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大中東で益々活動的になりつつある日本
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2019年12月29日 マスコミに載らない海外記事
2019年12月25日
ウラジーミル・テレホフ
New Eastern Outlook
政治という舞台の大試合で、現段階で最も顕著な特徴の一つは第二次世界大戦敗戦国の二国、すなわち日本とドイツの緩やかな復活だということを、New Eastern Outlookでは、一度ならず指摘してきた。中心的役割な構成するエリートクラブ・メンバーとして、彼らが、再びゲームに参加しているのを強調するのは大切だ。
前述のプロセスが進行中であることを示す要因の中には、日本とドイツの関与が一層目立つ世界的な出来事の地理的空間の拡大も注目すべきものだ。ちなみに、両国の経済は、両国が権力を行使するために使う重要手段の一つだ。
とは言え、両国が、将来自由に使えるもう一つの手段、すなわち軍事力を強化しようと決める可能性はかなり高そうだ。この分野で、日本は(ドイツにはない、軍に対する憲法上の制約にもかかわらず)両国の中では先行しているように思われる。この部門における日本の関与増大の特徴は、緩やかな注意深さと、特に歴史的記憶ゆえに、世界的な舞台で、事を荒立てたくないという願望だ。
軍事分野での日本の関与が増大している兆しは東南アジアで目立つ。日本海軍の艦船がインド洋を定期的に航行し、(インドとアメリカ合州国との)マラバール年次共同海軍演習に参加している。日本はオーストラリアとの軍事的結びつきも強化している。
大中東地域(MENA=中東と北アフリカ地域)における日本の軍事的存在の拡大も益々可能性が高まっている。だが、これは多少、強制された動きなのだ。
かなり昔の2009年、アデン湾岸での海賊行為と戦うため、国際共同特別部隊に日本海軍が参加して、これは始まった。この多国籍連合の取り組みが、特定の国に対するものでなく、悪名高い「ソマリア海賊」活動はソマリア連邦共和国と関係ないことは強調する必要がある。それでも、対商船攻撃は、主にこの崩壊した国の領土が発生源だ。
対海賊行為の取り組みへの、このような形での東京の関与は、多かれ少なかれ、全てのMENA諸国と等しい友好関係を維持しながらも、この国々を分裂させている(しばしば非常に深刻な)問題に距離を置くことを目指す政策と一致している。
多分、最近この地域から日本が必要としているのは途切れない化石燃料入手だ。日本には炭化水素埋蔵がなく、実際日本はエネルギー源の80%をペルシャ湾から輸入している。
政治的、軍事的に対立しているMENA諸国に対する日本の中立政策は、第一に前述のエネルギー問題解決に役立つ。第二に、交戦中の両国が(それ以上いかなる血も流さず、あるいは「面目を失わず」に)自ら押し込んでいる政治的わなから逃れようと試みるにつれ、この公正な立場は、日本を調停者役として理想的候補者にするのだ。
6月13日から14日までのイラン訪問の際、安倍晋三首相は、本質的に平和仲介者役を引き受けた。この訪問(このような高官レベルは40年で初めて)の重要な側面は、もちろん東京がアメリカ合州国を支持して、イランに対する制裁支持を強いられる直前まで、イランは日本への化石燃料の三番目に大きな供給元だった事実だ。
それでも、訪問の主目的は、繰り返すが、二つの猛烈な対抗国ワシントンとテヘランの間を調停することだった。ちなみに、安倍首相を経由するこの取り組みを始めたのはアメリカ大統領だった。
だが日本総理大臣の相手、イランのハッサン・ロウハニ大統領と最高指導者アリ・ハメネイによる公的な声明によって判断すれば、上記の問題は解決されなかった。12月20日に予定されているハッサン・ロウハニの日本初訪問の際、この方向で更なる努力がされる可能性がある。この訪問に関し、東京の計画が、事前にアメリカ合州国に承認されている事実に、日本のマスコミ報道が言及したのは注目すべきことだ。
だが来るべき会談で、日本側は、ほぼ決定済みの、インド洋北西部に駆逐艦と沿岸偵察機を派遣するというかなり微妙な問題とリンクした合意をまとめようとするだろう。(アメリカ合州国が、かなり長い間、そして過去半年間、特に積極的に演じている)この地域での、軍事的、政治的ゲームに関係させようとして、ビッグ・ブラザーが長い間、日本にかけた圧力は、どうやら実を結び、行動が始まったようだ。
ここで我々は、明らかにイランに向けられたアメリカ主導の海軍連合を言っている。「重要な水路における航行の自由を脅かす」ホルムズ海峡での、いくつかのテロ攻撃(攻撃の一つは、日本のタンカーを標的にしていた)が、この同盟を確立する口実になった。誰が実行したかはまだ不明確だが、既にイランが攻撃をおこなったと非難されており、上述の連合は、イランに対する抑止力役を果たすよう意図されている。
