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中国のOBOR構想はどこに向かっているのだろう、どう進展しているのだろう?
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2019年6月27日 マスコミに載らない海外記事
2019年6月9日
ニーナ・レベデワ
New Eastern Outlook
北京での2019年一帯一路フォーラムの討論と会議と宴会が、とうとう終わった。150以上の代表団がこの催しに参加した。現段階で、我々はこのプロジェクトをどのように考えることができるだろう? 昨年、5周年を祝った中国の世界的構想に、新たな懐疑論者や反対者や擁護者が誰か現れたのだろうか?
もし我々が再度、OBOR(一帯一路)に対して浴びせられた批判から始めるとすれば、シンクタンクが作成し、2019年1月30日に日本の防衛研究所が公表した年次報告書「中国安全保障レポート」が、まず我々の注意を引きつける。それはやはり、プロジェクトの現在と未来の費用や問題や、世界秩序に対する構想の悪影響に焦点を当てている。概して言えば、報告書は使い古された同じ問題を論じ、例として同じ不満、つまり「借金地獄」や南東アジアや南アジアや他の地域の国で、OBORに対し増大している不信が脅威として使われている。文書はマレーシアやパキスタンやスリランカに言及しているが、ラオス、モルディブ諸島、ミャンマー、モンゴル、ジブチや他の国々も挙げてリストを続けるのが合理的だろう。これらの国々は(ワシントンDCの)Center for Global Development「世界開発センター」が公表した2018年報告によれば(中国からの)負債が高い危険範囲にある。
アメリカにならって、日本は厳しいOBORの批判を公式に発表した。だが2014年、特に2018年から、アメリカとの「貿易戦争」から生じる変化から、中華人民共和国が益々多くの圧力を経験する中、東京と北京間(政治分野ではさほどではないが、経済や投資や融資分野)の関係が改善し始めた。この環境で、日本政府は中国と競争し、OBOR提出議案を批判し続ける一方、2017年のインド構想、すなわちアジア-アフリカ成長回廊を支持した。提案された構想は、北京の真珠の首飾り戦と、21世紀の海のシルクロード(MSR)戦略への本格的な挑戦と見なされた。日本はOBORに代わる選択肢である「質が高いインフラ」計画の枠組みとして、積極的にこの構想を促進していた。2018年11月、日本とアメリカとオーストラリアはアジアに対する三国間インフラ投資提携協定に署名した。
他方、雪解けによる中国と日本の関係で、安倍晋三首相は、彼のアベノミクス計画の一環として、中国との協力が有益なことに気がついた。だが最初に、彼は、このような協力のために私企業や国家が支援する銀行に許可を与えていた。OBORの枠組み内のものを含め、利益あるプロジェクトの一部になろうと日本企業が努力することで、北京との関係の雪解けを容易にした。加えて、東京と北京は、共同で第三国のインフラ計画の資金調達をする仕組みを開始した。そうすることで、日本は中国プロジェクトの品質基準を向上させることを狙っている。二国間の協力とライバル関係のいくつかの例として、タイの三つの主要空港と、インドネシアで(中国が建設した)ジャカルタ-バンドン鉄道をスラバヤに延伸する日本のプロジェクトがある。この協力がどの方向に向かっているか言うのは困難だが、2019年5月、スリランカでの中国プロジェクトは深刻な障害に遭遇した。
スリランカ政府は、2013年末、OBOR構想に「誘惑された」最初の国の一つだった。中国は島の南にハンバントタ港を作り、経費14億ドルの81%の資金調達をした。港町はシンガポールとドバイ間のかなり大きな積み替えハブになるよう意図されていたが、それに対する要求は極めて過大に見積もられていた。年間60,000隻の船が、必要なコンテナ輸送能力と基本装置が欠如しているハンバントタ港を通り過ぎて、インド洋を横切って航行している。スリランカは建設に使われた巨大な融資を返済することができず、負債の大きさを減らすのと引き換えに、港を99年リースで中国に委ねることを強いられた。加えて、中華人民共和国は、マッタラに年百万人の乗客を扱う収容能力の巨大空港建設資金調達(2億ドル)を支援した。だが実際は、それはほとんど使われず(世界で最も空っぽの空港の一つだ)、現在ターミナルの大半が米の貯蔵に使われている。結局、これらのプロジェクトは両方ともOBOR戦略の目に余る失敗の例となった。
似たような性質の困難な状態が、裕福な観光客のための天国モルディブ共和国で生じた。当時のモルディブ大統領アブドゥラ・ヤミーンは、二つの大きな島をつなぐ二キロの中国モルディブ友好橋建設のような、財政的に必ずしも健全というわけではなかったプロジェクトのために(しばしば高金利で)中国から資金を借り入れた。主要空港への新鉄道、先にインドが提言していた構想より三倍も費用がかかった病院や他の多くのもの。結局、モルディブ共和国は種々のOBORプロジェクトの結果(国のGDPの20%に等しい)負債の山を築いた。中国支持派のアブドゥラ・ヤミーン大統領が2018年11月、再選に失敗した後、イブラヒム・アミール財務大臣が、インドに、二億ドルの融資を求め、皆で国の「インド・ファースト」政策を支持し、中国の「無理強い」策略を終わらせるよう促した。
パキスタンのある地域で行われていた略奪的貸し付けの慣行にいら立った軍人が、2018年11月、カラチの中国領事館を攻撃し、7人を殺害した。
