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IS指導者死亡、成果誇るトランプ氏「泣き叫び逃げた」
https://digital.asahi.com/articles/ASMBW5674MBWUHBI015.html
2019年10月28日04時50分 朝日新聞
ISをめぐる主な出来事
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ホワイトハウスで、米軍特殊部隊の作戦を見守るトランプ米大統領(中央)ら。トランプ氏の左はペンス副大統領、右はエスパー国防長官。ホワイトハウス提供=AP
ワシントンで27日、会見で話すトランプ米大統領=AP
ワシントンで27日、会見で話すトランプ米大統領=ロイター
ワシントンで27日、会見で話すトランプ米大統領=ロイター
「史上最悪のテロ組織」とされる過激派組織「イスラム国」(IS)を率いたバグダディ容疑者が、米軍特殊部隊の作戦で死亡したとトランプ米大統領が27日、発表した。トランプ氏は、「バグダディの死は、米国の容赦ない追跡の結果だ」と成果を誇った。ただ、混乱が続くシリアでは掃討作戦の圧力が弱まり、IS復活の兆しがある。インターネットで世界に拡散した過激思想は、共鳴者を新たなテロに駆り立て続けている。
「(バグダディ容疑者は)トンネルを、犬のように泣き叫びながら逃げた。どのように死んだか見て欲しい。彼は英雄ではなかった。臆病者のように死んだ」。トランプ氏は27日朝、ホワイトハウスで米軍の旗を後ろに並べて胸を張った。
トランプ氏によると、米軍による作戦はシリア北西部の複合住居施設で行われ、約2時間で作戦を終えたという。自爆ベストを起動したバグダディ容疑者は3人の子どもを巻き込んだが、その他に住居にいた11人の子どもは救い出し、米軍に死者は出なかったという。
米メディアによると、作戦が行われたのは、シリアのアサド政権と対立する反体制派の拠点があるシリア北西部のイドリブ県。27日の早朝に、ヘリコプターや飛行機、地上軍を用いた攻撃が行われたという。イラクの国営テレビは、夜間の爆発や、地面に残った穴など、作戦に関連するという映像を放送した。
現在、米軍はシリア北部から撤退を進めている。ISの「国家樹立宣言」やテロの悪化を受けて、米国主導の「有志連合」による掃討作戦は2014年から開始された。周辺諸国のほか、クルド人武装組織「人民防衛隊」(YPG)などの協力を得て、ISが支配していた地域を次第に取り返し、17年にはISが「首都」と称したシリア北部ラッカを制圧した。
こうした状況を受け、トランプ氏は昨年12月、シリアから米軍を撤退させる方針を表明。国防総省幹部らが説得し、シリアにとどまっていたが、今年3月には、トランプ氏が改めてISの「完全制圧」を宣言。今月6日にはトルコ軍がシリア北部のクルド人勢力に軍事攻撃することを黙認する姿勢を示し、この地域からの米軍撤退を始めた。
この判断をめぐっては、「YPGを見捨てることになり、ISの復活にもつながりかねない」として米国内でも厳しく批判が出ていた。それだけに、米軍の作戦の末にバグダディ容疑者が死亡した影響は大きい。トランプ氏は「撤退と作戦は直接関係ないが、ISのリーダーは引き続き狙う」と語った。
米国防総省が8月に公表した報告書は「ISは既に、シリアで復活しつつある」と分析した。活動形態も領域支配型から、特定が難しい砂漠地帯に潜みながらテロを繰り返すゲリラ型に変容しているという。
戦闘員の問題もある。YPGが支配していたシリア北東部ではISの戦闘員約1万人が拘束されているが、YPG側によると、トルコ軍の攻撃後には800人近くが逃げ出した。拘束されている戦闘員のうち約2千人はイラクとシリア以外の外国人戦闘員で、約800人は欧州諸国の出身とされる。戦闘員の出身国は身柄引き取りを拒んでおり、どのように拘束を続けるのかが課題だ。(ワシントン=渡辺丘、土佐茂生)
広がった過激思想「ISはすでに全世界に」
バグダディ容疑者が2014年にイラクとシリアにまたがる「国家樹立」を宣言し、自らをカリフ(イスラム教の預言者ムハンマドの後継者)と宣言してから5年。最盛期にイラクとシリアの国土の3分の1を支配したISは、今年3月にはシリア東部に残った最後の拠点を失った。バグダディ容疑者の死亡で、世界を震撼(しんかん)させた企ては一つの区切りを迎えたが、その脅威は終わらない。
