以下、参考までに。 >労組「連合」が連合できないワケ 「立憲」と「国民」の間で右往左往 2018年5月25日 金曜 午後5:00 https://www.fnn.jp/posts/00315960HDK ・連合の課題は、野党第一党となった立憲民主党との関係修復 ・立憲の「原発ゼロ」政策に、連合内の一部労組が慎重姿勢 ・連合・神津会長が、立憲・枝野氏に意外なリップサービス? *野党結集へ右往左往する連合 約700万人を擁する労働組合の中央組織で、民進党の最大の支持団体だった「連合」。この連合が今、来年夏の参議院選挙に向け、民進党から派生した立憲民主党と国民民主党との間で右往左往している。連合は24日の中央執行委員会で2019年参議院選挙の「基本的な考え方」を決めた。それは、立憲民主党と国民民主党を事実上支援すること。まずは両党と政策協定の協議に入るとした上で、10月をめどに両党と締結する方針だ。 連合はこれまで民主党や民進党を支援してきた。しかし、去年の衆院選で民進党は小池東京都知事の結成した希望の党への合流に踏み切り、“排除された”議員を中心とした立憲民主党が結党。野党分裂の選挙となったため、連合は特定の政党の支援ができず、存在感を示せなかった。その後、連合の執行部は、残された民進党と希望の党の合流による国民民主党の結成に肩入れしたが、その結果、立憲民主党との間にヒビが入ってしまった。 関係修復にむけて、連合の神津会長は5月16日、立憲民主党の枝野代表らと5か月ぶりに会談した。神津会長は、2019年の参議院選挙での支援に向け、「立憲民主党と国民民主党との政策協定締結に向けて連携・調整していきたい」とした上で、「政策協定がそれぞれ違うのは二枚舌になる」と指摘。立憲民主党・国民民主党と同一の協定を探る方針を示した。これに対し、枝野氏は「連合とは目指すべき社会像について共有している」と前向きな姿勢を示した。実は連合は、この政策協定を立憲に拒まれるのを警戒し、かなりの緊張感をもってこの会談に臨んだという。それには連合と立憲との関係のアキレス腱ともいえる理由があった。 *連合に亀裂が走るワケは「原発ゼロ」 立憲民主党は今年3月、運転中の原子力発電所の速やかな停止などを盛り込んだ「原発ゼロ基本法案」を国会に提出した。希望の党と民進党にも共同提出を呼びかけたが、両党は応じなかった。この原発ゼロ政策こそ、連合にとっては分裂含みとなる頭の痛い問題なのだ。 連合は、1989年に公務員ら官公庁の労組を中心とした「総評」と、民間企業の労組を中心とした「同盟」が合同する形で誕生した。 旧同盟系には、電力会社の労働組合である「電力総連」などが含まれる。原発に関わる仕事に就いているこうした労組にとっては、働く場を確保するためにも、原発ゼロに容易に賛同するわけにいかないのだ。そのため連合内では、地方自治体の職員らの組合「自治労」や、教職員の組合「日教組」のような旧総評系労組が原発ゼロを掲げているのに対し、旧同盟系は原発ゼロには慎重、あるいは反対姿勢と溝が生じている。そこに、立憲の”あの人物”まで、意見表明を始めたのだ。 *菅直人元首相の“けん制” 原発ゼロを掲げる菅直人元首相は12日のブログで、連合傘下の組合が立憲民主党を支援する旧総評系と、国民民主党を支援する旧同盟系に大きく二分されたと指摘した上で、その理由を「原発ゼロ政策に対する姿勢の差だ」と述べている。その上で「国民民主党は連合の原発容認グループに依存し過ぎだ。原発ゼロ政策に踏み切れば、『原発ゼロ』の旗の下に野党が結集することは可能だ」と強調した。 菅氏はさらに「国民民主党の幹部から、参院比例選では立憲民主党と『統一名簿』で戦いたいという意見が一方的に発信されていますが、あり得ません。原発ゼロを公約した立憲民主党が原発を実質推進しようとしている電力総連の候補者を統一名簿に載せることは有権者を欺くことになるからです」と統一名簿構想を強くけん制した。 *「原発ゼロ」の溝を乗り越えて、野党結集はできるか 先述の神津会長と枝野氏の会談後、2人が記者団の取材に応じた際、気になる場面があった。記者団から枝野氏に「連合の支援を受けると脱原発の旗印が見えにくくなるのではないか」という質問が飛び、枝野氏は一息おいて「連合の皆さんの目指す社会と立憲民主党の目指す社会はおおむね共有できている。応援してもらえるのは大変ありがたい」と述べた。 そこで取材は終わるはずだったところに、神津会長が切り込んできた。「連合も原子力エネルギー依存からの脱却等は考え方として持ってますので!そこは誤解なく!」 神津会長自ら、立憲民主党の原発ゼロ政策に歩み寄ろうとしたともとれるこの発言は、今まで支持母体として強気だった連合が野党結集を実現するために、下手に出ようとしているようにも感じた。 神津会長は会見の際、原発政策について頻繁に工程表の重要性を強調した。連合の幹部も「新規建設は必要ないというのはのれる。原発ゼロの工程表を作って、現実的な過程を盛り込んでもらえればいい」と話す。ただ『原発ゼロ』を掲げる立憲民主党と、『原発に依存しない社会』にとどめたい連合が工程表で一致するのは簡単ではない。民進党時代に原発ゼロ政策を進めたい蓮舫元代表が連合との関係に苦しんだのもその証左といえる。 *参院選も分裂選挙に?一本化の行方は… 連合が5月24日に決定した「参議院選挙の基本的な考え方」では、比例区について「ひとつの政党で闘うことは困難とみざるを得ない」と指摘した。連合傘下の組合のうち、すでに自治労や日教組、私鉄総連は、組織の支援する候補が立憲民主党から出馬する方針を発表した。一方で、自動車総連や電力総連の支持を受けてきた議員は現在、国民民主党に所属していて、比例区が分裂選挙となるのは濃厚だ。しかし、選挙区で1人しか当選できない「1人区」が多い参院選において、野党が巨大与党に対抗するには候補者の一本化が不可欠だ。元民進党のベテラン議員は「支持率の高い立憲民主党、選挙の強い中堅議員と地方組織の国民民主党。この2党の連携なくして、自民党には勝てない」と語る。その一本化のカギを握るのが連合だ。 しかし連合が主導した国民民主党の結党にあたっては、民進・希望両党の107人のうち、62人しか参加しなかった。関係者は「希望と民進の幹部が根回しをできなさ過ぎて、連合幹部が多数派工作に手をかけたが、連合が政治に介入し過ぎて、国民民主党に参加する議員が減った」と、連合の失態・力不足を嘆いている。 連合は『原発ゼロ』の壁を超えて、両党と政策協定を結び、野党が結集した形での参院選支援体制を整えられるのか。その道のりは簡単ではない。(政治部 野党担当 大築紅葉) ・
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