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脅しながら交渉するという米国支配層の常套手段は露国に通じるのか?(1/2)
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2019.05.15 櫻井ジャーナル
マイク・ポンペオ国務長官は5月14日にソチでロシアのウラジミル・プーチン大統領と会談、両者はアメリカとロシアの関係を改善する必要性を語った。会談では軍事問題のほか、シリア、朝鮮半島、アフガニスタン、リビア、イラン、ベネズエラなどの情勢について話し合ったという。 シリアは2011年3月からアメリカなどの外国勢力が送り込んだジハード傭兵部隊の侵略を受けてきたが、15年9月にロシアがシリア政府の要請で軍事介入してから傭兵の勢力範囲は急速に縮小してきた。そこでアメリカはクルドを新たな手先とする一方、地上部隊を派遣して油田地帯を支配し続けようとしている。 本ブログでは繰り返し書いてきたが、ネオコンは1980年代からイラクのサダム・フセイン体制を倒して親イスラエル派の政権を樹立、シリアとイランを分断した上でシリアを制圧、最終的にはイランを支配しようとしてきた。 イランは1979年からイスラムを統治の基盤に据える国になったが、その前のパーレビ朝はイギリス、アメリカ、イスラエルに支配されていた。イランは産油国だというだけでなく、中東を支配するうえでもロシアに軍事的な圧力を加えるうえでも重要な国である。 ニューヨーク・タイムズ紙によると、ジョン・ボルトン国家安全保障補佐官やパトリック・シャナハン国防長官はアメリカ軍12万人にイランを侵略させようと計画している。勿論、この程度の戦力では地上戦を戦えない。 2003年3月に始まったイラクへの先制攻撃でも31万人が動員されている。これでも当時、少なすぎると言われていたが、イランが相手の場合、これを大幅に上回る戦力が必要だろう。しかも、中東からの石油供給は大幅に細る可能性が高い。実際にイランを軍事攻撃することはできないと言われるのは、こうした事情があるからだ。 アフガニスタンはイランの東側に位置している。アメリカが1970年代からアフガニスタンを支配するための秘密工作を始めた理由のひとつはパイプラインの建設だったが、希少金属の存在も重要な理由。最近では中国が進める一帯一路をつぶすための拠点としての意味も強まってきた。 リビアはシリアより1カ月ほど前から同じように侵略されている。かつてはヨーロッパ諸国より生活水準の高く、教育、医療、電力料金は無料、農業は元手なしで始めることができる国だったが、ムアンマル・アル・カダフィ体制が崩壊してからは無法地帯と化している。 リビアが侵略された理由のひとつは石油資源であり、もうひとつは独自の通貨としてディナールという金貨を導入しようとしていたことにある。カダフィはドル体制から離脱し、独自の通貨を採用することでアフリカを経済的に独立させようと考えていた。アフリカの利権で食いつないでいるようなフランスやイギリス、ドル体制が崩れれば支配システムも崩れてしまうアメリカにとってカダフィは危険な存在になっていた。 現在、リビアには国連に承認されたGNA(国民合意政府)がトリポリに存在、ファイズ・サラージが首相になっている。そのトリポリにハリファ・ハフタルを中心のとするLNA(リビア民族軍)が迫り、戦闘が激しくなっている。そうした中、GNAはトランプ大統領に対し、外国勢力によるハフタル支援を止めさせるように求めた。 LNAをサウジアラビア、アラブ首長国連邦、エジプトが支援していることが知られている。ハフタルは1960年からCIAに保護され、アフタルに従う武装グループはアメリカで軍事訓練を受けてきた人物で、2011年2月に始まったリビアに対する侵攻作戦へも参加した。ハフタルは過去に何度かロシアを訪問、政府高官と会談しているが、ロシアが具体的に支援しているわけではない。(つづく) |
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