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海野素央の Love Trumps Hate
明治大学海野教授が驚愕した、ラストベルトで根強いトランプ人気
2019/04/15
海野素央 (明治大学教授、心理学博士)
熱狂的な支持者の前に現れたトランプ大統領(筆者撮影@ミシガン州グランドラピッズ)
今回のテーマは、「トランプの再選戦略と民主党の選挙戦略」です。ウィリアム・バー米司法長官がロシア疑惑に関するモラー報告書の概要で「シロ」の判定を下すと、ドナルド・トランプ米大統領は、早速2020年米大統領選挙に向けて再選戦略を実行に移しました。その柱となるのが、モラー報告書の政治的活用及び難民申請者に対する強硬策を意識した閣僚の解任です。
「メディアは国民の敵」の看板を掲げるトランプ支持者(筆者撮影@ミシガン州グランドラピッズ)
トランプ大統領は中西部ミシガン州グランドラピッズで3月28日、支持者を集めた集会を開催しました。筆者はその集会に参加したので、本稿ではまず現地の様子を交えながら、同大統領の再選戦略について解説します。次に、ワシントンで実施した現地ヒアリング調査に基づいて、来年の大統領選挙における議会民主党の選挙戦略について述べます。そのうえで同党の弱点について触れます。
トランプの新たな「攻撃材料」
トランプ大統領は集会で、バー長官のモラー報告書の概要を取りあげ、ロシア疑惑について「共謀も司法妨害もなかった」と語気を強めて語り、「勝利宣言」を行いました。同大統領は、明らかにロバート・モラー特別検察官によるロシア疑惑の捜査幕引きを図ろうとしています。
その一方で、再選を見据えたトランプ大統領は、モラー報告書を議会民主党に対する「攻撃材料」として利用しました。
演説をするトランプ大統領(筆者撮影@ミシガン州グランドラピッズ)
現在トランプ大統領が標的としている下院議員は、米議会でロシア疑惑における共謀と司法妨害の捜査を行っている下院情報特別委員会のアダム・シフ委員長(民主党・カリフォルニア州第28選挙区選出)及び下院司法委員会のジェロルド・ナドラー委員長(民主党・ニューヨーク州第10選挙区選出)の2人です。同大統領は集会で、彼らを名指しで批判し、特にシフ委員長の辞任を求めました。
トランプの「士気高揚の道具」
トランプ大統領はモラー報告書を支持者の士気高揚を図る道具としても活用しています。集会に参加した約1万2000人の支持者を前に、ロシア疑惑捜査について「我々は容疑をかけられた犠牲者である」というメッセージを発信しました。すると、支持者から「彼ら(シフ・ナドラー両委員長)を収監せよ!」の合唱が起きました。トランプ大統領はこの集会で、「モラー報告書は政治的な利用価値が高い」という確かな手応えを得たでしょう。
第1列目で見る熱狂的なトランプ支持の白人女性(筆者撮影@ミシガン州グランドラピッズ)
さらに、トランプ大統領にとって都合の良い議会証言が4月10日、バー司法長官から飛び出しました。バー長官は上院歳出小委員会での公聴会で、16年米大統領選挙の際中、「米情報機関がトランプ陣営に対してスパイ行為をした」と証言しました。同長官のこの発言は、反トランプの情報機関による陰謀論の存在を肯定したものと解釈できます。
トランプ大統領は、「自分に対して憎悪のある人たちが、事実無根の(ロシア疑惑の)捜査を行った」と主張し、自身のツイッターに「彼らはクーデターを試みたが失敗した」とつぶやきました。
ホワイトハウスの記者団からのスパイ行為に関する質問に対して、「信じがたいが事実だ。(米情報機関が)トランプ陣営にスパイ行為をした」と答えました。
再選に意欲を示すトランプ大統領はモラー報告書に加えて、バー長官のスパイ行為を巡る証言も支持者に対する「士気高揚の道具」として用いています。
「社会主義反対」の看板を掲げるトランプ支持者(筆者撮影@ミシガン州グランドラピッズ)
米国土安全保障省の幹部刷新のワケ
