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© Asahi Shimbun Publications Inc. 提供携帯電話関連の国際見本市「MWC」でのファーウェイのブース (c)朝日新聞社
ファーウェイにとってトランプは星一徹か? 米中貿易戦争の勝者が明らかなわけ/msnニュース
2019/06/13 17:00
http://www.msn.com/ja-jp/news/money/%e3%83%95%e3%82%a1%e3%83%bc%e3%82%a6%e3%82%a7%e3%82%a4%e3%81%ab%e3%81%a8%e3%81%a3%e3%81%a6%e3%83%88%e3%83%a9%e3%83%b3%e3%83%97%e3%81%af%e6%98%9f%e4%b8%80%e5%be%b9%e3%81%8b%ef%bc%9f-%e7%b1%b3%e4%b8%ad%e8%b2%bf%e6%98%93%e6%88%a6%e4%ba%89%e3%81%ae%e5%8b%9d%e8%80%85%e3%81%8c%e6%98%8e%e3%82%89%e3%81%8b%e3%81%aa%e3%82%8f%e3%81%91/ar-AACONdx?ocid=iehp
米中貿易戦争が世界の景況感に影響を与え始めている。その戦いの象徴と考えられるのが通信機器およびスマートフォンなどのデバイスで成長を続ける中国企業、ファーウェイだ。
ある意味、これはアメリカ的なものと、中国的あるいはアジア的なものが経済やテクノロジーの領域でぶつかり合っているとも言える。このぶつかり合いは、今後どのような帰結をもたらすのか。
GAFAなど多国籍企業のビジョンやコンセプトなどに詳しく、『THE VISION――あの企業が世界で急成長を遂げる理由』(朝日新聞出版)の著者でもある、ブランド戦略コンサルタントの江上隆夫さんに寄稿してもらった。
* * *
■人民解放軍出身の6人で立ち上げた企業ファーウェイ
ファーウェイ・テクノロジーズ(Huawei Technologies、華為技術、以下ファーウェイと表記)製品へのアメリカ政府による締め付けが強烈だ。2018年12月のカナダでファーウェイ最高財務責任者(CFO)の孟晩舟(モンワンチョク)副会長が逮捕された。創業者である任正非(レンジェンフェイ)CEOの娘だ。
アメリカの政府機関のファーウェイ製品の使用禁止をうたった国防権限法は、18年の8月に成立している。アメリカは同盟国にファーウェイ製品の使用中止を求めている。日本の通信大手は、それに従ってファーウェイ製品の採用中止を決めた。
ファーウェイは、会長の任正非CEOが、1987年に深センで仲間とともに創業した会社である。任正非CEOは、人民解放軍を退役後、勤めた会社の条件が良くないことから、人民解放軍の仲間6人と創業し、電話交換機などと製造したのがファーウェイの始まりだ。
この人民解放軍出身者でつくった企業という来歴が疑惑を生んできた。
そして、中国政府がこうした企業を利用することはない、と断言することは、私のような特段、政治にも経済にも世間一般の知識しかない人間にも、なかなかに難しい。なぜなら、現状の中国が、ハイテクを駆使した完全な監視社会にむかって進んでいるように見えるからだ。
■トヨタ+ホンダを合わせた研究開発費を投下する企業
ファーウェイの技術力はどれほどのものなのか、知っている人は少ないだろう。私たちが接するファーウェイはスマホメーカーとしてのものだ。スマホメーカーとしてはサムソン、アップルに次ぐ出荷台数3位。
しかし、本来ファーウェイは、電話交換機製造で産声を上げたように、「通信事業者向けネットワーク機器事業」が中心にある。携帯インフラでは、2018年にシェア2位(26.0%)に転落してしまったが、スウェーデンのエリクソン(シェア29.0%)とノキア(23.4%)の間に割って入る、世界のビッグ3の一角だ。
ファーウェイで特長的なのが研究開発費への投資だ。2018年の彼らの研究開発費は153億ドル。日本円で1兆7千億円超。売上高約12兆円の14.25%を研究開発に投じているのだ。売上高30兆円のトヨタの研究開発費は1兆800億円(売上高に占める割合は3.6%)、ホンダの研究開発費が7900億円なので、ふたつの自動車メーカーを合わせた額に近い。
