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中国、「一帯一路」参加国の不安払拭に注力 東南アジアの鉄道計画再開アピール
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/04/post-12062.php
2019年4月27日(土)12時48分 ニューズウィーク
一帯一路の参加国を集めて2回目の首脳会談を今週主催する中国政府は、このインドネシアのプロジェクトに加え、数カ月にわたる交渉を経て先日再開に漕ぎつけたマレーシアのイースト・コースト・レール・リンク(ECRL)をアピールすると見られている。写真は2月、インドネシア・ジャワ島の高速鉄道トンネル建設現場(2019年 ロイター/Willy Kurniawan)
インドネシア・ジャワ島の農村部では、オレンジ色の作業員2人が、軌道建設計画について中国語で相談していた。首都ジャカルタと繊維産業の中心地バンドンを結ぶ総工費60億ドル(約6700億円)の高速鉄道プロジェクトの1区間だ。
2人は中国の国有企業、中国中鉄(CREC)の従業員で、以前はウガンダの鉄道建設プロジェクトで働いていた。こちらも同じく、中国をアジア、欧州、さらにその先へとつないでいく数十億ドル規模の包括的なシルクロード経済圏構想「一帯一路」イニシアチブの一環だ。
インドネシアにおける鉄道路線142kmの建設は、用地取得上の問題で3年近く遅れた末、2018年にようやく本格的に始まった。
一帯一路の参加国を集めて2回目の首脳会談を今週主催する中国政府は、このインドネシアのプロジェクトに加え、数カ月にわたる交渉を経て先日再開に漕ぎつけたマレーシアのイースト・コースト・レール・リンク(ECRL)をアピールすると見られている。
一帯一路構想の参加国が背負う巨額の対中債務や、計画の不透明性さに対する批判をかわし、プロジェクトの重点を持続可能な資金調達、グリーン成長、高品質に軌道修正するため、中国当局が会談の場でこの2つのプロジェクトを提示するだろう、とアナリストは見込んでいる。
習近平国家主席の看板政策である一帯一路構想は、多くの西側政府からは批判も生まれていた。特に米国政府は、中国の影響力を海外に拡大し、不透明なプロジェクトを通じて持続不可能なレベルの債務を諸国に背負わせるものだと考えている。
ロイターが閲覧した共同声明の草案によれば、「一帯一路」首脳会議の参加国は、グローバルな債務目標を尊重し、グリーン成長を促進するようなプロジェクト・ファイナンスについて合意する予定だ。
これについてコンサルタント会社ユーラシア・グループのピーター・マンフォード氏は、「一帯一路を巡る最近のネガティブな報道傾向や、複数の国でプロジェクトが直面している課題に抵抗しようというものだ」と語る。
もっともマレーシアでは、マハティール・首相が総延長668キロのECRL計画再開に同意はしたものの、プロジェクトのコストを160億ドルから107億ドルに削減することを条件としている。
「中国にとってのリスクは、マハティール首相の成功を目にした他の諸国が、一帯一路計画について同じように厳しい再交渉戦術を採用し、他国でも進捗に遅れが出ることだ」とマンフォード氏は言う。
現段階で一帯一路参加国のいずれかが、中国政府と結んだ合意の再交渉を試みているという兆候はない。アナリストは、中国はより多くのビジネスを確保するため、参加国と協力してプロジェクトを実現可能なものにしていく意欲を示そうとするのではないかと見ている。
■「非常に有利な条件」
インドネシアでのプロジェクトをめぐる合意に詳しい銀行関係者によれば、プロジェクトは「非常に有利な条件」の下で構築されているという。
ロイターが閲覧したプロジェクト趣意書によれば、総工費60億ドルのうち45億ドルは中国開発銀行が2%の金利で融資する。プロジェクト総工費の残り25%は、コンソーシアムが提供する株式によって調達される。
この融資には、国家による債務保証が設定されない予定だ。国家による債務保証は、参加国の政府にリスクを転嫁するものとして、一帯一路構想で最も議論を呼ぶ部分の1つとなっている。
