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中東のパワーバランスが変化する中、露大統領がサウジを訪問
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2019.10.14 櫻井ジャーナル
支配体制が揺らいでいるサウジアラビアをウラジミル・プーチン露大統領が10月14日に訪れる。サウジアラビアは言うまでもなくアメリカの影響下にある国で、イスラエルと同じようにアメリカの支配システムにおける重要な柱のひとつになっている。揺らいでいるサウジアラビアの体制を支えるためなのか、アメリカは約3000名の部隊を同国へ派遣するようだ。 現在、サウジアラビアはモハメド・ビン・サルマン皇太子を中心に動いていると見られているが、その皇太子が孤立化していることは本ブログでも指摘した。 父親である国王のサルマン・ビン・アブドラジズ・アル・サウドからの信頼も失い、国王から最も信頼していた警護責任者のアブドル・アジズ・アル・ファガム少将を9月28日に射殺した黒幕は皇太子だと言われている。 皇太子は2017年11月4日からライバルの粛清をはじめ、48時間の間に約1300名を逮捕。拘束された人びとは財産を取り上げられただけでなく拷問された。 その拷問を行ったのはブラックウォーター(すでにXe、さらにアカデミへ名称が変更されているが、今でもよく使われているので、ここではこの名称を使う)だとされているが、皇太子は警護をブラックウォーターに任せようとしているとする情報が流れている。 サウジアラビアを訪問するプーチンはシリア政府とクルドの話し合いを仲介しているという。シリアは2011年3月からアメリカ、イスラエル、サウジアラビアの三国同盟、イギリスとフランスのサイクス-ピコ協定コンビ、パイプラインの建設でシリアと対立したカタール、そしてオスマン帝国の再興を夢見るトルコなどに侵略戦争を仕掛けられた。 その中からカタールとトルコが2016年に離脱する。トルコの場合、シリアでの戦争長期化で経済が苦境に陥ったことが大きい。 シリアでは2015年9月末に同国の政府から要請を受けたロシアが軍事介入、アメリカなどの侵略勢力が使っていたダーイッシュ(イスラム国、IS、ISIS、ISILとも表記)やアル・カイダ系武装集団、いわばジハード傭兵を敗走させ、戦況は一変。そこでトルコの戦闘機が11月24日にロシア軍機を撃墜した。アメリカ軍の命令によると見られている。 その撃墜をトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は2016年6月下旬に謝罪、7月13日には同国の首相がシリアとの関係正常化を望んでいることを示唆。その2日後に軍事蜂起(クーデター未遂)があったが、すぐに鎮圧されている。事前にトルコ政府へロシアから警告があったと言われている。 このクーデターでアメリカはフェトフッラー・ギュレンの一派を利用した。アメリカでCIAに保護されているギュレンを引き渡すようトルコ政府はバラク・オバマ政権に求めるが、拒否される。トルコ政府はクーデター計画の背後にアメリカ中央軍のジョセフ・ボーテル司令官やジョン・キャンベルISAF司令官がいたと主張している。 クーデターの失敗はアメリカを厳しい状況に追い込むことになった。トルコは戦略的に重要な位置に存在するNATO加盟国であり、扱いが難しい。手先のクルド勢力をトルコ軍が攻撃したからといって、アメリカ/NATO軍がトルコ軍を攻撃するわけにはいかないのだ。こうした展開になったことで、クルドは自分の立場を理解しただろう。シリア政府と話し合いが始まっているとは以前から言われていたが、ここにきて協議は進んでいるようだ。 クルドがアメリカの手先として動くことをやめ、「クルドの国」の建設を放棄したなら、アメリカのほかイスラエル、サウジアラビア、イギリス、フランスはシリア占領を続けることが難しくなる。 こうした勢力はイラクの拠点を強化しているが、そのために関係が悪化しているイラク政府を揺さぶっているが、その目論見が成功するかどうかは不明だ。 アメリカの支配力が弱まり、中東のパワーバランスは大きく変化している。そうした中、アメリカを支えてきたサウジアラビアをロシアの大統領が訪問、何が話し合われるのかは興味深い。 |
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