、米国議会で公聴会が開かれ、情報機関責任者たちが証言した。それらの証言は、安倍首相の対中認識とはあまりにも対照的だった。
公聴会を主宰したのは上院情報委員会、テーマは「世界の脅威」だった。公聴会にはトランプ政権のインテリジェンス機関の代表たちが顔をそろえた。ダン・コーツ国家情報長官(DNI)、ジーナ・ハスペル中央情報局(CIA)長官、クリストファー・レイ連邦捜査局(FBI)長官らである。
その中から、コーツ長官の中国についての証言を紹介しよう。
コーツ長官の証言は、北朝鮮に関してはトランプ大統領の見解と異なる部分も指摘されているが、中国に関してはトランプ政権の見解そのものだといえる。
そしてなによりも注視すべきは、この公聴会の主題が、米国にとっての「世界の脅威」であり、その脅威の筆頭には中国が位置づけられているという事実である。
コーツ長官の中国についての証言の骨子は以下のとおりである。
・現在の中国は米国の安全保障に対する最大の挑戦者であり、米国主導の民主主義的な国際秩序を変えるために、米国に対してイデオロギー面での闘争を仕かけ始めた。その目的は、中国型の専制的な資本主義を国際的に拡大し、市民社会や法の統治という概念を抑えることにある。
・米国が過去十数年、中国への対応を怠ってきた結果、中国は米国に挑戦する能力を驚くべきほど増強させた。中国は、米国の先端技術や他の知的財産を大規模に窃取したり、スパイ活動で情報を不正取得することににより、自動車技術からソフトウエア、軍事技術までの多様な秘密を奪取した。
・独裁制を国際的に広めるという中国の野望に対して、米国は中国の不当な方法を最大限に暴き、米国内外に知らしめることを目指す。米国司法当局が進めている華為技術(ファーウェイ)への捜査や訴追も、中国政府の不正を提示するその取り組みの一環である。
・中国政府は 他国からの自国への人権弾圧非難を阻むため、人権に関する国際的な基準、とくに国連の枠内での人権尊重の基準を弱めようとしている。そのために「人権」の定義も自国に有利な狭義の意味に変えさせ、「国際社会には人権尊重の責務がある」という基本さえも曖昧にしようとしている。
・習近平主席は「一帯一路」によって中国の政治・経済システムを国際的に広めようとしている。そのシステムは、法の統治、国際基準、公正貿易と相容れない。「一帯一路」には、港湾、空港、道路の建設により中国人民解放軍の開発途上国へのアクセス経路を開く意図がある。
日米の対中姿勢に大きなギャップ
以上から、米国の中国に対する姿勢は明白であろう。トランプ政権は超党派の支持を基盤にして中国との「対決」「封じ込め」の政策を推進し始めたのである。
一方、安倍政権の対中政策は「協調」であり「交流」だという。日米の対中姿勢にはあまりに大きなギャップがあると言わざるをえない。
安倍政権周辺からは、中国政策に関して米国側と水面下の調整を実施していると示唆する声も聞かれる。しかし、公式の場で日米両国政府の代表が公式に言明する中国への姿勢は、あまりにも相反している。そのギャップによって日米摩擦の表面化も十分に予想される様相となってきた懸念をここでまた表明しておこう。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55407
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