研究開発費のベスト10の世界1位はAmazonで288億ドル、2位がアルファベット(つまりGoogle)で214億ドル、3位がサムソンで167億ドル、ファーウェイは世界4位である。ちなみに10位以内に日本企業は1社もない。
ファーウェイが建設した研究開発部門は、深センから車で1時間半のところにある。ここの面積は120万平方メートル。日本の日建設計が手掛けたヨーロッパ風の街並みの中を専用の電車が走っており、いずれ3万人が研究開発に従事することになっている。規模的にはシリコンバレーのGoogle本社と同じである。日本企業が追いつくには素人目に見ても、少し不可能なレベルに達している。
■5Gを握るものが次のテクノロジー社会を握る
ファーウェイは、早晩始まる5Gの時代に向けて強烈な投資を行い、BtoBにおいても、BtoCにおいても主導権を握る強烈な意志を示している。
5Gは、通信速度が4Gの1Gbpsから10〜20Gbpsという超高速通信に変わる。それ以上に大きく変わるのが5Gの遅延時間の短さだ。4Gではへたをすると数十ミリ秒の遅延が発生することがあったのだが、5Gではこれが1ミリ秒以下になると言われている。
それが何か大きな変化を引き起こすのか。引き起こすのである。本格的なIoT(インターネット・オブ・シングス)、モノ同士が結びついて連携する未来が急速に進むと言われている。
この遅延時間でなら、かなり距離が離れていてもネットを通じた機器のコントロールができるようになり、自動運転や遠隔手術など命にかかわる分野などでも、しっかりと実用に耐えうるネットワークづくりが可能になるのである。
次世代のネットワーク社会の根幹を握るのは、5Gの通信テクノロジー網だ。アメリカが焦るのもムリはない。ビッグデータの活用は中国が世界一。スマホの性能や売り上げも中国勢が韓国サムソンを急速に追い上げている。
■ファーウェイは苦境のあと発展するだろう
トランプ大統領は、関税の引き上げで中国の力を削ぐように動いている。これは一時的には効果を上げている。たとえば日本のメディアと会見した任正非CEOは、そこで「2019年の第1四半期(1〜3月)の売り上げは前年比で39%増だったが、4月になって25%に鈍化した。(輸出規制の影響で)通年で20%増には届かないだろう」(Business Insider Japan 2019.05.20 ファーウェイCEOインタビュー)と語っている。
たぶん一時的には効果があるのだろうが、素人の頭で考えてみても、ムリが祟ると分かる。グローバルな供給網が世界中に張り巡らせられている現状では、1台の完成品をつくるのにも無数の部品が何か国もの供給国からやってくる。結局、風が吹けば桶屋が儲かる、の逆を行く、風が吹いて桶屋がつぶれる方式に、予想もしないダメージが世界経済そしてアメリカ自身を傷つけるだろう。
そして、この貿易戦争(米中の覇権争い)は長期的には中国を利する。つまり、ファーウェイは苦境のあと、発展するだろうと私は踏んでいる。
なぜか? 相手が、中国だからだ。中国人だからだ。
■アメリカは中国のアジア的なしたたかさを見誤っていないか
そう考えるのは次のような理由だ。
第一に、国内に膨大な市場である14億人を抱えている。ファーウェイの売り上げの50%以上は国外だが、いざとなれば、この巨大市場がある。ちょっとやそっとでは倒れない。
第二に、深センなどを土台として垂直分裂的な、ハイテク製品を生み出すのに必要な企業群がすべてそろっていること。つまり、OSからCPUから半導体まで、中国国産オリジナルをつくれる能力がある。
第三に、数百万人に及ぶ国内技術系の人材、海外に在留する数十万人に及ぶ留学生と「海亀」と呼ばれる帰国組など、日本の数十倍にもなる人材の厚みがある。
第四に、ファーウェイの成長が続いた場合、アメリカとぶつかることになるだろうと2002、2003年当時から経営者が想定していること。つまり、心構えがあり、準備を進めている。
第五に、トランプは4年の任期だが、中国共産党政権は、いましばらく権力基盤が揺らぎそうもないし、「一帯一路」や「強国化」構想という方針の転換は考えにくい。その方針に沿った企業、テクノロジーの発展の手綱を緩めることもない。ファーウェイには追い風が吹き続けるだろう。
