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和平の流れを嫌い、ロシアとアメリカの関係悪化を目論む米有力紙
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202007030000/
2020.07.03 櫻井ジャーナル
アメリカで情報活動に携わっている政府高官の話として、ニューヨーク・タイムズ紙はロシア軍の情報部隊がタリバン系武装組織へ資金を提供、和平交渉の中、アメリカ軍の兵士などを殺させていると報道した。いつも通り、情報源は匿名で、証拠は示されていない。和平交渉を壊すため、偽情報を流したと見られている。
そのアフガニスタンの件で、ドナルド・トランプ米大統領は同国へ派遣されている部隊の規模を2月にタリバンと合意した取り決めに基づいて8600名まで削減したが、さらに減らして4500名にする意向だとされている。
トランプ大統領が引き上げようとしているのはアフガニスタンだけでなく、世界規模だ。ドイツ駐在アメリカ大使を6月1日まで務めていたリチャード・グレネルは、ドナルド・トランプ大統領がドイツから駐留アメリカ軍のうち約9700名を削減するように命令したことを確認、さらにシリア、アフガニスタン、イラク、韓国、日本からもアメリカ兵を引き上げる意向だと語ったという。
しかし、支配層の内部では、こうした政策に反発している人が少なくない。以前、トランプ大統領はシリアからアメリカ軍を撤退させると発言したものの、議員だけでなく閣内からの反発を受け、有耶無耶になっている。
2018年12月に大統領がアメリカ軍をシリアから撤退させると発表した際、ジェームズ・マティス国防長官が辞任、ジョン・ボルトン国家安全保障補佐官とマイク・ポンペオ国務長官は中東を訪問し、シリアからアメリカ軍を撤退させるとしたトランプ大統領の発言を否定すると同時にその発言を肯定するというアクロバティックなことを行っている。シリア特使を務めていたジェームズ・ジェフリーも大統領と対立、結局、撤退計画は立ち消えになった。
現在、トランプ政権の内部で反トランプ派が育っている。キリスト教系カルトのマイク・ポンペオ国務長官やマイク・ペンス副大統領はトランプが大統領に就任した当時から関係は良くなかったが、軍需産業と深く結びついているマーク・エスパー国防長官やCIA出身のウィリアム・バー司法長官もトランプから離れ始めているようだ。
2016年以降、民主党、司法省、CIA、FBIなどはロシアとの関係修復を掲げるトランプを潰すための工作を続けてきた。その工作にイギリスの対外情報機関MI6の「元オフィサー」が協力していることは本ブログでも繰り返し書いてきた。ジョージ・W・ブッシュ政権がイラクを先制攻撃するさい、その攻撃を正当化するためにイギリスのトニー・ブレア政権は偽文書を作成している。
ロシアとの関係修復でトランプが頼っていたのはマイケル・フリン退役中将。フリンが局長だった2012年8月、DIAはシリアの反政府軍はサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団で、アル・カイダ系武装集団しかいないと政府へ報告している。そうした集団を支援するオバマ大統領の政策はシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになるともDIAは警告していた。その警告は2014年に入ってダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)という形で出現する。フリンが解任されたのはダーイッシュが売り出されていた2014年8月のことだ。
そのフリンをトランプは国家安全保障補佐官に据えるが、民主党、司法省、CIA、FBI、そして有力メディアから激しく攻撃され、就任から間もない2017年2月に解任された。
和平交渉の動きを潰し、ロシアとアメリカとの関係を悪化させることがニューヨーク・タイムズ紙をはじめとする有力メディアの一貫した姿勢だ。今回の「報道」もそうした目的があるのだろう。
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