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イラクで新首相が指名されたが、同国民の米国に対する感情は変化しそうにない
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202002020000/
2020.02.03 櫻井ジャーナル
イラクのバルハム・サリフ大統領は新たな首相としてモハメド・タウフィク・アラウィを指名した。この人物はアヤド・アラウィ元首相の甥にあたり、ノウリ・アル・マリキ政権で通信相を務めている。
シオニストの一派であるネオコンは1980年代にイラクのサダム・フセイン政権を倒そうとしてきたCIAと関係が深く、ペルシャ湾岸産油国の防波堤になっていたフセインを倒そうとしたのは、そこに親イスラエル体制を樹立してシリアとイランを分断し、両国を殲滅して中東全域をイスラエルに支配させたかったからだ。
その考えをネオコンのポール・ウォルフォウィッツも共有していた。ウェズリー・クラーク元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官によると、国防次官だった1991年にウォルフォウィッツはイラク、シリア、イランを殲滅すると語っているのだ。(3月、10月)
そして2003年3月にアメリカ軍は従属国の軍隊を引き連れてイラクを先制攻撃、フセイン体制を倒したのだが、親イスラエル体制の樹立には失敗、イランとの関係が強い政権が現れた。2006年にノウリ・アル・マリキが首相になるとイラクはアメリカ支配から抜け出す動きを見せ始める。そこでアメリカは首相をすげ替えるが、思惑通りには進んでいない。
マリキが首相になった翌年、調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュはニューヨーカー誌に、ジョージ・W・ブッシュ政権がシリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラを最大の敵だと定めてスンニ派と手を組むことにしたと書いた。その相手はサラフィ主義者やムスリム同胞団をさすが、フセイン体制の残党も含まれている。
2009年1月にアメリカ大統領はブッシュからバラク・オバマに交代するが、戦術は継承された。オバマ大統領は2010年8月にPSD-11を出し、ムスリム同胞団を主力とする体制転覆プロジェクトを開始している。
そのオバマの政策がサラフィ主義者の支配地域を出現させるとDIA局長として警告したのがマイケル・フリン中将。その警告通り、2014年にダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)が出現、シリア東部からイラク西部にかけての地域を支配するようになった。
そのダーイッシュを敗走させたのがシリア政府の要請で介入したロシア軍とイランの革命防衛隊。その中でも重要な役割を果たしてきたガーセム・ソレイマーニーは1月3日にバグダッド国際空港でアメリカ軍が暗殺した。
そのときソレイマーニーはサウジアラビアとイランとの間で進められていた関係修復を目指す交渉のメッセンジャーとしてイランの返書を携えていた。この交渉を潰すこともアメリカ側の重要な目的だったのだろう。
アメリカは昨年からイラクの親イラン政権を揺さぶるため、イラク国民の不満を利用して「カラー革命」を仕掛けているのだが、ソレイマーニー暗殺を切っ掛けにしてその抗議活動は反アメリカに変化していると伝えられている。クルド系のサリフ大統領とダボスで会談したドナルド・トランプ米大統領はイラクとアメリカとの蜜月を演出したが、逆効果だろう。首相交代でイラク情勢が劇的に変化するとは思えない。
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