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香港の反中国派は米国に介入を公然と要請、米国では内政干渉法を制定する動き
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2019.09.20 櫻井ジャーナル
香港の反中国派は運動が行き詰まり、公然とアメリカ支配層に介入を要請しはじめた。アメリカではそれに応える動きがある。運動が始まった当初から反中国運動の背後にCIAが存在していることは本ブログでも指摘した通りだが、そうした関係が広く知られるようになり、開き直ったのかもしれない。 現在、アメリカ下院では中国への内政干渉を形式的に合法化するため、「香港人権民主主義法」の成立が図られている。同じ趣旨の法案が登場したのは2016年のこと。提案者はトム・コットン上院議員とマルコ・ルビオ上院議員だ。 ルビオは2017年5月、香港で反中国運動の中心メンバーである黄之鋒(ジョシュア・ウォン)と会談、黄は今年(2019年)8月6日に羅冠聰(ネイサン・ロー)らと一緒にアメリカのジュリー・イーディー領事とJWマリオット・ホテルで会っているところを撮影されている。イーディーは外交官だが、前にも書いたように、CIAの非公然オフィサーだと噂されている。 黄や羅のような若者を操っている人物として言われているのが元王室顧問弁護士の李柱銘(マーチン・リー)、アップル・デイリー(蘋果日報)などのメディアを支配する黎智英(ジミー・リー)、香港大学の戴耀廷(ベニー・タイ)副教授、カトリックの枢機卿である陳日君(ジョセフ・ゼン)、公民党の余若薇(オードリー・ユー)、元政務司司長の陳方安生(アンソン・チャン)など。こうした人びとは2014年9月から12月まで続いた「佔領行動(雨傘運動)」でも中心的な役割を果たした。 ルビオはキューバ系だが、イスラエルのためにも活動している。アメリカでは上院も下院も議員の大半が親イスラエル派ではあるが、ルビオはイスラエルに対するBDS(ボイコット、資本の引き揚げ、制裁)を法的に禁止しようとしているグループのひとりだ。 ベネズエラにアメリカの傀儡政権を樹立させる工作にもルビオは参加している。この工作は1999年にビル・クリントン政権がクーデターを計画したところからはじまる。この年にベネズエラの大統領となったウーゴ・チャベスがアメリカから自立した体制を築こうと考えたからだ。 その計画は2002年にジョージ・W・ブッシュ政権が始動させた。中心になったのはイラン・コントラ事件にも登場するエリオット・エイブラムズ、1986年から89年にかけてベネズエラ駐在大使を務めたオットー・ライヒ、そしてジョン・ネグロポンテ国連大使。ネグロポンテは1981年から85年にかけてホンジュラス駐在大使を務めていたが、そのときにニカラグアの革命政権に対するCIAの秘密工作に協力、死の部隊にも関係している。 2002年のクーデターは事前にOPECの事務局長を務めていたアリ・ロドリゲスからウーゴ・チャベス大統領へ知らされていたことから失敗するが、それでもアメリカ支配層があきらめない。例えばウィキリークスが公表したアメリカの外交文書によると、2006年にもベネズエラではクーデターが計画されている。「民主的機関」、つまりアメリカの支配システムに操られている機関を強化し、チャベスの政治的な拠点に潜入、チャベス派を分裂させ、それによってアメリカの重要なビジネスを保護し、チャベスを国際的に孤立させるとされている。 チャベスは2013年3月に癌のため、58歳の若さで死亡。その際にアメリカは体制転覆を目論むが、それも失敗、アメリカに好ましく思われていないニコラス・マドゥロが大統領に就任した。そのマドゥロ政権を倒す工作を現在も進めている。 その手先に選ばれたのがフアン・グアイドで、アメリカに軍事介入を求めていた。それを支援していたひとりがルビオ。この議員は自身のツイッターにムアンマル・アル・カダフィの元気な時の姿と惨殺される寸前の様子を撮影した写真を並べて載せていた。 3月7日にベネズエラでは大規模な停電があったが、その数分後にルビオ議員はその状況を詳しく述べ、空港ではバックアップの発電機も起動しなかったことが指摘している。これは事実だが、その時点ではベネズエラ政府もその事実を把握できていない。「語るに落ちる」だ。 アメリカの支配グループは各国有力者を買収や恫喝で操っているが、自主性を捨てない体制は要人暗殺、クーデター、場合によっては軍事侵攻で潰してきた。かつてのクーデターは現地の軍事を使っていたが、1990年代からは「民主派」を装った「カラー革命」が多い。 1960年代のベトナム戦争や70年代から80年代にかけてのラテン・アメリカにおける体制転覆工作で人権を無視する手段で民主化勢力を抹殺したことでアメリカのイメージが悪化、それを反省したのか、80年代には侵略に「民主」、「人権」、「自由」といったタグをつけるようになる。ロナルド・レーガン政権がはじめた「プロジェクト・デモクラシー」だ。 そうしたタグをつける役割を負っているのが有力メディア。侵略に「民主」、「人権」、「自由」といったタグをつけるという手法の効果は絶大だった。1991年から広告会社がイメージ戦略で重要な役割を果たすようになる。 その一方、有力メディアやハリウッドでは真に民主主義、人権、自由を擁護する人びとが排除され、潰されていった。ジョン・F・ケネディ大統領が暗殺された後、支配層にとって目障りな有名人が暗殺されたり変死している。中には刑事被告人として追われることになった人もいる。 アメリカはウィリアム・ブラウダーの脱税事件をロシア当局が取り調べていた途中にブラウダーの金庫番だったセルゲイ・マグニツキーが死亡したことを利用、ロシアを攻撃するために「マグニツキー法」を2012年に制定、2016年に法律の対象は全世界に広げられた。アメリカ政府が人権を侵害したと認定した人物の資産を凍結、アメリカへの入国を禁止することができるようになったのだ。その2016年にルビオ上院議員たちは「マグニツキー法」と似た「香港人権民主主義法」を持ち出してきたわけである。 なお、ECHR(欧州人権裁判所)はロシア当局によるブラウダーやマグニツキーに対する捜査は正当なもので、政府高官の不正をマグニツキーやブラウダーが主張し始める数年前から当局はふたりを脱税容疑で調べ始めたと判断している。 |
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