中国政府は2015年、高速鉄道に関する専門能力を世界中の顧客に示す手段として、インドネシアでのプロジェクトを落札すべく、日本政府に対抗して活発なロビー活動を行った。
「中国は、自国の高速鉄道が日本よりも優れていることを誇示したがっていた。われわれが、可能な限り金利を低くするよう求めたら、2%を提示してきた」とインドネシアのスマルノ国有企業担当相は今年初め、ロイターに語った。
この鉄道をめぐる融資条件は、4月のインドネシア大統領選挙でも争点となった。現職のジョコ・ウィドド大統領に挑戦した元軍人のプラボウォ・スビアント氏は、自分が当選したらプロジェクトを見直すと公約していた。
選挙結果はまだ正式には確定していないが、独立系の世論調査会社によるサンプル調査では、ウィドド氏が2期目を務めるものと予想されている。
現場レベルでは、プロジェクトの完成について何の疑問も出ていないようだ。インドネシアでは、作業員らが掘削機械を丘陵の裾野に向け、赤土を搬出しつつ、バンドン郊外の茶栽培農園にあるワリニ駅に通じる2本のトンネルを掘り進めている。
現場にいた中国人労働者は、1年前からこの現場で働いており、2021年のプロジェクト竣工までこの地にとどまる予定だとロイターに語った。沿線には、鉄道コンソーシアムにより4カ所の新たな衛星都市が建設される予定だ。
ウィドド政権は現在、中国系企業に対して最大910億ドルのインフラ整備プロジェクトを提示している、とルフト・パンジャイタン海運担当大臣は語る。中国当局者がインドネシア国内の地方政府を回って、投資すべきプロジェクトを物色しているという。
ウィドド大統領は「一帯一路」フォーラムに派遣される代表団を率いる意向であり、フォーラムでは、いくつかのプロジェクトについて調印式が行われるものと見られると、2人の高官がロイターに語った。
高官の1人、インドネシア投資調整庁のトップであるトーマス・レンボン長官はロイターに対し、今回の一帯一路参加国首脳会議は、中国がこれまでよりも交渉に前向きになる「一帯一路2.0」に向けた転機になることを期待している、と語った。
「中国指導部は一帯一路を成功させるためには何でもやるだろう。たとえそれが、もっとプロフェッショナルに、透明性を高め、より協力的になることを意味するとしても」とレンボン長官は言う。
■シンガポールへの道
マレーシアでのプロジェクトが復活したことによって、中国にとっては、もう1つ別の鉄道プロジェクトを獲得する希望が生まれた。クアラルンプールとシンガポールを結ぶ高速鉄道(HSR)だ。マハティール首相は当初プロジェクトを中止する構えを見せていたが、今のところは延期とされている。
コントロール・リスクスでアナリストを務めるハリソン・チェン氏はロイターに対し、「中国はECRLの再交渉結果に勇気づけられ、クアラルンプールからシンガポールをつなぐHSRが予定どおり進められるよう努力を集中させるのではないか」と語った。
中国政府は、自国の鉄道技術がシンガポールのような先進国でもライバルに勝てることを実証しようと、このプロジェクトの落札に非常に熱心だった。中国の外交官らは、「何が何でも勝ち取らなければならないプロジェクト」と表現していた。
同プロジェクトが復活する場合、CRECの他に、日本、韓国、欧州、シンガポール、マレーシアといったコンソーシアムが競争入札に参加する。
シンガポール政府関係者によれば、プロジェクトが完全に中止されることになれば、マレーシアは巨額の違約金を払わなければならないという。
マハティール首相、シンガポールのリー・シェンロン首相が共に出席を予定している今回の一帯一路参加国首脳会議では、中国が同プロジェクトを改めて推進する姿が見られるかもしれない。
(翻訳:エァクレーレン)
中国、「一帯一路」参加国の不安払拭に注力 東南アジアの鉄道計画再開アピール
— ニューズウィーク日本版 (@Newsweek_JAPAN) 2019年4月27日
もっともマレーシアでは、マハティール首相が総延長668キロのECRL計画再開に同意はしたものの、プロジェクトのコストを160億ドルから107億ドルに削減することを条件としている。https://t.co/EQEcTafdky #中国 #一帯一路
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