トランプ大統領は4月7日、自身のツイッターに「米国土安全保障省のキルステン・ニールセン長官が辞任する」と投稿しました。事実上の解任です。米メディアは、他にも同省の数人の高官が解任されると報じています。同大統領の意図は一体どこにあるのでしょうか。
「国境の壁」建設を「公約の中の公約」に掲げるトランプ大統領には、メキシコとの国境対策で主要な役割を果たす国土安全保障省の幹部を入れ替え、再選に向けて選挙態勢を整える意図があります。
トランプ支持の旗(筆者撮影@ミシガン州グランドラピッズ)
今後は、国土安全保障省に代わり、大統領補佐官でありスピーチライターでもあるスティーブン・ミラー氏が、移民政策に関して影響力を増すでしょう。というのは、ミラー氏の難民申請者に対する強硬策は、トランプ大統領の支持基盤に歓迎されるからです。同大統領はこの点を充分理解しています。
実際、トランプ大統領は米メディアに、移民政策について「より厳格な方向へ向かうことを望んでいる」と語りました。不法移民や難民申請者に対する「強硬なイメージ」を維持して、一層厳しい国境管理を求める支持者をつなぎとめる思惑があるといえます。要するに、これも再選戦略の一環です。
コノリー議員の反応
集会に参加した熱狂的なトランプ支持者の白人女性(筆者撮影@ミシガン州グランドラピッズ)
では、議会民主党はバー司法長官のモラー報告書の概要をどのようにみているのでしょうか。また、トランプ大統領に対してどのような選挙戦略をとるのでしょうか。
下院監視・改革委員会のメンバーであり、トランプ大統領の元顧問弁護士であるマイケル・コーエン被告に公聴会で質問をしたジェリー・コノリー議員(民主党・バージニア州第11選挙区選出)に4月1日、ワシントン事務所で聞いてみました。
コノリー下院議員は不満そうな表情を浮かべながら、次のように語りました。
「私はバーの概要に満足していません。司法妨害は認定できなかったと判断したのは、彼の主観です。共謀についても納得できません。(トランプ陣営元選対本部長の)マナフォートはロシア政府の情報機関とトランプ陣営のデータを共有しています。(同陣営元顧問の)ストーンはウィキリークスと連絡をとっていました。陰謀があったと疑っても当然です。完全なモラー報告書を読むまでは、バーの見解を受け入れることはできません」
コノリー下院議員はモラー報告書の「完全開示」を要求していました。米国民も同様です。
米ワシントン・ポスト紙とジョージ・メイソン大学(バージニア州)の共同世論調査(19年3月26−29日実施)によれば、米国民の83%がモラー報告書の完全開示を求めています。
同調査では、モラー報告書の「トランプ陣営とロシア政府との共謀はなかった」という結論に対して、52%が「受け入れる」と回答しています。
チームトランプ(筆者撮影@ミシガン州グランドラピッズ)
ところが、トランプ大統領のロシア疑惑捜査に対する司法妨害については、まったく異なった調査結果が出ています。49%が同大統領が司法妨害を「した」と答え、「しない」の44%を5ポイント上回っています。加えて、41%がバー長官の司法妨害についての意思決定は「不適切である」と回答しており、「適切である」の39%をわずか2ポイントですがリードしました。
コノリー議員は、議会民主党が20年米大統領選挙においてとるべき選挙戦略についてもコメントをくれました。
「モラー報告書は無視できません。しかし、民主党は次の大統領選挙ではロシア疑惑ではなく、オバマケアや労働者の賃金値上げなどの争点で戦うべきです。昨年の中間選挙が証明しました」
確かに18年米中間選挙で、民主党はロシア疑惑ではなく、医療保険制度改革などを争点に据えて、下院を共和党から奪還し、多数派になりました。
トランプ大統領の仮面を被った白人男性の支持者(筆者撮影@ミシガン州グランドラピッズ)
うえで紹介したワシントン・ポスト紙とジョージ・メイソン大学の共同世論調査において、「米議会はトランプ大統領を罷免する弾劾手続きを始めるべきか」という質問に対して、54%が「始めるべきではない」と回答し、「始めるべき」の41%を13ポイントも上回りました。