大中東地域で平和仲介者役を演ずる能力に悪影響を及ぼすのを、東京が非常にいやがっていたのが、日本指導部が、これほど重要な取り組みの同盟に加われというアメリカのしつこい要請に(ずいぶん長い間)回答を延期していた理由だ。
結局、これと関係する過去の進展を、東京は忘れられなかったのだ。わずか五年前(2015年初め)の多数の大中東諸国への安倍首相歴訪は、こょ地域の不明な場所での、写真嫌いとはほど遠いギャンによる、(純粋に見せしめのための)二人の日本人ジャーナリスト処刑と奇妙に同期した。
その時以来(例えば、ダマスカスによる化学兵器攻撃とされるものに関連した)様々なでっちあげが一度ならず利用された。このようなでっちあげの政治目的は常に非常に明きらかだった。
日本人記者は、まさに「民主主義」の名のもと、特定の「全体主義体制」に対し空襲をしていた欧米連合に加入するよう東京を駆り立てるため、公開処刑されたのだ。
だが作戦は失敗した。歴訪から帰国すると、国会での演説で、安倍晋三首相は日本は空襲に参加しないと述べた。
だが同盟国が行う国際的軍事行動を、東京が本質的に「さぼる」のは、益々困難になりつつある。アメリカが率いる軍事行動への参加を避ける口実として、日本が憲法の制約を絶えず利用していることは典型的な反応を呼び起こしている。「憲法を変えろ」。
だが特にこの問題に関しては、安倍首相を説得する必要は皆無だ。彼の全政治家生活の主目的の一つが現憲法の非戦第9条を変えることなのだから。だが彼の個人的願望は、世界中のあらゆる人々と同じように考える日本の民衆には共有されていない。「余計なことはせず、このままにしておこう。この世界で、我々にとって全てうまくいっている」のに、この「アメリカ」憲法を、なぜ変えるのだろう。
これが、まさにこの理由で召集されたにもかかわらず、秋の臨時国会で予定された国民投票法改正案が議論されなかった理由だ。最新の報道によれば「国民投票法改正案論議は来年の通常国会に延期された」。遅れの理由は、指導部が関与し、首相自身さえからむ、更にもう一つの、なかなかおさまらないスキャンダルだった。
しかも主要同盟国アメリカ合州国が率いる軍事行動へのいかなる参加も避ける(最近まで見事に成功していた)日本戦略は(繰り返すが、一見それなりの理由で)益々複雑になっているアメリカ-日本関係全体の重要な部分へと変わっている。結局、ドナルド・トランプが不平を言った二国間貿易の「不均衡」に応じて罰則処置を実行する上で、アメリカが見せた抑制に対し、日本が何らかの方法でアメリカに返礼する必要があるのだ。
結果的に、長く遅れた後、日本の駆逐艦と沿岸偵察機のホルムズ海峡派遣問題は前向きな決断に近づいている。だが既に9月、中東に緊急派遣された日本軍は商船を守るが、独立して活動し、アメリカ連合には参加しないと日本のマスコミが報じたことを指摘しておきたい。彼らの主目的は情報を収集し、地域における進展を監視することだ。収集されたデータの一部は、アメリカや連合軍艦船指揮官に伝えられるかもしれない。この情報が、未来の潜在的脅威を示す場合に限って。日本軍部隊は日本商船に同行する責任は負わない予定だ。
ちなみに、軍隊が、このような限定された任務しか責任を負わないにせよ、日本の調査回答者の約60%が、大中東への艦船配備に反対している。
加えて、イラン政府が、そのような動きに同意した場合にのみ、この軍事作戦の数や規模は拡大可能だろう。日本の首相とハッサン・ロウハニ大統領の来る会談の際、この特定問題が鍵であるように思われる。ホルムズ海峡に日本の軍艦を配備すべきか否かや、その作戦規模に関する最終決定は、会談でなされる可能性が極めて高い。
今まで十年以上「ソマリア」海賊による攻撃から商船を守るための上記国際合同特別部隊の一員だった部隊と、この海軍部隊は何の関係もないことは強調する価値がある。
それ故、最近の出来事は、大中東で次第に拡大する日本の軍事的存在を示しているが、それは主として、巨大な政治ゲームの進展に由来するものだ。
軍は、ある時点で、国益のため日本がMENA=中東と北アフリカ地域(そしてグローバルな舞台全体)で以後かなりの間、使う重要な道具であり続ける経済にとっての有用な追加の道具になるかもしれない。
ウラジーミル・テレホフは、アジア太平洋地域問題専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/12/25/japan-is-becoming-more-active-in-greater-middle-east/
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