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リンゼー・グラムの白紙委任状、イスラエルとの防衛協定がアメリカにとって惨たんたるものである理由
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2019年8月26日 マスコミに載らない海外記事
フィリップ・ジラルディ
2019年8月22日
Strategic Culture Foundation
二つの世界大戦は、一つの国が、もう一つの国に援助に行くと言ってした無条件の誓約のせいで始まったのだ。1914年7月5日、ドイツ皇帝ウィルヘルム二世は、6月28日、オーストリアのフランツ・フェルディナンド大公のボスニア・サラエボ公式訪問の際、セルビア人国家主義者による暗殺後、セルビアに対して、オーストリアハンガリーがすると決めたどんな対応にも、ドイツの完全な支援を約束した。この致命的な過ちは、ドイツのオーストリアに対するカルテ・ブランシュ、つまり「白紙委任状」保証が、直接第一次世界大戦に導いたものとして歴史に記された。
1939年9月、ドイツ軍が、ポーランドを侵略した際、イギリスとフランスが3月にした「保証」を果たして支援に行った際に第二次世界大戦が始まった。地域戦争で、外交を通して解決されたかもしれないものが、世界的になったのだ。
このような誓約が、歴史家によって、二大世界大戦の直接原因だと評価された以上、決して誰も再びその道を進もうとは考えないと思うだろう。だが、それは四月からイスラエルとの「防衛条約」を要求している共和党のリンゼー・グラム上院議員を考慮に入れない場合のことだ。最近の不意打ちで、グラムは7月末、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に「無制限の権限」保証を提供することへの超党派的支持を求めて、来年までに完全な防衛条約を上院で強引に通過させることが可能になるよう望んでいると発表した。
この話題関する彼のいくつかの発表で、グラムは、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と、条約を推進するために使われている基本文書を書いて、議会の支持を得るためにグラムを徴募した国家安全保障問題ユダヤ研究所(JINSA)の看板役を務めてきた。
JINSA電話会議で報道機関に語って、提案された協定は「実存的脅威」となる攻撃に備えてイスラエルを守る条約だとグラムは述べた。イランを例として引用して、協定は、イスラエルに対して大量虐殺兵器を使用するかもしれないイランのような敵対的隣人を阻止する試みだとグラムは述べた。JINSAのマイケル・マコフスキ理事長は、「相互防衛条約は、単に阻止だけでなく、イスラエルの敵による報復攻撃を和らげる可能性がある点で、が価値があり、それは(イランの原子力発電所に対する攻撃への)イランの反撃を和らげるかもしれない。」とこれを詳述した。
JINSAの外交政策部長ジョナサン・リューエは「イラン核開発計画に対するイスラエル攻撃は、この協定を始動させないが、イランによる大規模報復は起動させる可能性がある。イスラエルの一方的攻撃は、条約の対象ではないが、イランの大規模報復が、我々が取り組んでいることだ」と付け加えた。
イスラエルの選択肢を制限し、軍事侵攻の攻撃的パターンを抑制するかもしれないので、イスラエルは、長い間、アメリカとの、いかなる実際の条約も締結するのを渋っていた。その点、実質的に、ワシントンがネタニヤフの「選択肢」を制限しない保証があり、イスラエルが介入主義者であるのを許すので、グラム- JINSA提案は特に危険だ。そして、条約は相互ではあっても、いつかアメリカを守るために何でもするようイスラエルが要求される可能性は皆無で、ユダヤ国家に対する大半の取り決めがそういう傾向があるのと同様、一方的だ。
二国間合意は、上院に批准される条約だろうから、次期政権が放棄するのは、オバマ大統領の大統領権限行使だったイラン核合意より遥かに困難だろう。明らかにグラム、マコフスキーとリューエによる発言は、この条約は、もし彼らがそうすると決めれば、イスラエルの対イラン攻撃の青信号役をつとめ、イスラエルを「守る」という完璧なアメリカの誓約で、イランによる本格的報復を思いとどまらせるのに役立つ、テヘランにとって赤信号役をつとめることを明らかにしている。動的関係を考えれば、条約は、ワシントンからエルサレムに対する片道の安全保障以外のほとんど何ものでもあるまい。
