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イラクで唯一の勝利者かもしれないイラン
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2019年11月30日 マスコミに載らない海外記事
フィリップ・ジラルディ
2019年11月28日
Strategic Culture Foundation
テヘランが、どのようにアメリカの失敗につけこんだかを明らかにする諜報文書
2003年のアメリカによるイラク侵略とイラク政府打倒は、アメリカ合州国史上最大の外交政策大惨事だと正しく表現できる。2003年以来、イラクでは、8175人のアメリカ兵と請負業者と一般人と、推定300,000人のイラク人が亡くなった。より包括的な推計では、イラクが主要部分だった、いわゆる「世界対テロ戦争」で、直接801,000人が亡くなり、そのうち少なくとも335,000人が一般人だったという。他の推計では、病気と飢餓を含む巻き添えで亡くなった人々の合計は、300万人を超え、その大多数がイスラム教徒だ。
ブラウン大学の研究によれば、アフガニスタンとイラクの戦争だけで推定6.4兆ドル費用がかかっており、借り入れに払うべき金があるので、更に増え続けている。
侵略は地域全体を不安定にし、シーア派が支配的なペルシャ・イラン野心のチェック役だった、少数派スンニ派が支配していたアラブ・イラクの比較的安定した現状を永久に粉砕した。実際両国は、1980-1988年に戦争をしていた。双方で、約50万の軍人と一般人が亡くなった戦争で、アメリカ合州国はイラクを支援していた。
米国侵略後は、イラクの大多数がシーア派なのだから、そうした進展を阻止するワシントンの努力にもかかわらず、勝利者が据えたイラク新「民主的」政府が、最終的に東の隣人との共通点を多く見いだすのは不可避だった。その結果生じた武力衝突は、独立志向のクルド少数派も巻き込み、一種内戦のようなものになった。そこでは、主として、追い出されたスンニ派が、多数派のシーア派民兵と戦い、ダーイシュとも呼ばれるテロ集団イスラム国の誕生と拡大に寄与する要因となった。
イラクにおけるイランの役割に関して注目に値する700ページの文書が表面化し、最近文書を入手したインターセプトと、情報の妥当性を調査し、処理を支援するのに同意したニューヨーク・タイムズも発表した。タイムズは、この文書に関する記事に「漏洩イラン電報:秘密文書からの重要な発見:漏れたスパイ電報が、イランがいかにしてイラクの政治、軍事分野を支配するようになったかを暴露。何百ページもの書類は以下のことを示している」と見出しをつけた。インターセプトは文書を再検討し「2003年のアメリカのイラク侵略後に続いた破壊が、イランの利益にとって、より好ましい政治的、社会的秩序をイラクに作る千載一遇の機会をどのように与えた」かについて重要な洞察をしている。
文書はイランの対外諜報機関、情報省(MOIS)が情報源で、ペルシャ語で書かれた報告書と電報で構成されている。大半が2013年から2015年までのものだ。その多くが型通りのスパイ行為、つまり秘密会議や収賄や監視や対監視活動などを詳述した現地報告だ。「イランが、わが国イラクで一体何をしているか世界に知らせ」たいという、現状に不満を抱いたイラク当局者と思われる人物から匿名でインターセプトに送付されたものだ。材料は極めて興味深く、否定し難いほど本物だが、タイムズとインターセプトの記事は、膨大な弾劾報道の中で姿を消す前に、わずかな瞬間流れたに過ぎない。
元諜報機関の人間として、この話題についての私の考え方は、起きたことは、驚くに値するものだっただろうかということだ。権力の座からの指示で動くイランは、30年前に戦争し、自国民を50万人殺害した隣国に潜入し、支配下に置くため、たゆまず働いてきたのだ。イランは、隣に位置する新たな敵対的なアメリカ駐留にも浸透し支配しようと努力している。味方も敵もスパイし、政治家を取り込むのは、あらゆる有能な諜報機関として、当然予想される行動だ。まさにアフガニスタンでも、2003年侵略後のイラクでも、今日に至るまで、明らかにより公然ながら、アメリカ合州国が行っているのと同じ手段だ。
