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米韓首脳会談は失敗、文大統領に「仲介者失格」の烙印
https://diamond.jp/articles/-/199964
2019.4.16 武藤正敏:元・在韓国特命全権大使 ダイヤモンド・オンライン
写真:ユニフォトプレス
「文政権はこれまで米朝の仲介者を自認してきたが、米国はこのような韓国の立場はもはや認めない。韓国は日米韓同盟の一員として協力すべきである」
これが韓国の主要紙の論調から読み取れる文在寅大統領の訪米の評価である。米国の強い意志が現れた会談であった。
現在、民主主義国の中で、米朝会談決裂後も北朝鮮に寄り添うのは韓国の文大統領だけだ。
文大統領は、ベトナムにおいて米朝首脳会談が物別れとなった後も、開城工業団地や金剛山観光事業の再開などを通じた南北経済交流の推進に熱心であった。他方、米国は、北朝鮮には非核化への意思は感じられないとして、北朝鮮の非核化を促すためには制裁を維持することが不可欠である、との立場を明確にした。
こうした中で、文大統領の訪米を持ちかけられた米国は、当初、「開城や金剛山の事業について再開したいと言うなら来なくてよい」として、日程もなかなか決まらなかったようである。
そしてようやく決まった日程が上海臨時政府の発足100周年に当たる4月11日であった。
文大統領は1泊3日の日程で金正淑夫人とともに訪米した。会談は、合計2時間の予定であった。しかし、韓国メディアは当初から、首脳の単独会談に夫人が同席するのは、米国が実質的な意味のある会談をする意思がないためではないかとの疑問を提起していた(朝鮮日報社説)。
文大統領政権は
制裁の実効性を挙げるのに協力的か?
米国は、北朝鮮に対する制裁の全面解除の見返りに、全面的な非核化をめざすビッグディールを意図している。
これに対し、文大統領は会談において、北朝鮮が寧辺核施設の廃棄に加え、大量破棄兵器の凍結など非核化に向けたプラスの措置、いわゆる「寧辺プラスアルファ」に動くのを受け、米国が段階的に見返りを与えるという「グッド・イナフ・ディール」を提案したと言われている。
北朝鮮を対話に引き出してきたのは国連制裁と、米国の軍事的圧力である。今は北朝鮮に対する制裁の効果が問われている。北朝鮮が石油の瀬取りや、サイバー攻撃で仮想通貨を不正に入手していることは公然の秘密である。韓国は、北朝鮮との瀬取りに関わっていたとみられる韓国船を停留させ、調査を進めていることを明らかにし、成果を強調した。
しかし、この船が瀬取りに関わったのは約6ヵ月前だといわれていた。そもそも、この船の航海記録を見れば、北朝鮮との関わりを持っていたことことは明らかであり、韓国政府が6ヵ月も調査に必要だったとは考えられない。
韓国は瀬取りの取り締まりを忠実に行っていることを示したわけだが、これは行き当たりばったりの韓国政府の行動と見た方がいいだろう。
米国は、北朝鮮の非核化の前の制裁緩和には消極的である。そこで文大統領は、あの手この手で制裁緩和を働きかけると同時に、とにかく今後の対話の段取りに道筋をつけ、自らが主導権を握ることを重視した。文政権の韓国にとっては、南北関係を進めることが国政の最大の課題であり、米朝関係が膠着状態に陥っている状況を何とか打開する必要があった。
文政権が狙うのは
対話を再び動かすこと
文大統領は会談において、トランプ大統領に「近く南北首脳会談を推進する計画」と伝えた。
文大統領は、北朝鮮からも仲介者失格の烙印を押されているため、米国から譲歩を引きだした上で南北首脳会談に臨みたいと考えていたのであろう。そこで米側に南北首脳会談を持ち掛け、これに合わせ、南北経済協力を材料に北朝鮮の説得を試みることについて黙認を取りつけたかったのではないか。
だからこそ文大統領は、米国が何と言おうと南北共同事業を進める覚悟の人物である金錬鉄(キム・ヨンチョル)氏を、韓国の国会の反対を押し切ってまで任命したのだ。
さらに、文大統領は、トランプ大統領に近く訪韓するよう招請した。トランプ大統領は、日本の天皇即位後の最初の国賓として、またG20サミットに合わせて、5〜6月に2回訪日する予定がある。これに合わせ韓国も訪問するよう提案したのである。
文大統領の狙いは、今後も頻繁に米韓首脳会談を続けることで、米側の対応に影響を与え続けることだ。この訪韓提案に対し、トランプ大統領は謝意を表明したという。しかし、それは前向きな返事を意味するものではない。