ただ、民主党支持者の61%が「始めるべき」と答えています。中道路線をとり、トランプ弾劾に慎重なコノリー下院議員とそれに積極的な同党の左派勢力との間には、弾劾に関してかなりの隔たりが存在しています。党内がトランプ弾劾と次の選挙戦略を巡って分裂しているのは、弱点かもしれません。
コノリー下院議員は、もちろんロシア疑惑捜査の幕引きには反対ですが、選挙において民主党が同疑惑以外の争点に時間を費やすことの重要性を繰り返し強調していました。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15926
トランプ大統領の再選確率は50%超−ゴールドマンが分析
Simon Kennedy
2019年4月15日 10:18 JST
現職大統領が一般投票で有利な点や良好な経済がトランプ氏に味方
米成長率は今年2.5%、来年は2.3%と予想−失業率低下見込む
ゴールドマン・サックス・グループのエコノミストらは2020年米大統領選について、米経済見通しを考慮すればトランプ大統領が他の候補より「若干優位」に立っていると指摘した。
アレック・フィリップス、ブレーク・テーラー両エコノミストは14日遅く発表したリポートで、トランプ大統領については不支持率で一部相殺されるものの、現職大統領は一般投票で5−6ポイント有利であることに加え、ゴールドマンの経済予測もトランプ氏に有利に働いていると分析した。
US-POLITICS-TRUMP
ミシガン州グランド・ラピッズの集会で演説するトランプ大統領(3月28日)写真家:Nicholas Kamm / AFP経由でGetty Images
両氏は「1期目の大統領の優位性や、大統領選前の比較的力強い経済状況を考慮すれば、トランプ大統領が勝利して2期目を務める公算の方が民主党候補に負けるよりも大きいことを示唆する」とした。
ゴールドマンは現在、米成長率が今年2.5%、来年2.3%と予想。米失業率を今年の3.7%から来年3.3%に低下させるのに十分な経済成長とみている。
原題:Goldman Economists Say Trump Re-Election More Likely Than Not(抜粋)
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トランプ大統領がFRBを再度批判、政策適切なら大幅株高に
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-04-15/PPZ8YM6K50XT01
トランプ米大統領、再選に向けて1─3月に3000万ドル超集める
Reuters Staff
1 分で読む
[ワシントン 14日 ロイター] - 来年の米大統領選での再選に向けてトランプ大統領の陣営は2019年第1・四半期に3000万ドル超の献金を集めた。同陣営が14日、明らかにした。民主党で立候補を表明している候補が集めた最高額を大きく上回った。
トランプ陣営が選挙戦に使用可能な現金の総額は4080万ドルに上った。同氏にとっては苦しい選挙戦となる可能性が高いが、共和党の支持者らは依然として資金協力に積極的なようだ。
民主党の候補者の間では、バーニー・サンダース、カマラ・ハリス両上院議員が第1・四半期に集めた献金がそれぞれ1820万ドルと1200万ドルとなり、他の候補を上回った。サンダース陣営によると、同期の平均寄付額は20ドルだった。
トランプ大統領の平均寄付額は34.26ドルで、寄付の99%近くは200ドル以下だった。
共和党全国委員会が同期に集めた資金は4580万ドルだった。トランプ陣営は同委とは別に資金集めを行っている。
https://jp.reuters.com/article/usa-trump-fed-idJPKCN1RQ0SI
http://www.asyura2.com/19/hasan132/msg/168.html
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