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米国流システムは人びとを不幸にすることを再確認させた新型コロナウイルス
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202005040000/
2020.05.05 櫻井ジャーナル
アメリカの医療制度をテーマにした映画『SiCKO(シッコ)』が公開されたのは2007年のこと。その中で紹介されたキューバの医療制度はアメリカの無残な状態を明確にしている。富裕層を除き、医療と呼べるようなものは期待できないと言える状態だ。
バラク・オバマ政権は医療保険制度改革(オバマケア)を実施したが、これは私企業の保険に加入することを国が罰金付きで強制した制度にすぎない。保険会社のカネ儲けにとっては改善かもしれないが、庶民の情況をさらに悪化させることになる。
COVID-19(新型コロナウイルス)の感染が大きな問題になる前、昨年12月にそうしたアメリカの医療制度を取り上げられていた(例えばココやココ)。社会を維持していくためには放置しておけない段階になっていたのである。
ハーバード大学教授から上院議員になったエリザベス・ウォーレンによると、アメリカ人が破産する原因の少なからぬ部分は不動産と医療。その不動産も実態は教育だという。
アメリカでは公的な教育が崩壊状態にあるが、私立の学校は高額の授業料を要求されるため庶民が通うことは無理。暴力が蔓延して非常に危険な(アメリカの)刑務所のような学校を避け、少しでもましな公立高校へ入れようとするなら高級住宅地へ引っ越さなければならない。賃貸でも負担は重い。
イギリスのインディペンデント紙は2012年に学費を稼ぐための「思慮深い交際」に関する記事を掲載している。いわゆる「援助交際」を仲介するビジネスの存在が明らかになったのだ。ギリシャでは食費を稼ぐために女子学生が売春を強いられ、売春料金が大きく値下がりしているとも伝えられていた。アメリカも似たような状況だという。
COVID-19がどのような経緯で蔓延しているのかはともかく、結果としてアメリカの実態を明らかにすることになった。中曽根康弘、小泉純一郎、安倍晋三、菅直人、野田佳彦といった新自由主義的な政治家はそうしたアメリカ流の仕組みを日本へ導入しようと努力、有力マスコミはそれを支援。日本の医療制度は弱体化し、限界に達していた。その実態も新型コロナウイルスの騒動は明るみに出している。
しかし、そうした実態を直視すると、教育にしろ医療にしろ、アメリカ的なシステムを否定せざるをえなくなるが、そうしたシステムを作り上げたアメリカの強大な私的権力が日本の支配システムを動かしている。その私的権力に従属することで収入や地位を得ている日本の「エリート」はその私的権力に従う。収入や地位を維持したい人びとは権力者との対立を避けるためにドナルド・トランプや安倍晋三のような小物に批判を集中し、そうした小物を倒せば世の中が良くなるというストーリーを語るわけだ。
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