加えて文大統領は、トランプ大統領の訪韓と合わせ、金正恩国務委員長を交えた3者会談を考えていると伝えられていた。ただ、トランプ大統領は記者団との問答で、「あり得るが、金正恩氏次第だ」と述べ、今のままでは困難との見方を示した。
これらのことから、文大統領の訪米の狙いは、自分が主導権を取り、米朝を仲介して、北朝鮮との関係改善を図る道筋をつけることであった。
実質的成果の乏しい首脳会談
文大統領の意図に米国はそっぽ
では、文大統領は訪米によって、トランプ大統領との次の首脳会談や北朝鮮との関係を改善させる道筋はついたのか。
韓国の中央日報紙によれば、会談は全体で116分ほど。首脳だけの会談、側近を加えた少人数会談、昼食形式の拡大会談と続いた。
文大統領は、北朝鮮に対して強硬なポンぺオ国務長官やボルトン補佐官のいない中で、トランプ大統領を説得しうる、差しの会談を最も重視していたはずである。
当初、15分予定されていた首脳だけの会談は29分であった。だが、両首脳の冒頭発言に続いて記者団とトランプ大統領の問答が27分間ほどあり、2人だけの会談は事実上2分だけだった。
このようなことは、これまで数多くあった首脳会談でも聞いたことがない。要するに、米国は韓国側と本気で交渉する意図がないことを意味しているのではないかとの観測が、メディアから伝えられている。
米国側は、文大統領夫妻に対し丁重に接遇した。会談の直前、トランプ大統領夫妻は、ホワイトハウスの玄関まで文大統領夫妻を出迎えた。しかし、丁寧な接遇は韓国側に会談の成果を与えないことの隠れ蓑だったのではないか。
会談前に、米国の立場を
記者団に語ったトランプ大統領
トランプ大統領は記者団との問答で、完全な非核化まで制裁を維持する立場を改めて表明。韓国側が期待する南北経済協力の推進には「今は適切ではない」と述べ、容認しない考えを示した。
さらに、3回目の米朝首脳会談については「あるかもしれない。急いで開くのではない。順を追って進める。もし急げば正しい合意が得られなくなるからだ」と述べた。
これらはいずれも文大統領が会談で取り上げたかった事項であり、それについて会談に先立つ記者団との問答で否定的な見解を述べた。これは従来の米朝会談で、韓国側から北朝鮮の意図について間違った説明を受け、振り回されてきた米国のいらだちを表すものであろう。
文大統領は首脳会談に先立ち、ポンぺオ国務長官、ボルトン国家安全保障担当補佐官、次いでペンス副大統領とも会談した。これは首脳間の会談が成功するためには北朝鮮に対する政策に大きな影響を及ぼす側近を説得することが重要との考えからであろう。
しかし、ポンぺオ長官等との会談には、ハリス駐韓国大使やビーガン北朝鮮政策特別代表など4人が加わり、少人数での緊密な会談の雰囲気が損なわれる形となったようだ。北朝鮮への強硬姿勢を唱えるトランプ大統領の側近を膝詰め談判で説得するという意図をくじく米側の対応であった。
米朝会談を進めるのであれば、
まず北朝鮮に非核化を促すのが本筋
そもそも、韓国側は米朝を仲介するとは言うものの、これまでやってきたことは金正恩委員長の“首席報道官”的な役割である。
米朝首脳会談が物別れに終わった最大の理由は、北朝鮮が寧辺の一部施設の廃棄と見返りに国連制裁の実質的な全面解除を要求したからである。これは北朝鮮がほんの少しの犠牲で制裁を解除させ、核を保有したまま逃げ切ろうとしたからであり、北朝鮮に非核化の意思がないことがより明白になったからである。
米朝間の交渉を再度動かすためには北朝鮮の態度を変える必要がある。文大統領が仲介の労をとるのであれば、まず北朝鮮に行き、金正恩委員長に譲歩を迫ったうえで、その成果を持って、米国に行くべきである。
文大統領が「南北首脳会談を推進する計画である」と述べたのに対し、トランプ大統領が「南北首脳会談を通じて、あるいは南北接触を通じて韓国が把握する北朝鮮の立場をできるだけ早く教えてほしい」と述べた。 そもそも、韓国側は米朝を仲介するとは言うものの、これまでやってきたことは金正恩委員長の“首席報道官”的な役割である。
米朝首脳会談が物別れに終わった最大の理由は、北朝鮮が寧辺の一部施設の廃棄と見返りに国連制裁の実質的な全面解除を要求したからである。これは北朝鮮がほんの少しの犠牲で制裁を解除させ、核を保有したまま逃げ切ろうとしたからであり、北朝鮮に非核化の意思がないことがより明白になったからである。
