http://www.asyura2.com/19/kokusai28/msg/696.html
Tweet |
米国の「核の傘」があるから日本の安全は保たれていると考える人が、“ためにする”論なら別だが、本気で北朝鮮の核兵器保有をあれこれ非難しているのは異様だ。
北朝鮮は、南は世界最強の米国が韓国に駐留し、北は米国に匹敵する核兵器体系を保持するとロシアと軍事強国としても台頭する中国に接している。
そのような“地政学”的ポジションにある国家が、強国に唯々諾々と従うのではなく、自国の政策を貫こうと思えば、核兵器を含む強力な軍事力を持つしかないと考えても不思議ではないし、それを国策として推し進めたとしても責めることもできない(と私は思う)。
そうはいっても、お利口な北朝鮮は、90年代初頭に核兵器開発を断念したし、現在も核兵器を保有していない。
30年間も続いている北朝鮮の“核兵器騒動”は、62年秋のキューバ危機と同じで、フェイクニュースである。
そのようなフェイクを拡散する目的は、約束した日朝国交正常化をいっこうに果たそうとしない日本政府の尻を叩くことである。
しかし残念ながら、日本人の多くは、核兵器を開発しているからといって話し合いでそれをやめさせようと考えるのではなく、おかしな国家だから放っておこうと思う傾向を有する。
このような米国の見込み違いが、日朝国交正常化をより困難なものにしているとも言える。
(キューバ危機は、核の脅威がみごとにはまって問題を解決することができた)
[関連参照投稿]
「手術の金正恩氏“非常に危険な状態”真相は:突然の不調ならいざ知らず、太陽節の直前に心臓手術の予定は入れないはず」
http://www.asyura2.com/19/kokusai28/msg/613.html
「「金正恩重篤」説はトランプと金正恩が共謀のデマ!:トランプと金正恩は“最近”連絡を取り合ったとオブライエン補佐官」
http://www.asyura2.com/19/kokusai28/msg/620.html
「ガセネタだった金正恩氏「重体説」 錯綜した情報はどう流れたか?:黒文さん、事実の裏取りは難しいがウソを見抜くのは難しくないよ」
http://www.asyura2.com/19/kokusai28/msg/662.html
=======================================================================================================================
金正恩「死んだふり」の裏で進んでいた秘密作戦[ニューズウィーク]
2020年5月8日(金)15時40分
高英起(デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト) ※デイリーNKジャパンより転載
<金正恩はなぜ、自身が健在であることをもっと早く示さなかったのか?>
韓国の情報機関・国家情報院(国情院)は6日、国会情報委員会に対する報告で、北朝鮮の金正恩党委員長の最近の健康状態について、「心臓に関する治療や手術は受けていない」との見解を示し、健康不安説を否定したという。同委員会の幹事を務める与党・共に民主党の議員が明らかにした。
金正恩氏の「死亡説」や「重体説」が飛び交う中でも、国情院は一貫して「異変はない」と説明していた。金正恩氏の健在が確認された以上、ここは「さすが」と評すべきかもしれない。もっとも、金正恩氏が手術までは受けていないにせよ、心臓に何らかの問題をかかえている可能性は消えていないのだが。
それにしても今になって思うのは、金正恩氏は何故、自身が健在であることをもっと早く示さなかったのだろうか。各国の騒動の「高みの見物」を決め込んでいたのかもしれないが、一方で北朝鮮国内でちょっとした異変があったのも事実だ。
咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋によれば、中朝国境地帯では住民の間で、中国から流入した金正恩氏の「死亡情報」が拡散していたが、当局はそれを放置していたという。
このような噂が広がると、北朝鮮当局は住民講演会などを素早く開き、「最高尊厳(金正恩氏)を冒とくする者は厳重な処罰を免れない」などと恫喝し、ひどい場合には見せしめのための公開処刑さえ行ってきた。実際、2013年に李雪主(リ・ソルチュ)夫人に関する噂が広がったときには、何人もの芸能人が処刑されている。
こうした状況を考え合わせると、金正恩氏は意図的に「死んだふり」をしていたと見ることができるだろう。
そしてその裏では、ある秘密作戦が進んでいた。国情院は同じ日の報告で、北朝鮮の潜水艦建造基地である新浦(シンポ)造船所で潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)開発に使用される水中射出装備が継続的に確認されていると明らかにした。
北朝鮮は同造船所で、SLBMを搭載する3000トン級の新型潜水艦を建造中だ。完成すれば、SLBMには核弾頭が搭載される可能性が極めて高い。
北朝鮮は昨年、非核化などを巡る米朝対話の期限を年末までに一方的に設定したが、米国はそれまでに制裁緩和などで譲歩しなかった。これ受け、金正恩氏は12月28日から31日まで開かれた朝鮮労働党中央委員会第7期第5回総会で、「世界は遠からず、朝鮮民主主義人民共和国が保有することになる新しい戦略兵器を目撃することになるであろう」と宣言した。
その後、現在に至るまで、この宣言は実行されていない。新型コロナウイルスの世界的な蔓延などが影響しているものと見られるが、金正恩氏は諦めたわけではなさそうだ。
各国で自身を巡る「死亡説」が飛び交う中、金正恩氏は「死んだふり」をしつつ「新しい戦略兵器」を世界に見せつけるその日に向かって進み続けていたわけだ。
[筆者]
高英起(デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト)
北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。関西大学経済学部卒業。98年から99年まで中国吉林省延辺大学に留学し、北朝鮮難民「脱北者」の現状や、北朝鮮内部情報を発信するが、北朝鮮当局の逆鱗に触れ、二度の指名手配を受ける。雑誌、週刊誌への執筆、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に『コチェビよ、脱北の河を渡れ--中朝国境滞在記--』(新潮社)、『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』(宝島社)、『北朝鮮ポップスの世界』(共著、花伝社)など。近著に『脱北者が明かす北朝鮮』(宝島社)。
※当記事は「デイリーNKジャパン」からの転載記事です。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/05/post-93357.php
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。