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米国はベネズエラでの政権転覆に失敗、ベネズエラはイランとの関係を強化
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202005270000/
2020.05.28 櫻井ジャーナル
ガソリンとアルキレートを積んだ5隻のタンカーがアデン湾からスエズ運河を通過、ジブラルタル海峡を経てカリブ海へ航行、最初の船が5月23日にベネズエラの領海へ入った。アメリカ政府は輸送を阻止すると警告していたが、それに対してイラン政府は航行を妨害する行為があれば報復するとしていた。
アメリカは1月3日、イスラエルの協力を得てコッズ軍を指揮してきたガーセム・ソレイマーニーとPMU(人民動員軍)のアブ・マフディ・ムハンディ副司令官をバグダッド国際空港で暗殺した。サウジアラビアとイランとの間で進められていた関係修復を目指す交渉のメッセンジャーとしてバグダッドに着いたところをソレイマーニー殺されたのだ。
コッズ軍はイスラム革命防衛隊の特殊部隊と言われ、アメリカなどが傭兵として使ってきたダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)のイラクにおける部隊を殲滅した主力軍と言われている。
その月の27日、アメリカ空軍のBACN(戦域通信中継機)、E-11Aがアフガニスタンの東部で墜落した。タリバーンが撃墜声明を出したが、イランが実行したと見られている。
ロシアの情報機関から流れてきた情報によると、墜落した航空機にはマイケル・ダンドレアというCIAのオフィサーが乗っていたというが、この人物はイラン工作の責任者で、ドローンを使い、テロリストを疑わせる動きをしている人びとを殺す工作でも中心的な役割を演じてきた。ソレイマーニー暗殺を指揮していたのもダンドレアだと言われている。
イランにはアメリカへ報復する能力があるということ。イランのタンカーに対して何らかの妨害行為に出た場合、ホルムズ海峡やオマーン湾などでアメリカに報復する可能性は高い。
ベネズエラはロシア政府に支援を要請したが、ロシア側はアメリカの近くに艦船などを派遣するとアメリカ政府に「イランやロシアの脅威」という宣伝材料を与えることになるとして断ったようだ。今回は見える行動に出ないということである。
しかし、ロシアは見えないところでベネズエラを支援している。例えば、5月3日の出来事。コロンビアからベネズエラへ高速艇を利用して侵入しようとした部隊がベネズエラ軍と銃撃戦になり、アメリカ陸軍の特殊部隊グリーベレーの元隊員ふたりが拘束されたが、その後、少なくとも8名のロシア軍特殊部隊員が掃討作戦に参加したと言われている。拘束されたルーク・デンマンとエアラン・ベリーはフロリダを拠点とする傭兵会社シルバーコープの傭兵だ。
アメリカ政府はニコラス・マドゥロ政権を倒し、傀儡のフアン・グアイドを大統領に据えようとしている。今回の作戦ではグアイドの顧問を務めているファン・レンドンとシルバーコープを経営するジョーダン・グードロー。レンドンとグードローがマドゥロ政権の転覆について話し合っていたことが明らかになり、レンドンは顧問を辞任した。
イランはアメリカの恫喝に屈せず、ロシアはアメリカの挑発に乗らず、アメリカはベネズエラの政権転覆に失敗した。
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