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欧米はシリアに対する傭兵を使った戦争を継続する一方、経済戦争も仕掛けている
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202006160000/
2020.06.17 櫻井ジャーナル
新型コロナウイルスはシリアへも広がっている。医薬品や医療設備が必要なわけだが、欧米から経済戦争を仕掛けられているシリアでは態勢を整えられていない。兵糧攻めで飢えさせようともしている。欧米はシリア国民を攻撃しているのだ。
欧米が経済戦争を仕掛けているのは、2011年3月に始まったシリアに対する軍事的な侵略が失敗に終わったからだと言える。その侵略戦争には中東の完全支配を目論んでいたアメリカ、イスラエル、サウジアラビアの3国同盟のほか、フランスとイギリスのサイクス-ピコ協定コンビ、パイプラインの建設でシリアと対立したカタール、オスマントルコの復活を目論んでいたと言われるトルコなどが参加していた。後にカタールとトルコは離脱したが、残りの国はシリアの破壊に注力している。その一環としての経済戦争だ。
シオニストの一派、ネオコンは1980年代からイラクのサダム・フセイン体制、シリアのバシャール・アル・アサド体制、イランのイスラム体制を倒そうとしてきた。まずイラクに親イスラエル体制を築き、シリアとイランを分断したうえで両国を個別に潰していくという計画だ。それら1992年2月に作成されたアメリカ国防総省のDPG(通称、ウォルフォウィッツ・ドクトリン)につながる。21世紀に入ってからアメリカ、イスラエル、サウジアラビアはその戦略に基づいて動いてきた。
この3カ国より長期にわたり、シリアを狙ってきたのがフランスとイギリス。第1次世界大戦当時、オスマン帝国を解体して中東を食い物にするため、イギリスのマーク・サイクスとフランスのフランソワ・ジョルジュ-ピコは協定の原案を作る。そこに帝政時代のロシアが加わって1916年5月に秘密協定が結ばれた。これがサイクス・ピコ協定。その内容は1917年11月のロシア十月革命で成立したボルシェビキ政権によって明るみに出た。
協定が結ばれた直後の1916年6月、イギリス外務省アラブ局はオスマン帝国を揺さぶるため、アラブ人を扇動して反乱を起こさせた。「アラビアのロレンス」ことトーマス・ローレンスが所属していたのはそのアラブ局だ。そのイギリスはウィリアム・シェークスピアというエージェントをワッハーブ派のイブン・サウドに接触させていた。シェークスピアの戦死を受け、引き継いだのがジョン・フィルビーである。
その一方、イギリスはイブン・サウドとライバル関係にあったフセイン・イブン・アリも支援、この人物は1915年7月から16年1月にかけてイギリスのエジプト駐在高等弁務官だったヘンリー・マクマホンと書簡をやりとりしている。その書簡の中には、イギリスがアラブ人居住地の独立を支持すると約束した「フセイン・マクマホン協定」も含まれている。
イブン・アリは1916年、アラビア半島西岸にヒジャーズ王国を建国し、1924年にはカリフを名乗るものの、イスラム世界から反発を受けてイブン・サウドに追い出される一因になった。そのヒジャーズ王国は1931年にナジェドと連合、32年にはサウジアラビアと呼ばれるようになる。
アメリカ、イギリス、フランスなどは軍事的なシリア侵略も放棄していない。2015年9月末に始まったロシアの軍事介入でバラク・オバマ政権が作り上げたダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)は敗走したが、まだシリア西部のイドリブにはNATOから支援を受けている約3万人のアル・カイダ系戦闘集団が残っている。こうした戦闘集団から攻撃を受けているシリア政府軍やロシア軍は空爆で応じている。
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