過激派の動向に詳しいハサン・アブハニヤ氏は、「ISの前身組織を率いたザルカウィ容疑者が死亡した時も、組織はすぐに後継者を決め、影響力を拡大した」と指摘する。イラク軍高官も「バグダディ容疑者の死は組織にとって打撃だが、ISはすでに全世界に存在しており、組織がどのように再度の伸長をはかるか油断できない」と話す。
ISは「領土」拡大だけでなく、プロパガンダに力を入れてきた。英語の機関誌も発行し、人質にはオレンジ色の服を着させて斬首する映像を公開するなど恐怖を植え付けた。すでに過激思想はネットを通じて地域や国境を超えて広がる。
国連の報告書は18年8月、「草創期の『国家』から秘密のテロリストネットワークに変わりつつある」と指摘。欧州などでは、乗用車や刃物など身近な生活用品でテロを起こせというISの過激思想に染まった人物によるテロが続発している。ネットで感化され、組織からの指示とは関係なくテロを起こすローンウルフ(一匹おおかみ)が相次いで生まれている。これを発見するのは極めて困難だ。
脅威はアジアにも広がる。16年7月にはバングラデシュでISに影響を受けた組織がレストランを襲撃。国際協力機構(JICA)関連のコンサルタント会社の日本人7人を含む20人以上が殺された。今年4月にはスリランカでISに忠誠を誓う男らによる連続爆破テロで250人以上が死亡している。
これまで、死亡説や重傷説が飛び交うなか、バグダディ容疑者だとされる動画が約5年ぶりに公開されたのは今年4月。スリランカでのテロを称賛し、「戦闘」の継続を呼びかけていた。さらに、ISはインドやパキスタンで立て続けに支部の設立を宣言し、思想を拡散する動きを見せる。
バグダディ容疑者が死亡しても、その拡大に歯止めはかからない。世界中に散らばったISの信奉者が、報復に出る懸念も排除できない。(イスタンブール=其山史晃、ドバイ=高野裕介)
「国家」企てた末 バグダディ容疑者、謎の素顔
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14233659.html
2019年10月28日05時00分 朝日新聞
イラク軍の施設に集められた、ISの武器や支配地域の「統治」の記録=バグダッド、其山史晃撮影
ISが最盛期の2015年時点に支配していた地域
米国が死亡したと発表した過激派組織「イスラム国」(IS)の最高指導者バグダディ容疑者。テロ組織がイラク、シリアの国土の3分の1を支配する「国家」を樹立という前例のない企てをした。▼1面参照
8月上旬、記者はイラクの首都バグダッドにあるイラク軍の情報機関の関連施設に設けられた「IS博物館」を訪れた。武器や「納税台帳」、子ども向けの教科書、「性奴隷」とした異教徒の女性の販売価格が記されたチラシ、斬首や火あぶりによる処刑の様子を記録した写真……。外交官や研究者などに限って公開されているという部屋の一面には狂気の歴史が刻まれていた。その中心にいたバグダディ容疑者とはどんな人物だったのだろうか。
バグダディ容疑者はイラク生まれのイスラム教スンニ派で、預言者ムハンマドの血を引くと主張してきた。その「血筋」は、世界中から信者を集めて「国家」を築くというシナリオに欠かせないものだった。
国連の資料などによると、首都バグダッドの大学で宗教学を学んだのち、過激思想に傾倒したとみられる。96年から4年前後、タリバーン政権下のアフガニスタンに滞在。米同時多発テロを起こした国際テロ組織アルカイダ幹部や、ISの前身組織をつくったザルカウィ容疑者とともに生活したとされる。
その素顔は謎に包まれている。14年7月、バグダディ容疑者はイラク北部モスルのヌーリ・モスクで演説をした。この時、モスクにいた50歳代の男性は17年、「身なりはよかったがカリスマ性はなかった。後日、テレビのニュース映像で、演説の男がバグダディだと知った」と振り返った。
ISの前身組織に加わり、過激な説教で民衆を扇動した宗教指導者バヘル死刑囚は17年の朝日新聞の取材に、かつてバグダディ容疑者と同じ米軍の収容所にいたと証言。「物静かな男で、何も特別なものは感じなかった」と言った。
出所後の07年11月ごろ、先に釈放されていたバグダディ容疑者の訪問を受け、「一緒に活動しよう」と誘われたが断ったという。バグダディ容疑者が14年にカリフを名乗ったことには、「カリフの資質を欠いていると感じた。一方、我々の悲願であるイスラム教の教えに基づく強力な国家の基礎を作った事実も考えると、葛藤があった」と語った。(イスタンブール=其山史晃、ドバイ=高野裕介)
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