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ベイルートは燃えている。エリートに対する反乱が始まった
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2019年11月 4日 マスコミに載らない海外記事
2019年10月24日
Andre Vltchek
New Eastern Outlook
タイヤが燃え、煙が空に立ち昇っている。今日、10月18日、かつて「東洋のパリ」として知られていた首都レバノンは煙で覆われている。
腐敗した冷淡なエリートに支配された国は無限に、まとまってはいられないと私は何年も警告してきた。
私がベイルートを本拠にしていた5年間、事態は悪化しつつあった。何も改善しなかった。公共輸送機関はほぼ皆無、電力不足、汚れた不規則な水道。周期的に、ゴミが道路や郊外道路に山積みになった。飛行機が着陸しドアが開いた途端、ゴミのひどい悪臭が、我々ベイルート住民の帰還を歓迎してくれる。
ほとんど全員、この全てが永久に、このまま続くはずがないのを知っていた。
この都市は第4世界の病気で苦しみながらも、同時に、ランドローバーSUV、マセラッティやポルシェのスポーツカーや、アルマーニスーツで溢れかえっている。
ベイルートは、フランス語、アラビア語、英語の三言語で同時に会話できる極めてスマートな大いに教養を身につけた洗練されたエリートがいることは認めなければならないが、ほとんどジャカルタ・レベルにまで崩壊した。一流画廊、映画館、高級バーやナイトクラブもある。豪華なマリーナや全中東最良の書店。
ベイルートには常に脳と消化器官があると一部の人々は言うが、その心に何かが起きたのだ。
今ここでは何も本当に機能していない。だが何百万ドルも持っていれば、それは本当に重要ではない。ここでは何でも買うことができる。貧しくて困窮しているなら、あらゆる希望を断念すべきなのだ。ここの大多数の人々は今惨めなほど貧しい。人口調査は「宗教的バランスを乱さない」ために禁じられているので、正確に何人が困窮しているか誰も知りさえしない(長年、どういうわけか、この国に一体何人のキリスト教徒やイスラム教徒が住んでいるかを知らない方が良いと合意されていたのだ)。
人々の大部分が金持ちではないのは確実だ。今や支配者や汚職政治家や、いわゆるエリートに激怒して国民は大声ではっきり言っている。ハラス、つまり「もうたくさんだ!」、政権打倒!
* **
政府はWhatsApp通話に課税することに決めた。大した事ではないと一部の人々は言うだろう。だが、それはおおごとだった。そうなのだ。それは突如大事になった。おそらく搾取の「最後の一滴」だったのだ。
都市は爆発した。バリケードが築かれた。タイヤが燃やされた。至る所で。貧しい地域も、最も裕福な地域も同様に。
「革命!」と人々は叫び始めた。
レバノンには左翼の、更には共産党反乱の歴史さえある。宗教的右翼狂信者もかなりいる。どちらが勝つだろう? この全国的反乱で、だれが断固としているだろう?
今いくつかの行進の背後には共産党がいる。だが今まで国内で最も堅固な社会勢力ヒズボラは、サード・ハリーリー政府が辞職するべきだとは、まだ確信していない。
ロイターによれば:
「レバノンのヒズボラ代表サイイド・ハサン・ナスラッラーは、広範囲な全国的抗議行動の中、ヒズボラは政府辞任を要求していないと述べた。
ナスラッラーはテレビ演説で政府を支持すると述べたが、新方針と「新精神」を要求し、進行中の抗議行動が新税を課すべきでないことを示していると付け加えた。」
貧しい人々に課されるいかなる税金に対しても、彼は支持者に街頭に出るよう呼びかけるつもりだとナスラッラーは言い足した。
これまでのところ、反乱で無数の人々が怪我をしてしており、二人のシリア移民が命を失った。これは2015年のもの(ベイルートでの恐ろしいゴミ危機と悪化する社会的大惨事に発展した政治的・社会的運動「You Stink (お前は臭い)!」運動を含めて)最も深刻な蜂起だと一部の現地評論家が言っているが、著者を含め他の人々は、これが実際は1980年代以来レバノンが直面している最も深刻な政治的大惨事だと確信している。
カフェでも地元の店でも、首都のありとあらゆるところで、怒りが聞こえる。
「信頼は損なわれた!」
どんな政治活動にも遠かった人々さえ、今抗議行動参加者を支援している。
国連事務所現地スタッフのジャン女史はベイルートで造反側に立っている一人だ。
「ベイルートやレバノン中で起きているのは良いことです。我々が立ち上がるべき時期です。私も行きます。宗教とは無関係です。我々の粉々にされた生活の問題です。」
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欧米の主流メディアを読んでいると、レバノンの主な問題が対外債務のようなものだと信じがちだ(レバノンは、一人当たり、世界で三番目に負債をかかえた国だ。負債はGDPの150%になっている)、極めてわずかの本物の準備金(100億米ドル)と、寄贈者や貸し主に対処する国のやりかた。IMFと、その「助言」が常に言及される。
だがロイターのような通信社さえ、全体の混乱は構造的問題より遥かに大きいことを認めざるを得ない。
「ドルが干上がるにつれ、銀行は事実上、融資をやめ、もはや顧客のために基本的外国為替取り引きをすることができないと、ある銀行家が言った。」