そして、最後に、彼らが中国人であることだ。少なくとも、中国は東アジア、東南アジア地域で数千年の間、基本的には覇権国であり続けた。政権の交代・転覆、戦争、武力闘争を権謀術数の中で無数に繰り返してきている。
その間に文字を発明し、儒教哲学を創始し、羅針盤から火薬、印刷まで人類史を変えるイノベーションを生み出し、人類史最大の構造物を造りあげている。「100年の計」を実際にプランニングし、実行する能力は、世界の中でもスバ抜けている。
確かにアメリカは科学技術・文化で20世紀から21世紀にかけて世界をリードした国だ。だが、しかし、その繁栄の期間はまだ100年ほど。建国して200数十年しかたっていない。中国のアジア的な老練さ、したたかさをトランプ氏は見誤っているのではないだろうか。
■トランプは「ファーウェイを育てる星一徹」である
「艱難(かんなん)汝を玉にす」と言う。
1970年代に成立した、自動車をアメリカに輸出できなくなるほど厳しいと言われた大気汚染防止法「マスキー法」を、世界でいちばん最初にクリアしたのは日本のホンダだった。ホンダは、その厳しい法律をクリアする技術を育んでいったおかげで、4輪で1990年代の全盛を迎えることができたのだ。
想像するに、ファーウェイを狙った施策は、長期的には、ファーウェイの経営にあらゆる状況に対応できるような柔軟性、タフさを育み、そして、技術においてはOSからチップ、最終製品に至るまで、ファーウェイ・オリジナルの高度なものを創る能力を与えることになるのではないか。
乱暴に言えば『巨人の星』の星一徹の役割を、アメリカのトランプ氏は果たしている。ほんとうはファーウェイのことが大好きなんじゃないだろうか(笑)。
蹴落とされ、水をかけられ、大リーグ養成ギブスをはめられたファーウェイ。数年後に後悔するのは、目立ちたがり屋の、赤いネクタイが大好きなあの方ではないだろうか。
中国には、高度成長期の日本のように、国民の間に一致したビジョン、未来像が明確にある。山東(サントン)省であれば小学生でも「一帯一路」のことを語れるに違いない。このパワーを見くびらないほうが良い。
いまのアメリカ企業のいくつかには素晴らしいビジョンがある。しかし、アメリカという国そのものには不思議とビジョンを感じないのはなぜだろう。トランプ氏は「自国第一」以外の未来像を語れるのだろうか。「ディール」以外に自国を未来へと運べる方法論を語れるのだろうか。
中国という国、政治体制の好き嫌いはまったく別にして、この戦争らしきものの勝敗の帰趨(きすう)は明らかである。あくまでも素人の邪推にすぎないという言い訳付きだが。
米中貿易戦争が世界の景況感に影響を与え始めている。その戦いの象徴と考えられるのが通信機器およびスマートフォンなどのデバイスで成長を続ける中国企業、ファーウェイだ。
ある意味、これはアメリカ的なものと、中国的あるいはアジア的なものが経済やテクノロジーの領域でぶつかり合っているとも言える。このぶつかり合いは、今後どのような帰結をもたらすのか。
GAFAなど多国籍企業のビジョンやコンセプトなどに詳しく、『THE VISION――あの企業が世界で急成長を遂げる理由』(朝日新聞出版)の著者でもある、ブランド戦略コンサルタントの江上隆夫さんに寄稿してもらった。
* * *
■人民解放軍出身の6人で立ち上げた企業ファーウェイ
ファーウェイ・テクノロジーズ(Huawei Technologies、華為技術、以下ファーウェイと表記)製品へのアメリカ政府による締め付けが強烈だ。2018年12月のカナダでファーウェイ最高財務責任者(CFO)の孟晩舟(モンワンチョク)副会長が逮捕された。創業者である任正非(レンジェンフェイ)CEOの娘だ。
アメリカの政府機関のファーウェイ製品の使用禁止をうたった国防権限法は、18年の8月に成立している。アメリカは同盟国にファーウェイ製品の使用中止を求めている。日本の通信大手は、それに従ってファーウェイ製品の採用中止を決めた。
ファーウェイは、会長の任正非CEOが、1987年に深センで仲間とともに創業した会社である。任正非CEOは、人民解放軍を退役後、勤めた会社の条件が良くないことから、人民解放軍の仲間6人と創業し、電話交換機などと製造したのがファーウェイの始まりだ。
