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米大統領選で戦争に反対するガッバード議員に対する誹謗中傷攻撃
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201908030000/
2019.08.03 櫻井ジャーナル
2020年のアメリカ大統領選挙で民主党のタルシ・ガッバード下院議員が注目されている。巨大資本が国を支配することを許すTPP(環太平洋連携協定)に反対し、銀行業務と証券業務を分離させて投機を抑制していたグラス・スティーガル法を復活するべきだと主張しているが、それ以上に攻撃されている政治姿勢は戦争に反対していること。 少なからぬ好戦派は自らが戦場で戦ったり、あるいは自分の子どもを戦場へ送り出そうとしない。アメリカに徴兵制があったころには「シャンパン部隊」という有力者の子ども向けの戦場が存在した。この部隊は戦場へ派遣されない。CCR(クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル)の「フォーチュネート・サン」はこうした部隊のことを歌っている曲。徴兵制があるとこうした部隊が必要になってくるわけだ。 ガッバードは大学を卒業した後、2002年から04年にかけてハワイ州下院の議員を務めている。2004年7月から12カ月間、州兵としてイラクに派遣されている。最初は医療部隊に所属、そのあと兵站部門で働いた。2006年に帰国してからダニエル・アカカ上院議員の下で働き、13年から下院議員。 イラクにいれば戦争の実態がわかるはずで、シリアでの戦闘がアメリカを含む外国勢力による侵略だということも理解しているだろう。そうしたこともあり、アメリカのシリアに対する姿勢を批判し続けてきた。それに対し、有力メディアや選挙戦のライバルは彼女をバシャール・アル・アサドの擁護者だと攻撃している。 ネオコンは1980年代からイラクのサダム・フセイン政権を倒して親イスラエル体制を樹立、トルコ、イラク、ヨルダンの親イスラエル国帯でシリアとイランを分断、その両国を倒して中東全域を支配するという戦略を立てていた。 その戦略はフセインをペルシャ湾岸産油国の防波堤と考えていたジョージ・H・W・ブッシュやジェームズ・ベイカーたちから反対されるが、この両勢力はソ連解体や中国での新自由主義促進で手を組んでいるように見える。 中国では自分たちの傀儡が敗北するが、ソ連の解体には成功し、ネオコンのポール・ウォルフォウィッツ国防次官(当時)が中心になり、1992年2月に国防総省のDPG草案という形で世界支配プランが作成される。いわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」だ。当時の大統領はジョージ・H・W・ブッシュ、国防長官はリチャード・チェイニー。この3人はジェラルド・フォード大統領がデタント派を追放した際、つまり1970年代の半ばに表舞台へ出てきた人びとだ。 この時点でロシアはアメリカやイギリスを中心とする西側の属国になっていて、残るは新自由主義化が不十分な中国。そこで東アジア重視ということになるわけだ。 西側は1990年代に旧ソ連圏への侵略を開始、21世紀には世界制覇戦争が始まる予定だったのだろう。2000年にネオコン系シンクタンクのPNACはウォルフォウィッツ・ドクトリンに基づく報告書「米国防の再構築」を発表、それに従ってジョージ・W・ブッシュ政権は侵略戦争と国内の刑務所化を進める。そうした政策を可能にしたのが2001年9月11日に引き起こされたニューヨークの世界貿易センターやバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)への攻撃だった。 ところが、この時期にロシアではウラジミル・プーチンたちが不十分ながらロシアの再独立に成功、ウォルフォウィッツ・ドクトリンの前提が崩れる。そこでロシアを再属国化させようという勢力とイラクに続いてシリアやイランを制圧しようという勢力の対立が生じた。 とはいうものの、シリアやイランを制圧するという点で両勢力に違いはない。ただ手順で対立しているのだ。この両勢力にとって、戦争に反対するガッバードは共通の敵だ。 |
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