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米国の侵略戦争と西側の有力メディア
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2019.11.19 櫻井ジャーナル
アメリカから経済戦争を仕掛けられているイランでは政府に対する抗議活動が続いている。そうした抗議を続けている人をアメリカのマイク・ポンペオ国務長官は「誇り高き人」と表現して支援を表明した。11月16日のことだ。 言うまでもなく、経済戦争の目的は相手国の内部に不満を高め、不安定化させることにある。その不満を高めるようとしてイランで経済的な苦境に抗議する人びとを支援したつもりなのだろう。 ターゲット国を不安定化させるため、その国内に自分たちの手先になる人びとのネットワークを築くことも少なくない。かつて植民地にしていたような国に張り巡らされたネットワークは強力だ。 そのネットワークの中心にはエリート層が存在する。例えば軍、検察、警察といった暴力装置、アメリカ資本の手先として働いている製造業や金融機関の経営者、そうした階級に入って豊かな生活を予定している学生、労働者を管理するために働いている労働組合の幹部などだ。 ラテン・アメリカではこうしたネットワークを崩して民主的な政権が登場することもあるが、クーデターで潰されてきた。例えば1948年4月にコロンビアのホルヘ・エリエセル・ガイタンが暗殺されている。軍事クーデターがあった国には、例えば1954年のグアテマラ、64年のブラジル、73年のチリ、76年のアルゼンチン、80年のボリビア、2009年のホンジュラス、そして今回のボリビアなどが有名だが、それ以外にも少なくない。 ベネズエラではウゴ・チャベスが大統領選挙に勝利した1998年からアメリカ支配層は政権転覆を目論んできた。2002年にはジョージ・W・ブッシュ政権がクーデターを実行しようとした。 このクーデター計画で中心になったのはイラン・コントラ事件に登場するエリオット・エイブラムズ、キューバ系アメリカ人で1986年から89年にかけてベネズエラ駐在大使を務めたオットー・ライヒ、そしてジョン・ネグロポンテ国連大使だ。 エイブラムズはCIAが1980年代に中米で行った秘密工作に参加していた。その当時、ニカラグアでは反革命ゲリラのコントラを使って政権転覆を目論み、エル・サルバドルの「汚い戦争」にも関係している。 エル・サルバドルでは1980年3月にCIAの手先になっていた軍人や警官がカトリックのオスカル・ロメロ大司教を暗殺、その年の12月にはカトリックの修道女ら4名を惨殺、81年12月にはエル・モソテの村で住民900名から1200名を殺した。エイブラムズはそのエル・モソテの村での虐殺について1982年2月に上院外交委員会で偽証している。 ラテン・アメリカの場合、軍事クーデターの実行グループはアメリカ政府が創設したSOA(南北アメリカ訓練所)で訓練を受けた軍人、あるいは元軍人が中心になってきた。 本ブログでは繰り返し書いてきたが、SOAはラテン・アメリカの軍人を訓練するためにアメリカ政府が1946年にパナマで創設した施設。そこではアメリカの軍人や情報機関員から対反乱技術、狙撃訓練、ゲリラ戦、心理戦、軍事情報活動、尋問手法などを学ぶのだ。 こうしたラテン・アメリカにおけるアメリカの手先を動かしているのはCIAだが、この関係からヨーロッパのネオ・ナチ、イスラム世界におけるサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団などともつながっている。 1980年代からアメリカはこうしたネットワークに「民主」、「自由」、「人道」といったタグをつけるようになった。そのタグをつけ、宣伝する役割を負っているのが有力メディアであり、宣伝の演出者が宣伝会社だ。それによって西側では民主主義を破壊する行為に反対する人は激減している。 表面だけを見ていると、本当に民主主義を実現しようと戦っている人びとなのか、あるいは民主主義を破壊しようとしている人びとなのかは区別がつかない。 その実態を調べる必要があるのだが、とりあえず見当をつける方法はある。西側の有力メディアが攻撃、あるいは無視している人びとは本物であり、そうしたメディアに支援されている人びとは偽物である可能性が極めて高い。 |
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