この人民解放軍出身者でつくった企業という来歴が疑惑を生んできた。
そして、中国政府がこうした企業を利用することはない、と断言することは、私のような特段、政治にも経済にも世間一般の知識しかない人間にも、なかなかに難しい。なぜなら、現状の中国が、ハイテクを駆使した完全な監視社会にむかって進んでいるように見えるからだ。
■トヨタ+ホンダを合わせた研究開発費を投下する企業
ファーウェイの技術力はどれほどのものなのか、知っている人は少ないだろう。私たちが接するファーウェイはスマホメーカーとしてのものだ。スマホメーカーとしてはサムソン、アップルに次ぐ出荷台数3位。
しかし、本来ファーウェイは、電話交換機製造で産声を上げたように、「通信事業者向けネットワーク機器事業」が中心にある。携帯インフラでは、2018年にシェア2位(26.0%)に転落してしまったが、スウェーデンのエリクソン(シェア29.0%)とノキア(23.4%)の間に割って入る、世界のビッグ3の一角だ。
ファーウェイで特長的なのが研究開発費への投資だ。2018年の彼らの研究開発費は153億ドル。日本円で1兆7千億円超。売上高約12兆円の14.25%を研究開発に投じているのだ。売上高30兆円のトヨタの研究開発費は1兆800億円(売上高に占める割合は3.6%)、ホンダの研究開発費が7900億円なので、ふたつの自動車メーカーを合わせた額に近い。
研究開発費のベスト10の世界1位はAmazonで288億ドル、2位がアルファベット(つまりGoogle)で214億ドル、3位がサムソンで167億ドル、ファーウェイは世界4位である。ちなみに10位以内に日本企業は1社もない。
ファーウェイが建設した研究開発部門は、深センから車で1時間半のところにある。ここの面積は120万平方メートル。日本の日建設計が手掛けたヨーロッパ風の街並みの中を専用の電車が走っており、いずれ3万人が研究開発に従事することになっている。規模的にはシリコンバレーのGoogle本社と同じである。日本企業が追いつくには素人目に見ても、少し不可能なレベルに達している。
■5Gを握るものが次のテクノロジー社会を握る
ファーウェイは、早晩始まる5Gの時代に向けて強烈な投資を行い、BtoBにおいても、BtoCにおいても主導権を握る強烈な意志を示している。
5Gは、通信速度が4Gの1Gbpsから10〜20Gbpsという超高速通信に変わる。それ以上に大きく変わるのが5Gの遅延時間の短さだ。4Gではへたをすると数十ミリ秒の遅延が発生することがあったのだが、5Gではこれが1ミリ秒以下になると言われている。
それが何か大きな変化を引き起こすのか。引き起こすのである。本格的なIoT(インターネット・オブ・シングス)、モノ同士が結びついて連携する未来が急速に進むと言われている。
この遅延時間でなら、かなり距離が離れていてもネットを通じた機器のコントロールができるようになり、自動運転や遠隔手術など命にかかわる分野などでも、しっかりと実用に耐えうるネットワークづくりが可能になるのである。
次世代のネットワーク社会の根幹を握るのは、5Gの通信テクノロジー網だ。アメリカが焦るのもムリはない。ビッグデータの活用は中国が世界一。スマホの性能や売り上げも中国勢が韓国サムソンを急速に追い上げている。
■ファーウェイは苦境のあと発展するだろう
トランプ大統領は、関税の引き上げで中国の力を削ぐように動いている。これは一時的には効果を上げている。たとえば日本のメディアと会見した任正非CEOは、そこで「2019年の第1四半期(1〜3月)の売り上げは前年比で39%増だったが、4月になって25%に鈍化した。(輸出規制の影響で)通年で20%増には届かないだろう」(Business Insider Japan 2019.05.20 ファーウェイCEOインタビュー)と語っている。
たぶん一時的には効果があるのだろうが、素人の頭で考えてみても、ムリが祟ると分かる。グローバルな供給網が世界中に張り巡らせられている現状では、1台の完成品をつくるのにも無数の部品が何か国もの供給国からやってくる。結局、風が吹けば桶屋が儲かる、の逆を行く、風が吹いて桶屋がつぶれる方式に、予想もしないダメージが世界経済そしてアメリカ自身を傷つけるだろう。
