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自国のエネルギー産業が苦境の米国は産油国のベネズエラを手に入れるつもり
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202005090000/
2020.05.10 櫻井ジャーナル
スピードボートを利用し、コロンビアからベネズエラへ潜入しようとした部隊のメンバーが5月3日、銃撃戦の末に拘束された。その際に上陸しようとした8名の戦闘員が死亡したという。侵攻の目的はニコラス・マドゥロ大統領を拉致してアメリカへ連れ出し、フアン・グアイドの政権を樹立することにあったようだ。
作戦の総額は2億1290万ドルが予定され、その中心には反マドゥロ派ベネズエラ人のファン・レンドンとセルジオ・ベルガラ、そしてフロリダを拠点とする傭兵会社シルバーコープを経営するジョーダン・グードロー。
拘束された戦闘員の中にはシルバーコープに所属するふたりのアメリカ人ルーク・デンマンとエアラン・ベリーが含まれていた。グードロー、デンマン、ベリーはいずれもアメリカ陸軍の特殊部隊グリーベレーの元隊員だ。海からベネズエラへの侵入を試みたグループは作戦部隊の一部のようで、少なくとも8名のロシア軍特殊部隊員が掃討作戦に参加しているという。
アメリカのドナルド・トランプ政権は軍事作戦への関与を否定しているが、これまでアメリカ政府は1999年にウーゴ・チャベスが大統領に就任した後、何度かクーデターを試みている。チャベスは自国をアメリカから独立させたからだ。それによってアメリカ系巨大資本は利権を失った。
最初に表面化したのは2002年。その前年、アメリカではネオコンに支えられたジョージ・W・ブッシュが大統領に就任しているが、その年の9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されている。その出来事を利用してブッシュ政権は中東への軍事侵略を本格化させた。
2002年のクーデターで中心的な役割を果たしたのはイラン・コントラ事件に登場するエリオット・エイブラムズ、キューバ系アメリカ人で1986年から89年にかけてベネズエラ駐在大使を務めたオットー・ライヒ、そして国連大使だったジョン・ネグロポンテの3人。ネグロポンテは1981年から85年にかけてホンジュラス駐在大使を務めていたが、そのときにニカラグアの革命政権に対するCIAの秘密工作に協力、死の部隊にも関係している。エイブラムズはトランプ政権でも南アメリカにおけるクーデター計画を指揮している。
この計画は失敗に終わるが、ウィキリークスが公表したアメリカの外交文書によると、2006年にもアメリカはベネズエラでのクーデターを計画している。これも成功しなかった。
アメリカの支配層が目の敵にしていたチャベスは2013年3月、癌のため、58歳の若さで死亡。その際にアメリカは体制転覆を目論むが、それも失敗した。チャベスを引き継いだのがニコラス・マドゥロ。この人物はチャベスと違ってカリスマ性がなく、アメリカは簡単に潰せると考えたかもしれないが、まだ潰せないでいる。軍や情報機関の主力がマドゥロについていることが大きい。
アメリカがマドゥロを倒す際の看板役に選んだ人物がフアン・グアイドで、アメリカ政府は「暫定大統領」というタグをつけた。この人物を支援しているひとりがマルコ・ルビオ上院議員だ。
アメリカは中東における支配力が弱まっている。正規軍による軍事侵攻、ジハード傭兵を使った政権転覆作戦、いずれも成功したとは思えない。しかも中東ではイスラエルもエネルギー資源を支配しようと目論んでいる。
アメリカは国内でシェール・ガスやシェール・オイルの生産量が増えていたが、生産コストが高いため、石油価格の下落でビジネスとして成り立たなくなっている。しかもこの生産方法は環境破壊が酷く、地下水を汚染して農業生産にダメージを与える可能性がある。しかも生産が可能な期間が短く、先行きは暗い。
戦略上、エネルギー資源を確保することは重要で、そのためにもベネズエラを植民地化し、そこにある石油や天然ガスを自分たちの利権にしたいだろう。
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