しかしながら、アジアは緊急なインフラ開発プロジェクトが必要だ。アジア開発銀行(ADB)は、天文学的な金額の26兆ドルが、今後10年、アジアでの道路と高速鉄道の建設のために必要とされると推計している。ドイツのマーシャルファンドのアジア・プログラム欧米関係上級研究員アンドリュー・スモールは、OBORの進展評価として、構想は設立後最初の5年間、将来的には実行可能でない、実施の速度と規模だけに焦点を当てたと結論した。中国幹部の何人かは(静かに匿名で)実施時の、いくつかの建設計画の低品質や、厳しい融資条件や、これらが、中国の世界的立場や評判にもたらす損害の話をし始めた。
この全てが中華人民共和国が提案する一部のプロジェクトに対し、批判や疑念を表明する一層厳しい意見があるだろうことを示唆している。これが、2019年の第2回OBORフォーラムで、北京に異例な処置をとるよう駆り立てたのだ。フォーラム初日の演説で、習近平主席が(おそらく完全に心からではなく)若干の間違いがなされ、将来は、プロジェクト実行に際して、より透明な手段が求められなければならず、いかなる汚職に対してもより厳しくすべきことを認めた。確かに、彼の演説のこの部分は、世界的なOBOR手法に大きい広がる批判に対する彼の答えだった。
インフラ開発計画に対し、融資や投資を速く受けようとする、最初の(そう言って良いだろう)炯眼からは程遠い取り組みや実施にまつわる折々の苦い経験から、とりわけ裕福ではないアジア諸国の政府は、北京の申し出を選ぶかどうか選択をする際に、一層用心深くなり、より多くの可能な選択肢を捜し始めた。それ故、中国当局は、様々な契約条件や品質基準の再検討やコスト削減に、進んで焦点をあてるように強いられた。しかも彼らは、より透明な手法を使うライバルに、最近はより頻繁に出会うのだ。
結果的に、ライバルのインドと日本と、現地当局が、スリランカに、より多くの船と商業利益をもたらすべく、コロンボ港に新ターミナルを建設することに関し、2019年6月、覚書(MoU)署名を計画するにつれ、北京にとってスリランカでの条件は悪化した。インドと日本は「手早く簡単な」長期融資で、かなり合理的な(中国と対照的な)条件を申し出るはずだ。スリランカは、プロジェクトで51%を出資し、パートナーは共同で49%を出資する。多くの観察者が、中国の構想に代わる選択肢である三国間連携協定は、中華人民共和国に対するかなりの打撃だと直ぐさま表現した。インドや日本や他の多くの国々は、異なる投資方法、より高い品質基準、透明性と正当な契約条件により、21世紀のMSRに沿って積極的に地歩を築こうとしている。これは、ライバルをただ批判するだけでなく、ライバルを凌ぐという手法の一例だ。
アメリカは、その権益のために行動する際に、似たような手法を使った。去年11月、ワシントンは、600億ドルの予算で融資を提供する新たな政府の開発金融機関を作る予定だと発表した。この政府機関は既にパプアニューギニア(新貸し付けプランを使って行われる最初の融資になるだろう)に送電網を作る17億ドルの計画の資金調達をすると誓った。それでも、2027年までに、1.3兆ドルの予算というOBORには、アメリカの構想が及びもつかないことを認めずにいるのは不可能だ。
OBORにとって、この構想と関連した良い結果やリスクからほど遠いものの中に、今のところ、世界的規模ではさほど注目を受けていない、更にもう一つ否定的な局面がある。政治分野だ。より頻繁に、より厳しい批判の対象となった中国は、アジアやアフリカ各地の選挙過程と、その結果についての情報を集め始めた。目的は、これらの要因が一部のOBORプロジェクトが成功するか失敗するかどうかを決定するかもしれないので、高い地位を目指す現地候補者が、負債や他のOBORに関連するリスクに対する大衆の懸念や、中国の全体的な政策のような話題を、選挙運動で、どのように使うか研究することと、これらの国々の反中国ムードや親中国ムードの度合いを測るることだ。中国と彼らの過度に親密なつながりゆえ、これらの国々の選挙中、重要な問題に関し激しい討論や戦いがあるかもしれないので、インドネシア、ケニア、ザンビアやタイが、この文脈で言及されている。
OBORについて、北京が批判を避けるのは不可能だが(このような規模のどんなプロジェクトでも問題や支出が生じるだろう)2019年4月の時点で、アジア、アフリカ、ヨーロッパ、オセアニア、中南米の126の国と29の国際組織が構想に参加している。これは進歩しており、あらゆる障害にもかかわらず進展していることを意味する。
しかし当然、いくつか疑問が生ずる。中国政府は前進するにつれて、過去の過ちや失敗を考慮に入れたのだろうか? 構想の新しい支援者や中傷者はいるのだろうか? OBORに参加する最初の西ヨーロッパの国になる決定でイタリアはどんな権益を追求するのだろう? これに対するアメリカとEUの反応はどうだろう? 他のヨーロッパ諸国も後に続くだろうか? 韓国やアフリカのいくつかの国は、OBORに参加を決めるのだろうか?
これらの問いの答えは、必ず出るだろう。
ニーナ・レベデワは歴史学修士、ロシア科学アカデミー東洋研究所インド研究センター主任研究員。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/06/09/what-direction-is-china-s-initiative-one-belt-one-road-moving-in-and-how-is-it-progressing/
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