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ギリシャで有権者を裏切ったチプラス政権が総選挙で大敗した背景
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201907070000/
2019.07.08 櫻井ジャーナル
ギリシャで行われた総選挙でND(新民主主義党)が議席が過半数を獲得、同党のキリアコス・ミツォタキスが新しい首相に就任する見通しだ。アレクシス・チプラス首相が率いるシリザ(急進左派連合)は大きく議席を減らした。シリザは5月下旬の欧州議会選で敗北、10月までに予定されていた選挙を前倒しで実施したわけで、予想通りの結果である。 シリザが有権者の支持をなくした理由は明確。公約を破ったからだ。ギリシャで財政危機が表面化した際、ECB(欧州中央銀行)、IMF(国際通貨基金)、そして欧州委員会で編成される「トロイカ」は欧米の巨大金融機関を救済するために尻拭いを庶民に押しつけようとする。それが緊縮財政。 ギリシャの財政危機を招いたのは年金制度や公務員の問題だと西側のメディアは宣伝していたが、それでは危機が急に深刻化した理由が説明できない。そもそもギリシャの財政を悪化させた最大の要因は第2次世界世界大戦や軍事クーデターによる国の破壊だ。 そうした経済状態だったギリシャだが、それでも破綻が差し迫っていたわけではなかった。経済破綻に向かってギリシャが暴走をはじめた直接的な原因は、2001年に通貨をドラクマからユーロへ切り替えたことにある。この切り替えでギリシャは経済的な主権を失い、ギリシャ政府は独自の政策を打ち出すことができなくなっていた。 実は、EUのルールに従うとこの通貨切り替えはできないはずなのだが、切り替えられた。そこには不正が存在している。財政状況の悪さを隠したのだ。その作業で中心的な役割を果たしたのが巨大金融機関のゴールドマン・サックス。財政状況の悪さを隠す手法をギリシャ政府に教え、債務を膨らませたのである。 その手法とは、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)などを使って国民に事態を隠しながら借金を急増させ、投機集団からカネを受け取る代償として公共部門の収入を差し出すということが行われていたという。借金漬けにした後、「格付け会社」がギリシャ国債の格付けを引き下げて混乱は始まった。 ギリシャを破綻させる作業が続いていたであろう2002年から05年にかけてゴールドマン・サックスの副会長を務めていたマリオ・ドラギは06年にイタリア銀行総裁、そして11年にはECB総裁に就任している。 昔から金融資本は緊縮財政を主張してきた。年金や賃金を減額し、社会保障の水準を下げ、失業者を増やすことになる政策だ。つまり、庶民へ流れるカネの流れを絞り、金融機関を儲けさせようというわけだ。 そうした理不尽な要求をギリシャ人は拒否、2015年1月に行われた総選挙でシリザを勝たせたのである。その年の7月に行われた国民投票で61%以上がトロイカの要求を拒否したのは当然だろう。 そこでアメリカのバラク・オバマ政権はギリシャの内政に干渉する。2015年3月にネオコンのビクトリア・ヌランド国務次官補をギリシャへ派遣したのだ。ヌランドはチプラス首相に対し、NATOの結束を乱したり、ドイツやトロイカに対して債務不履行を宣言するなと警告、さらにクーデターや暗殺を示唆したとも言われている。イギリスのサンデー・タイムズ紙は7月5日、軍も加わったネメシス(復讐の女神)という暗号名の秘密作戦が用意されていると伝えていた。 チプラス政権は西側金融資本を救済する政策を実行するだけでなく、アメリカやイスラエルとの間でEMA(東地中海同盟)を結ぶ。2018年春からギリシャのラリサ空軍基地はアメリカ軍のUAV(無人機)、MQ-9リーパー(プレデターBとも呼ばれる)の拠点として運用されている。 さらに、カルパトス島でアメリカ軍とギリシャ軍の基地を建設、アメリカ軍のF22戦闘機の拠点にしようという計画もあるようだ。この島はエーゲ海のデデカネス諸島に属し、ロードス島とクレタ島の中間にある。 また、ギリシャ政府は同国の東北部にあるアレクサンドルポリをイスラエルから天然ガスを運ぶためのハブ基地にしようと目論んでいる。地中海の東側、リビア、エジプト、パレスチナ(ガザ)、イスラエル、レバノン、シリア、トルコ、ギリシャを含む地域に天然ガス田があり、その利権をイスラエルとそのスポンサーが手に入れようとしている。この資源調査に加わったノーブル・エナジーのロビイストにはビル・クリントン元米大統領が含まれている。 ノーブル・エナジーは2010年、イスラエル北部で推定埋蔵量約4500億立方メートルの大規模ガス田を発見したと発表したが、USGS(アメリカ地質調査所)の推定によると、エジプトからギリシャにかけての海域には9兆8000億立方メートルの天然ガスと34億バーレルの原油が眠っている。 昨年(2018年)8月、ギリシャに対するESM(欧州安定メカニズム)の第3次金融支援が終了し、8年間におよぶ支援を脱却したと報道されたが、予定通り進んでも債務の返済にはあと半世紀は必要だとされている。しかも「支援」の過程で経済は大幅に縮小、若者や専門技術を持つ人びとを中心に約40万人のギリシャ人が国外へ移住、メンテナンスを放棄したことからインフラを含む700億ユーロ相当の資産が失われた。ギリシャ危機が終わったのではなく、ギリシャという国が終わったのだと言われるのは、そのためだ。 チプラス政権は西側の巨大金融資本のために働いた。そのチプラスから首相の座を引き継ぐミツォタキスはアメリカで仕込まれた人物。つまり、1986年から90年にかけてハーバード大学、92年から93年にかけてスタンフォード大学で学び、93年から95年にかけて在籍したハーバード・ビジネス・スクールでMBA(経営学修士)を得ている。 |
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