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我々は世界的食糧大惨事に直面するのだろうか?
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2019年6月 3日 マスコミに載らない海外記事
2019年5月31日
F. William Engdahl
New Eastern Outlook
いや、本記事は、決して、アレクサンドリア・オカシオ・コルテスや有名な若いスウェーデン気候専門家グレタ・トゥーンベリの破滅的シナリオを是認するものではない。だが本記事は、来年、食糧供給と価格に劇的に影響を与えかねない、アメリカからオーストラリア、フィリピンや更に他の、重要な穀倉地帯における異常な気象災害を一瞥するものだ。それは、今後の生育期の進展次第で、大きな政治的影響がありうる。
水浸しのアメリカ中西部
5月20日のアメリカ農務省農業統計局(NASS)最新報告によれば、トウモロコシと大豆農作物が、時期的に、今年は普通の成長レベルからかなり遅れている。が昨年の同時期の78%と比較して、アメリカの全ての計画されたトウモロコシ作付面積のわずか49%しか植えられていないと報じている。そのうち、2018年5月の47%と比較して、わずか19%しか芽を出していない。大豆に関しては、昨年の53%と比較して、19%しか植えられていない。米の作付面積は米を栽培する6つの州で、1年前の92%と比較して、73%まで下がっている。もちろん、天気が劇的に向上すれば、最終の収穫も向上するはずだ。予測するにはあまりにも早すぎる。
中国との貿易戦争前、アメリカは世界の大豆生産の34パーセント、世界輸出の42%で、大差で世界最大の大豆生産国だ。アメリカは、世界最大のトウモロコシやメイズ生産国でもあり、第二位の中国のほぼ二倍だ。ほぼ全てのアメリカ大豆とトウモロコシがGMO農作物であるという残念な事実は考慮から除けば、これら2つの農作物の深刻な凶作は、世界の食料価格に大きな影響を与え得る。それらは主に家畜の餌に使われている。
アメリカ中西部の生育期崩壊の重要な要因は、アメリカ国立海洋大気庁環境情報センターによれば、これまでの12カ月、アメリカ政府が1895年に統計を記録し始めて以来、最大の降雨量だった事実だ。記録的降雪と、それに続いた異常に激しい雨が、その理由だ。
太平洋の強いエルニーニョが、2015-16年、活動中で、新たなエルニーニョが、通常よりいくぶん早く、この冬確認されたという事実は注目すべきだ。正確にそれがどのように今の天気に影響を与えたかはまだ明確ではない。エルニーニョは、赤道の東と、太平洋中央部での周期的な温暖化だ。
それは人為的要因ではなく、太陽活動に関係しており、世界の天候パターンを数カ月の期間にわたり変える可能性があり、地域で、より暖かかったり、冷たかったり、多雨だったり、乾燥したりする天気の可能性をもたらすのだ。彼らは、数年毎に、通常2から7年ごとに周期的におこるが、比較的弱いエルニーニョが、今月5月にピークに達すると予想されることが確認されたのは注目に値する。4月、国立海洋大気庁は、最新のエルニーニョ状態が、2019年春(~80%の可能性)か夏まで(~60%の可能性)北半球全体で継続する可能性が高いと推定している。
オーストラリアとフィリピンのひどい干ばつ
中西部アメリカ農場ベルトが水浸しとなる一方で、地球の他の地域、特に主要穀物生産国のオーストラリアは、干ばつに苦しんでいる。2007年以来初めて、オーストラリアは、主としてカナダから小麦輸入を強いられている。去年は干ばつで、小麦の収穫高が20%減った。政府は状況に対処するため大量の輸入許可証を発行した。現在の小麦収穫見積もりは、わずか1600万トン、同国が二シーズン前にそうだったものの半分だ。近年オーストラリアは、世界第5位の小麦輸出国だ。
穀物の不足に加えて、2018年2月以来、フィリピンは、米作に壊滅的打撃を与えている酷い干ばつに見舞われている。フィリピンは、合計すると全ての米輸出の約70%を占めるインドやタイやベトナムやパキスタンのような世界首位の米生産国の一つではないが、これは、問題山積の国に深刻な政治的影響を与えている。
北朝鮮は、ひどい干ばつに襲われているもう一つの国だ。雨量は、今年、1982年以来、これまでのところ最少だ。国営メディアが、北朝鮮では「全ての地域で、ひどい干ばつが長引いている」と報じている。1月以来の平均降水(雪)量は、年平均降水(雪)量128ミリのたった42.3%だ。北朝鮮が深刻な食糧不足に見舞われている中、これが起きているのだ。データは、おそらく政治問題化されようが、国際制裁の影響は助けにはならない。
こうした深刻な不足は、まだ世界的緊急事態を宣言する根拠にはならないが、注目すべきは、中華人民共和国で、中国全土の豚に対する、致命的なアフリカ豚コレラの最も酷い流行のさなかに、それが起きていることだ。アメリカ農務省は、この接触伝染病を完全に制御するには、今年、約2億頭の豚をと殺しなくてはならないと推定している。中国には、豚が約7億頭いて、圧倒的な世界最大の豚生産国だ。弱り目に祟り目で、中国は、トウモロコシや大豆等の農作物に壊滅的打撃を与えかねないツマジロクサヨトウ蔓延に全土が襲われている。
この全て、コンゴからイエメンやシリアに至るまで、戦争の犠牲で農業生産が破壊された世界中の様々な紛争地帯を考慮に入れないでの話だ。
新しい穀物大国としてのロシア?
これらの現在の収穫困難、あるいは、本格的収穫不足の可能性が、2014年のアメリカとEUによる制裁実施以来、過去3年で、カナダとアメリカ両国を遥かに上回る世界最大の小麦輸出国として出現した国ロシアにとって、きわめて有利になり得る。現在の2019/2020年の収穫年、ロシアは、1年前のおよそ10%以上、記録的な4940万トンの小麦を輸出すると推定される。去年、世界小麦輸出全体に対するアメリカの14%や、同様のカナダと比較して、ロシアは21%を占めた。
ロシアに対する欧米制裁は、ロシア政府に、食糧生産で自足する措置をとることを強いる興味深い効果があった。2016年、ロシア政府はGMO作付けや輸入を禁止し、世界でも最も豊穣な黒土を享受している。少なくとも短期的に、ロシアは世界の穀物市場で、様々な収穫不足に対処すべく介入するのに好都合な立場にある。
ロシアが穀物をアメリカに売るよう頼まれることはありそうもないが、もしそれが起きれば、それは大きな歴史的運命のいたずらとなろう。1970年代初期のソ連凶作時に、後に、Great Grain Robbery(穀物大強盗)と呼ばれるようになった、カーギルや穀物カルテルと共謀し、シカゴ商品取引所で、穀物価格を、125年ぶりの高値にし、途方もなく暴騰した価格でソビエト社会主義共和国連邦への穀物輸出を計画したのはヘンリー・キッシンジャー国務長官だった。我々が聞かされている、アメリカやヨーロッパ労働者の賃金引き上げ要求ではなく、同じキッシンジャーの卑劣な外交が中心的役割を果たした、1973-74年のOPECによる400%石油価格ショックとともに、食糧と石油が1970年代の大インフレの原因だったのだ。
F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師。プリンストン大学の政治学位を持つ石油と地政学のベストセラー作家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/05/31/do-we-face-a-global-food-disaster/
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