「銀行の役割は、政府に資金調達し、通貨を守るため、中央銀行へ金を注ぐことです」と彼は言った。 「何かをすれば、収賄システムを混乱させることになるので、財政赤字に対して何もすることができないのです。」
ここにキーワードがある。「収賄!」
レバノンのエリートは恥知らずなほど腐敗している。国全体から富を剥奪する話になると、唯一インドネシアのような国しかレバノン穴居人一族とは競争できない。
レバノンでは、ほとんど何も清浄だったり純粋だったりせず、それが利用可能な統計値がない理由でもある。
お金は、西アフリカにおける天然資源の恐ろしい容赦ない搾取から来る。全員それを知っているが、それは決して公式には取り上げられない。私は西アフリカで働き、人種差別的なレバノン「実業家」がそこで何をしているか私は知っている。だがアフリカ人から盗まれた金がレバノンやその国民を豊かにしない。それはレバノンの銀行で止まり、豪華なヨットや、ヨーロッパの悪趣味で高すぎるスポーツカーや、首都の内部や周辺のとっぴな私的クラブ内で使われる。多くのレバノン人が飢餓の瀬戸際にいる一方、ニースやベニスやギリシャの島に飛ぶ飛行機は、いつも甘い生活を求める人々でいっぱいだ。
特にベッカー高原で栽培し精製する麻薬で、レバノンは何十億ドルも稼いでいる。それら金持ちの消費用として、主にサウジアラビアに輸出されるか、イエメンとシリアに、いわゆる戦闘用麻薬として戦場に投入される。これも皆それを知っているが、それを止めるためには何も行われない。農民から政治家まで何百もの家族が、その貿易で大富豪になった。これが名高いベイルート・マリーナに、更に何隻かの超豪華ヨットを加えている。
そして「対外援助」、「ヨーロッパのインフラ投資」、サウジアラビアとカタールの金がある。その大部分が、腐敗した当局者、いわゆる「政府」、そのお仲間や請負業者のポケットに直接注がれる。ほとんど何も建設されないが金は消えている。レバノンには、毎月の給料を受け取る鉄道従業員がいるが、もはや鉄道はない。駅は、ウオッカ・バーに転換されてしまった。地域じゅうから難民を受け入れできるよう、レバノンは金を嘆願しているが、金の多くは少数の金持ちの懐に入って終わる。難民や、低賃金の仕事を必死のシリア人やパレスチナ人と競争しなければならない貧しいレバノンの人々には、極めて僅かしか行かない。
貧しい人々は一層貧しくなっている。それでも、エチオピア人、フィリピン人、ケニア人のメイドが金持ちの食料を引きずり、エリート一家に生まれた赤ん坊のよだれをぬぐい、トイレを掃除している。一部の人々は、主人に拷問され、多くが自殺している。フェニキア人やヨーロッパ人に見えない人々にとって、レバノンは厳しい場所なのだ。
ベイルート南部のスラムは拡大している。北部のトリポリのようないくつかのレバノンの都市は全く途方もなく大きいスラムのように見える。
ベイルート中心街のホテルのフロント係、アリはこう嘆く。
「私は14時間ここで受付係として働いても毎月540ドルしか収入がありません。生きて行くのに最小限700ドル必要です。アメリカに姉がいて、一週間だけ訪問したいのですがビザを入手する方法がありません。私はわずか24歳です。私はベイルートの街頭で抗議しているそれほど多くの人々のようには、この国の未来が見えません。」
さまざまな推計によれば、レバノンは2020年2月という早い時期に崩壊するかもしれない。これ以上の金は略奪できない。終盤は近づきつつある。
国が崩壊しても、金持ちはゴールデン・パラシュートがある。彼らには国外に家族がいる。オーストラリアやブラジルやフランスに。パスポートを二つ持っている人々がおり、世界の最も望ましい地域に家を持っている人々もいる。
貧しい人々には、自身のエリートに略奪された国の脱け殻以外、絶対に何も残るまい。錆びて老朽化したフェラーリが至るところにあるだろうが、人は自動車の残骸を食べることはできない。汚染され破壊された海岸のすぐ横には、豪華ながら放棄されたスイミングプールが残るだろう。
人々がそれを知っており、彼らは、もううんざりしているのだ。
ベイルートのスターバックスカフェの店員モハメドは決意している。
「これはひどいものですが時間が重要です。我々はこれ以上我慢できません。我々は国を劇的に変える必要があります。今回は状況は異なっています。我々が誰を崇拝しているかではなく、我々の日常生活が問題なのです。」
レバノンは、他の恥知らずな資本主義国家と比較すると人々の教育水準が高い。この国の人々はだませない。
エリートに対する反乱は始まったばかりだ。人々は自分の国を取り戻したいと思っている。
Andre Vltchekは哲学者、小説家、映画製作者で調査ジャーナリスト。彼はVltchek’s World in Word and Imagesの創作者で、China and Ecological Civilizationを含め、多くの本を書いている作家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/10/24/beirut-is-burning-rebellion-against-the-elites-has-commenced/
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