さらに、どんな状況が、イスラエルのためのアメリカ介入を引き起こすかについて概説して、JINSA /グラム文書は、とりわけ「大量虐殺兵器の脅威あるいは使用」を引き合いに出している。それは「イスラエル政府の緊急要請を生じさせる」どのような事件や展開でも、脅威的だと定義づけ、ネタニヤフが支援を要求するのを認めている。その脅威が実際どんなに曖昧であろうとも、彼が脅威と認めさえすれば、ネタニヤフは、アメリカにイランを攻撃するよう要求できるように思える。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、1992年以来、イランが核兵器能力を得るまで「三年から五年」、「もしかすると数週間」だと主張して、イランを攻撃するようワシントンに強いてきたのだから、彼は明らかに来る再選出馬の支援と、戦略上の理由でこのような条約を歓迎するだろう。グラムが協定がどのように機能するか論じたトランプ大統領は、2020年に彼自身の選挙運動を強化するため、イスラエルにとって強く見えることに同様の関心を持っている。
2010年、ネタニヤフがイスラエル国防軍(IDF)にイラン攻撃準備を命じたが、「イスラエルの安全保障のトップが拒否したことは指摘する価値がある。IDF参謀総長のガビ・アシュケナジと、当時のイスラエル諜報機関モサドの長官メイヤー・ダガンは、ネタニヤフとエフド・バラク防衛大臣が「こっそり戦争をしよう」としていたと考えて、命令は実行されなかった。攻撃は、二人の大臣、モーシェ・ヤアロンとユバール・シュタイニッツにも拒絶され、ネタニヤフは、先に進むために必要な大多数を得られなくなった。
2012年のこの出来事に関するインタビューで、アシュケナジは、攻撃は大きな戦略上の誤りだろうと確信していたと述べた。メイヤー・ダガンは、2012年に、イスラエル諜報機関モサド長官の職を離れた後、攻撃で、範囲全体が確実に不安定化するだろうし、イスラエルと、アメリカによる何度もの介入が必要になる「愚かなこと」だと述べた。
更に「防衛条約」から生じる他の問題もある。防衛というのは、まさにそれだけを意味し、条約は一般に自身の国境内にある国を守るよう意図されている。イスラエルは拡張主義で、違法にパレスチナの土地を占領しているので、明確な国境がなく、結果的に、アメリカは、イスラエルが自身のものだと定義する地域を守るよう義務づけられるだろう。それはほとんどあらゆるものを意味し得るする。イスラエルは、ダマスカスに対して戦争を行っていないが、現在イスラエルはほぼ毎日シリアに爆弾を投下している。もしシリアが反撃して、グラムの条約が実施されていれば、ワシントンは厳密な法解釈上、イスラエル支援に行くよう義務づけられるだろう。類似の状況がレバノンにも適用されるし、アメリカが配置した5,000人の兵士がいるイラクでも、イスラエルは、イランの補給線とされるものに爆弾を投下しているという報告もある。
本当の問題はトランプ政権が、イランでの政権転覆に取りつかれていることだが、それはこれまでのところ、紛争を始めるようイランを挑発することはできなかった。本当の問題はトランプ政権が、イランでの政権転覆に取りつかれていることだが、それはこれまでのところ、紛争を始めるようイランを挑発することはできなかった。グラムが提案した条約は、イスラエルが望んでいる戦争を始めることができるようにして、そこでアメリカが条約で、そうするよう義務づけられて、素早く「イスラエルを守る」ために続くという、議会と世論を回避するホワイトハウス計画の一部かもしれない。まずい方向に行きかねないのは一体何だろう? 「全て」というのが正解だ。
フィリップ・ジラルディは博士で、Council for the National Interest事務局長。
記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2019/08/22/lindsey-grahams-blank-check-why-a-defense-agreement-with-israel-would-disaster-for-americans/
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