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トランプは大差で再選される──最も当たる調査会社が予測
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/10/1-100.php
2019年10月16日(水)19時26分 マリカ・マライー ニューズウィーク
フロリダ州オーランドの選挙集会で再選への出馬表明をしたトランプ大統領夫妻(6月18日) Carlos Barria-REUTERS
<1980年の大統領選以来、一度しか予測を外したことのないムーディーズ・アナリティカがトランプ勝利を予測する背景は>
2020年米大統領選挙をめぐる世論調査で、ドナルド・トランプ大統領は現在のところ、民主党の複数の有力候補に遅れをとっている。だが、正確さで定評のある大統領選予測モデルを擁する調査会社ムーディーズ・アナリティクスは、トランプが大差で勝つと予測している。
同社は、1980年以降すべての大統領選で勝者を的中させてきた。唯一外れたのは、トランプとヒラリー・クリントンが対決した2016年の大統領選だけ。もっともこの時は、他の予測もほとんどがクリントンの勝利を予測した。トランプ勝利を予測できたほうが例外的だ。
ムーディーズ・アナリティクスのマーク・ザンディ、ダン・ホワイト、バーナード・イェーボスの3人は、「2016年大統領選で予測が初めて失敗した理由の一つは、想定外の人々が投票に出かけたことだった」と書いている。
「我が社のモデルは、候補者がどの政党の支持者かという以外の個人属性を考慮していなかった。つまりトランプとクリントンの得票は、それぞれの所属政党の支持者の動向で決まると思っていたが、そうではなかった」
ムーディーズは、経済面で3つのモデルを使って予測を立てているが、いずれのケースでも、2020年の大統領選でトランプは少なくとも全部で538人の選挙人中289人を獲得する見通しだという。
■市場の評価は今一つだが
3つのモデルのうち1つ目の「財布」モデルでは、経済についての3つの変数を重視している。ガソリン価格、住宅価格、個人所得の3つだ。いずれも、価格の変動が財布の中味に直結する。好調な米経済を背景に、トランプがいちばん大差で勝つのはこのモデルで、351人という圧倒的な選挙人を獲得する。
「有権者が主として自分の懐具合に基づいて投票した場合、トランプが圧勝するだろう」とムーディーズ・アナリティクスのリポートは書く。
2つめは「株式市場」モデルで、これがトランプにとっては最も厳しい。ここで重視するのは、スタンダード&プアーズ(S&P)500社株価指数とそこに組み込まれている優良企業500社の収益動向だ。米企業と株式市場は今、主にトランプの貿易政策をめぐる不透明感から悪影響を受けている。だからトランプに厳しくなるが、それでも、現時点ではまだトランプが勝つという予測になっている。
最後の「失業率」モデルでは、現在の低失業率が来年半ばごろまで続くという見通しを背景に、トランプの楽勝を予測する。
ムーディーズ・アナリティクスは、前回の大統領選では予測を外したものの、同社が2016年にトランプの大統領在任中の経済状況について行った予測は、おおむね現実になっている。
<参考記事>嘘つき大統領トランプがアメリカの民主主義を打ち砕く
<参考記事>民主党予備選で着実に支持を上げるエリザベス・ウォーレン
2016年、ムーディーズ・アナリティクスはトランプ政権下の経済について以下のように予測した。
「トランプの経済政策は、米国経済の孤立化を深める結果になるだろう。国際貿易と移民は大幅に減少する。貿易と移民の減少に伴い、外国からの直接投資も減少するだろう」
「この分析のもとになった経済モデルや根本的な仮定の正確さに若干の変動があったとしても、トランプの経済政策の影響に関しては、次の4つの基本的な結論が得られる。1) 米国経済の国際性が低下する結果になる。2) 政府の赤字と負債が増加する。3) きわめて高収入の世帯が主に恩恵を受ける。4) 米国経済が弱体化し、雇用が減少して失業率が上昇する」
もっとも、2020年の大統領選についてもまた外れる可能性はあると、ムーディーズ・アナリティカは警告する。トランプの経済政策には「詳細が欠けているため、定量化には複雑さが伴う」という。
「トランプという候補が過去の例からあまりにも逸脱しているために、モデルがうまく機能しない可能性もある」とザンディは述べる。「結局、モデル化できない原動力に結果を左右されていた、ということになるかもしれない」
(翻訳:ガリレオ)
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