米朝間の交渉を再度動かすためには北朝鮮の態度を変える必要がある。文大統領が仲介の労をとるのであれば、まず北朝鮮に行き、金正恩委員長に譲歩を迫ったうえで、その成果を持って、米国に行くべきである。
文大統領が「南北首脳会談を推進する計画である」と述べたのに対し、トランプ大統領が「南北首脳会談を通じて、あるいは南北接触を通じて韓国が把握する北朝鮮の立場をできるだけ早く教えてほしい」と述べた。
韓国政府は、トランプ大統領は韓国の仲介に期待を示したと解釈するであろう。しかし、真意は違う。
「まず北朝鮮に非核化を説得しろ。北朝鮮が非核化に本腰で取り組む姿勢を見せることが先決だ」
これがトランプ大統領の真意だ。つまり、まず米国ではなく北朝鮮に先に接触するべきだということだろう。
米国議会、専門家の間でも
文大統領の「仲介」に不信感
米韓首脳会談が行われている時、「韓国が北朝鮮の立場を代弁することや米朝非核化交渉の仲介者になる」ことについて否定的な声が共和党、民主党を問わず、米国議会で北朝鮮を扱う議員から相次いで寄せられた。韓国は、「米国の同盟者であり、仲介者ではなく交渉のパートナーとしての役割を果たすべき」というものである。
さらに朝鮮半島問題の専門家は、韓国が仲介者の役割を果たそうとしていることや、制裁の一部解除を主張していることは米韓関係に亀裂を与えかねないと指摘している(朝鮮日報記事)。
こうしたワシントンの空気は、仮に米国政府が米朝首脳会談を続ける意思があっても、北朝鮮への制裁緩和を先に進めることを強く押さえつけるものである。
韓国よ、日韓関係をこれ以上悪化させ、
日米韓の連携を妨害するな
韓国は本来、日米韓で協力し、北朝鮮との交渉にあたるパートナーのはずである。
しかし、文政権では日韓間の摩擦を引き起こす行動を取り続けている。4月11日は上海臨時政府発足100周年記念に当たる日でもある。韓国では、文政権主導でこの日を大々的に祝う動きも見られ、反日感情の高まりで、さらに日韓関係に否定的な影響を及ぼす可能性が指摘されていた。
日韓関係の悪化に憂慮する米国政府が、米韓首脳会談を4月11日に合わせ、韓国政府のこのような企てを阻止しようと考えても不思議ではない。トランプ大統領以前の米国は、日韓関係が悪くなると、北朝鮮に対抗する日米韓の協調体制を損なわないよう関係の改善を求めてきたものである。4月11日に米韓首脳会談をセットしたことで、日韓関係の悪化を防ぐ意図があったとは米国は認めないであろうが、米国がそれくらいの知恵を働かせたとしても不思議ではない。
韓国が北朝鮮寄りの姿勢を続ければ
韓国が孤立していくだけ
文大統領にとって今回の訪米は、従来の米朝仲介だけではなく、日本に対する歴史見直しや積弊清算の政策をこれ以上取り続けることは、米国の意図するところではないとの姿勢を鮮明にした。
しかし、問題は文大統領が米国のこうしたメッセージに気付くかどうかである。
文大統領はこれまで、世界の地政学的評価とは無関係に、自己の考えを押し通してきた。しかし、いつまでもこうした政策を貫けば、国際社会でもひいては国内でも孤立していく以外ないとの現実から逃れることは出来ない。
(元・在韓国特命全権大使 武藤正敏)
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— Gnews (@Gnews__) 2019年4月15日
米韓首脳会談は失敗、文大統領に「仲介者失格」の烙印(ダイヤモンド・オンライン)
— スーパーグレート (@bospapa) 2019年4月15日
空気読めない大統領だから、なにしても無駄! https://t.co/9rgjyR8MPR
当初、15分予定されていた首脳だけの会談は29分であった。だが、両首脳の冒頭発言に続いて記者団とトランプ大統領の問答が27分間ほどあり、2人だけの会談は事実上2分だけ。武藤正敏さんのコラム。https://t.co/HGEUxrO2XW 問題は、文大統領が米国のこうしたメッセージに気付くかどうか。
— 石川一敏 (@ik108) 2019年4月15日
金正恩が文在寅を“使い走り以下”の存在と認定 韓国「ペテン外交」の大失敗 https://t.co/ogpaL1hm46
— (・∀・)bォゥィェ (@pazudora_ya) 2019年4月16日
米韓首脳会談は失敗、文大統領に「仲介者失格」の烙印 https://t.co/lSoTKwrPMu
・・・(๑¯ω¯๑)・・・
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