そして、この貿易戦争(米中の覇権争い)は長期的には中国を利する。つまり、ファーウェイは苦境のあと、発展するだろうと私は踏んでいる。
なぜか? 相手が、中国だからだ。中国人だからだ。
■アメリカは中国のアジア的なしたたかさを見誤っていないか
そう考えるのは次のような理由だ。
第一に、国内に膨大な市場である14億人を抱えている。ファーウェイの売り上げの50%以上は国外だが、いざとなれば、この巨大市場がある。ちょっとやそっとでは倒れない。
第二に、深センなどを土台として垂直分裂的な、ハイテク製品を生み出すのに必要な企業群がすべてそろっていること。つまり、OSからCPUから半導体まで、中国国産オリジナルをつくれる能力がある。
第三に、数百万人に及ぶ国内技術系の人材、海外に在留する数十万人に及ぶ留学生と「海亀」と呼ばれる帰国組など、日本の数十倍にもなる人材の厚みがある。
第四に、ファーウェイの成長が続いた場合、アメリカとぶつかることになるだろうと2002、2003年当時から経営者が想定していること。つまり、心構えがあり、準備を進めている。
第五に、トランプは4年の任期だが、中国共産党政権は、いましばらく権力基盤が揺らぎそうもないし、「一帯一路」や「強国化」構想という方針の転換は考えにくい。その方針に沿った企業、テクノロジーの発展の手綱を緩めることもない。ファーウェイには追い風が吹き続けるだろう。
そして、最後に、彼らが中国人であることだ。少なくとも、中国は東アジア、東南アジア地域で数千年の間、基本的には覇権国であり続けた。政権の交代・転覆、戦争、武力闘争を権謀術数の中で無数に繰り返してきている。
その間に文字を発明し、儒教哲学を創始し、羅針盤から火薬、印刷まで人類史を変えるイノベーションを生み出し、人類史最大の構造物を造りあげている。「100年の計」を実際にプランニングし、実行する能力は、世界の中でもスバ抜けている。
確かにアメリカは科学技術・文化で20世紀から21世紀にかけて世界をリードした国だ。だが、しかし、その繁栄の期間はまだ100年ほど。建国して200数十年しかたっていない。中国のアジア的な老練さ、したたかさをトランプ氏は見誤っているのではないだろうか。
■トランプは「ファーウェイを育てる星一徹」である
「艱難(かんなん)汝を玉にす」と言う。
1970年代に成立した、自動車をアメリカに輸出できなくなるほど厳しいと言われた大気汚染防止法「マスキー法」を、世界でいちばん最初にクリアしたのは日本のホンダだった。ホンダは、その厳しい法律をクリアする技術を育んでいったおかげで、4輪で1990年代の全盛を迎えることができたのだ。
想像するに、ファーウェイを狙った施策は、長期的には、ファーウェイの経営にあらゆる状況に対応できるような柔軟性、タフさを育み、そして、技術においてはOSからチップ、最終製品に至るまで、ファーウェイ・オリジナルの高度なものを創る能力を与えることになるのではないか。
乱暴に言えば『巨人の星』の星一徹の役割を、アメリカのトランプ氏は果たしている。ほんとうはファーウェイのことが大好きなんじゃないだろうか(笑)。
蹴落とされ、水をかけられ、大リーグ養成ギブスをはめられたファーウェイ。数年後に後悔するのは、目立ちたがり屋の、赤いネクタイが大好きなあの方ではないだろうか。
中国には、高度成長期の日本のように、国民の間に一致したビジョン、未来像が明確にある。山東(サントン)省であれば小学生でも「一帯一路」のことを語れるに違いない。このパワーを見くびらないほうが良い。
いまのアメリカ企業のいくつかには素晴らしいビジョンがある。しかし、アメリカという国そのものには不思議とビジョンを感じないのはなぜだろう。トランプ氏は「自国第一」以外の未来像を語れるのだろうか。「ディール」以外に自国を未来へと運べる方法論を語れるのだろうか。
中国という国、政治体制の好き嫌いはまったく別にして、この戦争らしきものの勝敗の帰趨(きすう)は明らかである。あくまでも素人の邪推にすぎないという言い訳付きだが。
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