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報道機関の記者は紛れもなく主権者国民の代表である ここがおかしい 小林節が斬る!
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/248548
2019/03/02 日刊ゲンダイ 東京新聞が「記者は国民を代表して質問に臨んでいる」と記したら、官邸が「国民の代表とは選挙で選ばれた国会議員で、東京新聞は民間企業で、会見に出る記者は社内の人事で決められている」「記者が国民の代表とする証拠を示せ」と返したとのことである。 まるで子供の喧嘩のようである。秀才揃いの官僚たちに囲まれた最高位の政治家がこんな明白な嘘を返して平然としているとは、この国の政治はいよいよ末期症状である。 選挙で選ばれた政治家が形式的に国民の「代表」であることは間違いない。しかし、歴史の教訓が示しているように、権力者もその本質はただの人間であり、絶対的権力は絶対に堕落するものであるから、人類は、政治権力を牽制する仕組みをさまざまに工夫しながら、今日まで進歩してきた。 立憲主義、三権分立、議院内閣制、法治主義、権力の乱用に対する盾としての人権と司法の独立、法の支配、地方分権などである。 それでも、最高の権力を握る人間どもは巧みに法の網をくぐり抜けながら私利私欲を追求し悪事を繰り返すものである。モリカケ問題は未解明・未解決であるが、これなど権力の堕落の典型である。 国会議員は、形式上、国民の代表であるが、例えば菅官房長官は1億人もいる日本人の中の12万人余りから明示的に支持されただけの存在である。 1776年にアメリカが独立して世界初の民主国家が誕生して以来、人類は、政治家の堕落を直視しながら政治の質を高める努力を続けてきた。 そして、その中で重要な役割を果たしてきたのが主権者国民の知る権利を代表する報道の自由である。つまり、国民が皆それぞれに自分の生活に忙殺されている日常の中で、職業としての権力監視機関として、報道が発達し、憲法の重要な柱のひとつとして確立され、世界に伝播(でんぱ)していったのである。 だから、報道機関は紛れもなく憲法上、国民の代表であり、また、権力を監視する以上、権力の紐が付かない民間機関なのである。これは、わが国を含む自由で民主的な社会における世界の憲法常識である。 小林節 慶応大名誉教授 1949年生まれ。都立新宿高を経て慶大法学部卒。法学博士、弁護士。米ハーバード大法科大学院のロ客員研究員などを経て慶大教授。現在は名誉教授。「朝まで生テレビ!」などに出演。憲法、英米法の論客として知られる。14年の安保関連法制の国会審議の際、衆院憲法調査査会で「集団的自衛権の行使は違憲」と発言し、その後の国民的な反対運動の象徴的存在となる。「白熱講義! 日本国憲法改正」など著書多数。新著は竹田恒泰氏との共著「憲法の真髄」(ベスト新著)
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