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FRBが政治化? それは上院次第 The Wall Street Journal(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/19/kokusai26/msg/196.html
投稿者 赤かぶ 日時 2019 年 4 月 12 日 11:23:25: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

FRBが政治化? それは上院次第
https://diamond.jp/articles/-/199630
2019.4.12 The Wall Street Journal ダイヤモンド・オンライン


Photo:Federal Reserve


――筆者のグレッグ・イップはWSJ経済担当チーフコメンテーター

***

 米連邦準備制度理事会(FRB)は、他の公的機関が党派対立に振り回される中でも、一世代以上にわたり政治を超える存在であった。現職のジェローム・パウエル氏を含め、過去32年のうち28年間は共和党支持者がFRB議長を務めたが、共和党が政権を握っている時代でも、FRBが同党に有利な金融政策運営を行った形跡を見つけることは困難だ。

 政治任命の当局者が政治に無関心に振る舞うことは法律で定められている訳ではない。しかし、共和・民主両党が当然だと考えてきた慣例だ(これまではだが)。ドナルド・トランプ大統領も当初はこの慣例を守っていた。トランプ氏が指名したFRB当局者はパウエル氏(当時は理事)を含め、適任かつ能力が高く、政治に無関心だと高く評価された。だがトランプ氏はここにきて、その慣例を破りつつある。利上げをやり玉に挙げてパウエル氏を公然と批判し、自身と見解を共有する熱烈な支持者2人をFRB理事に指名する意向を示した。

 大統領1人だけではFRBが政治化することはない。FRB議長と議会も黙従する必要がある。今のところ、パウエル氏も他のFRB当局者もなびく公算は小さいもようだ。だが、議会は今後、最高裁人事のようにFRB人事についても、党利党略の道具と化すことを許容するかどうか、真に試されることになる。

 実際にそうなれば、FRBの決定は経済的な証拠だけでなく、政治の優先課題を一段と反映するようになるだろう。国民や金融市場は、最高裁判事の判決の背後には政治の存在があると見なすように、金融政策決定も政治的だと推測するようになる。FRBは最高裁ほど、多くの物議を醸す問題に対処することはない。しかし、金利を動かし、さまざまな種類の債券を売買し、金融機関を救済・規制することが可能だ。このすべてがインフレや経済成長、ドル、株式、信用供給に影響を与える。

 トランプ氏が理事に指名する意向を示している2人は、その資質を巡り批判を浴びている。スティーブン・ムーア氏は経済学の学位を取得しており、ハーマン・ケイン氏は経営者として成功している。だが、いずれも金融業界での勤務経験はなく、金融政策に関する深い造詣も持ち合わせていない(ケイン氏は12行ある地区連銀の1つで役職に就いた経歴を持つが、金融政策に関する責任を伴う役職ではなかった)。両氏が持つ主な資質とは、トランプ氏の熱心な支持者であることだ。ムーア氏は今週、FRBは金融引き締めにより、トランプ氏の再選を脅かしているかもしれないと述べている。

 両氏のいずれも、FRBの独立性に対する差し迫った脅威とはならない。個人的な事情で、指名がとん挫することもあり得る。米内国歳入庁(IRS)はムーア氏に税の未払いがあると指摘している(本人は否定)ほか、ケイン氏は性的不品行の疑いが持たれている(本人は否定)。いったん理事に就任すれば、同僚からの影響やデータ、FRBの長年の伝統を吸収して、政治は脇に追いやるかもしれない。インフレが欠如する中、すでに利上げ凍結を示唆しているパウエル氏と、最終的に意見が一致することも考えられる。

 たとえパウエル氏と意見が対立しても、両氏は7人の理事ポストのうちの2票にすぎない。金融政策決定は通常、合議制で総意を形成する仕組みとなっており、このほか12地区連銀の総裁のうち5人が輪番で投票に加わる。2人の反対派が講演やメディアでの批判を通じて、議長を苦しい立場に追い込む可能性はある。だが、2人の主張に信頼性がなければ、他のFRBメンバーをなびかせることはできない。それどころか、結束心から、他のメンバーがパウエル氏を中心に団結するかもしれない。

 歴史を振り返ると、大統領の望む方向へと政策を曲げられるのはFRB議長だけだ。アーサー・バーンズ議長は1970年代、自らをリチャード・ニクソン大統領のチームの一員だと考え、ニクソン氏の意向を「忖度(そんたく)」した。ロナルド・レーガン大統領が任命したFRB理事4人は1986年、ポール・ボルカー議長の反対を押し切って、一時利下げを認めた。ボルカー氏は翌年、議長を辞任し、レーガン氏は共和党の内情に通じたアラン・グリーンスパン氏を後任に指名した。だがグリーンスパン氏は、ホワイトハウスの度重なる利下げ要求を退け、ボルカー氏同様、独立した存在であることを証明した。1993年から昨年まで、歴代大統領は干渉することを止めている。

 パウエル氏はこれまで、トランプ氏を満足させるために辞任したり、金融政策の方向性を変えたりすることはないと言明している。だが、それだけでは、FRBの独立性を守るのに十分ではないかもしれない。理事は任期を待たずに退任することが多い。あと理事2人が任期前に退任するだけで、トランプ氏は自身の考えに近い人物を理事として送り込み、理事内でパウエル氏の意向を覆すことが可能になる。そうなれば、パウエル氏の権威は著しく損なわれる。また2022年にはパウエル氏自身が任期を迎える。

 トランプ氏が再選された場合には、最近の言動から、政権の政策課題を優先する議長候補を検討すると考えられる。民主党から大統領が誕生しても、同じ行動をとるかもしれない。トランプ氏が任期を待たず、パウエル氏の解任に動けば(法的には、トランプ氏は正当な理由があった場合にのみ解任できる)、おそらくトランプ氏の再選がかかっている以上、(共和党が過半数議席を握る)上院はトランプ氏が指名した後任候補を承認せざるを得ないだろう。

 そうなるには、上院が資質ではなく、大統領への忠誠心から選ばれた 候補者だと知りながら承認する必要がある。それほど信じがたいことではない。上院はかつて判事人事を候補者の資質に基づいて承認していたが、今ではイデオロギーも同様に重要になっており、多くの場合は一段と重要性が増している。

 共和党は昨今の金融危機後、FRBの景気刺激策を繰り返し批判してきた。インフレ高進を招きかねず、バラク・オバマ前大統領による赤字財政を可能にするとの理由からだ(そのいずれも証拠を欠く)。ムーア、ケイン両氏もこうしたFRB批判に加わる。一部では、FRBの独立性を制限する法案を推進する動きもある。米上院銀行委員会のリチャード・シェルビー上院議員(共和、アラバマ州)は2011年、オバマ氏がFRB理事に指名したノーベル経済学賞受賞のエコノミスト、ピーター・ダイヤモンド氏の承認を阻止した。「適切な経歴や経験、政策の優先傾向」を欠くためだという。

 対照的に、ムーア氏は正式な資質が不足しているにもかかわらず、過去数十年の減税を求める絶え間ない取り組みが評価され、共和党上院議員から広く好感を持たれている。シェルビー議員は最近、こう述べている。「彼はFRBに新たな声をもたらすだろう。FRBは彼のような声を生かすことができるはずだ」

(The Wall Street Journal/Greg Ip)


 

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