アメリカ合州国が、アフガニスタンやイラクにスパイを置いているのと全く同様、イランは明らかに、一部はサダム・フセイン支配時代、イランに亡命して暮らしていたイラクのシーア派信徒との関係を利用しているのだ。イラン諜報機関はそうした人々の多くとの間に特別な協力関係を育て、益々シーア派化するバグダッド政府内で新人を採用したのだ。今のアディル・アブドゥル・マハディ首相は、バグダッドで活動するイランの公式窓口を通して、テヘランとの「特別な関係」を維持していることが知られている。
実際、文書は、イラン政府が、いかなる犠牲を払ってでもイラクの友好的政府を支えなければならない属国だと思っているのを明らかにしている。それは実際、ほぼ全てのレベルで、ほぼ全ての政府省庁に浸透しているのだ。書類は、2014年に、あるイラク軍情報機関士官が、イラン・スパイと会って、バグダッドの上司、イラク国防省軍情報機関指揮官Hatem al-Maksusi中将のメッセージを渡したこと明らかにしている。彼のメッセージは「彼らに、なんなりとお申しつけくださいと言うように。必要とするものは何でも自由にお使いください。我々はシーア派で、共通の敵がいます。イラク軍諜報機関全てを、あなた方のものとお考えください。」だった。そのイラク人は、ワシントンに提供された秘密の標的設定ソフトウェアを説明し、「もし新しいラップトップをお持ちなら、私がそれにプログラムをアップロードできるよう、私にお渡しください。」と言い、イランにそれを提供すると申し出た。
アメリカから見れば、アメリカの幹部外交官とバグダッドやクルディスタンのイラク人相手側間との会議が、定期的に、かなり詳細にわたり、テヘランに報告されていたことを書類は明らかにしている。イラン人は特に、かつてアメリカ政府のために働いたことがあり、米軍が2011年に撤退を強いられた後、イラクに留まっているCIAとDIA諜報網に関する情報を提供可能な工作員を育成することに興味を持っていた。書類は、例えば、「ドニー・ブラスコ」という偽名で活動しているCIAスパイが、政府機関アジトの場所や、訓練の詳細や、アメリカのために働いている他のイラク人の正体をイラン情報局員に売ろうと申し出たことを明らかにしている。
書類は、イラクにおけるイランの取り組みが、スンニ派との戦いで益々強力になった既存のイラク-シーア派民兵と協力しているイラン革命防衛隊のエリート、クッズ部隊指揮官カシム・スレイマニ少将が調整していることを示している。文書は、多少の取りこぼしはあるものの、イラン情報局員が、一般に、非常に熟練しており、目的志向で、有能なことを明らかにしている。
スレイマニは、イラク政府内に、情報提供者と、取り込んだ連中の巨大なネットワークを作ろううという取り組みに、かなり成功しており、その多くは報告で名前をあげられている。興味深いことに、イランは、シーア派の関係から恩恵を受けてはいるものの、かつてアメリカ合州国を悩ませた脆弱なイラク政治情勢に対処しようと努める上で、同じ問題を、いくつか経験している。現在イラクで起きている、300人以上が死亡した破壊的な反政府抗議は、国に蔓延する汚職に焦点を合わせているが、イランの影響力を終わらせる要求も多々ある。バグダッドのイラン領事館は攻撃され、イラン国旗を燃やすのは、暴力行動での、おきまりになっている。バグダッドに対する影響力の競争で、イランは明らかにアメリカより成功してはいるが、ワシントンとテヘラン両方からの独立というイラクの心からの願望をイランが完全には認識し損ねていることをニュース報道は示している。
この書類から学べる教訓があるとすれば、世界中で、良く知ってもいない国々を破壊して、ヘマをすれば、自分自身が、より多くの損害を受ける結果に終わるということだ。サダム・フセイン排除後は、シーア派のつながりと一流の諜報機関があるイランが、イラクをペルシャのサトルピー(管轄領)に換える有利な立場にあることは、ワシントンにさえ明白なはずだったが、帝国の思い上がりが国防総省とホワイトハウスが「その後どうなるか?」考慮するのを許さなかったのだ。
フィリップ・ジラルディは博士で、Council for the National Interest事務局長。
記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2019/11/28/iran-may-be-only-winner-iraq/
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