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モラー特別検察官、トランプ陣営とロシアとの共謀の証拠なし
Chris Strohm、Shannon Pettypiece
2019年3月25日 4:57 JST 更新日時 2019年3月25日 9:43 JST
司法長官:司法妨害の立証には証拠不十分−特別検察官は結論出さず
共謀も司法妨害もなかったと大統領、民主党は報告書全文の開示要求
トランプ大統領
トランプ大統領 Photographer: Al Drago/Bloomberg
2016年の米大統領選に対するロシア介入疑惑を捜査したモラー特別検察官は、トランプ陣営とロシアとの共謀の証拠はないとする一方、トランプ大統領による司法妨害の可能性に関しては潔白であるかどうか結論を出さなかった。特別検察官が先に司法省に提出した報告書の内容として、バー司法長官が24日に明らかにした。バー長官自身は、捜査で得られた証拠では司法妨害を立証できないとの判断を示した。
バー長官は議会への4ページの書簡でモラー氏の報告書について、司法妨害の「問題の双方の側面について証拠を見つけ」ており、「特別検察官が法律上の難題とした部分は未解決となっている」と説明。同報告書でモラー氏が「この報告書はトランプ大統領が罪を犯したと結論付けていないが、大統領の潔白を証明するものでもない」と判断したことを明らかにした。
relates to モラー特別検察官、トランプ陣営とロシアとの共謀の証拠なし
左からモラー特別検察官、バー司法長官、トランプ大統領
しかしバー長官は、自分とローゼンスタイン司法副長官は「特別検察官の捜査で得られた証拠は、大統領が司法妨害を行ったと立証するには不十分との結論に達した」と同書簡に記した。
トランプ大統領は同報告書によって共謀と司法妨害という自らの地位を脅かしかねない2つの疑いが晴れたと受け止めた。ただ議会民主党はこれらの問題に関して有罪か無罪かを決定する権限を主張している。
「潔白が証明された」
トランプ大統領はバー長官の書簡公表の約1時間後、「共謀はなく、司法妨害もなかった、完全かつ全面的な潔白が証明された」とツイートした。またフロリダ州パームビーチで記者団に、「違法テイクダウン(タックル)は失敗した」と語った。
バー長官は16年のロシアとの共謀の疑いについて、「ロシアに関係した個人がトランプ陣営に複数回、支援を申し出たことはあったものの、特別検察官はトランプ陣営ないし陣営に関係する者がこれらの企てでロシア政府と共謀ないし連携したとの判断に至ることはなかった」と説明した。
司法省当局者によると、ホワイトハウスはモラー氏の報告書の検討ないし議論に関与せず、事前にバー長官の書簡を閲覧することもなかった。
ホワイトハウスのサンダース報道官は発表資料で、「特別検察官は共謀も司法妨害も見つけなかった」とし、司法妨害を巡る特別検察官の判断部分は事実と異なる形で論評。その上で「バー長官とローゼンスタイン副長官はさらに、司法妨害がなかったとの判断を下した。司法省の結論は大統領の完全かつ全面的な潔白さの証明だ」と論じた。
司法省当局者によれば、モラー氏は司法妨害の判断を含むバー長官の書簡について見解を聞かれることはなかった。
開示範囲
1年10カ月にわたったロシア疑惑の捜査は終結したが、議会では今後数カ月にわたり、モラー氏の報告書をどこまで開示すべきかを巡り論戦が繰り広げられる見込みであり、さらに法廷で争われる可能性もある。バー長官は議会に宛てた22日の書簡で、今後、モラー、ローゼンスタイン両氏と相談の上、モラー氏の報告書のどの部分を追加で公表するかを決めるつもりだとしている。
民主党議員らは同党が進めている調査に必要だとして、報告書全文および根拠となる証拠を開示するよう求めている。ペロシ下院議長とシューマー民主党上院院内総務は24日の共同声明で、「米国民には知る権利がある」と主張した。
ナドラー下院司法委員長(民主)はツイッター投稿で、「モラー氏が大統領の潔白を結論付けることのなかった報告書を受けて司法省が下した最終判断と、非常に懸念される食い違いを踏まえて、われわれはバー長官を証人として喚問するだろう」と述べた。
一方、ニューヨークの連邦地検は大統領一族の中核企業や大統領選挙戦、就任式実行委員会に対する捜査を進めており、トランプ大統領は引き続きリスクに直面している。モラー氏は一部の問題をニューヨーク・マンハッタンやバージニア州アレクサンドリア、ワシントンの各連邦地検や、司法省の国家安全保障部門に委ねていた。これにより大統領個人や事業に関する捜査は継続する可能性がある。
原題:Trump Claims Victory as Mueller Finds No Collusion With Russia(抜粋)
(今後の見通しなどを追加して更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-24/POVZGF6JIJUO01
華為vs米政府、中国の思惑は負けるが勝ち
コラムニスト:Noah Feldman
2019年3月22日 13:22 JST
敗訴でも米裁判所は政府の言いなりだと中国側は強調できる
華為の訴訟が狙いを定めているのは19年度国防権限法889条
relates to 【コラム】華為vs米政府、中国の思惑は負けるが勝ち
Photographer: Wang Zhao/AFP/Getty Images
米政府を提訴した中国の華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)が目指しているのは、法廷での勝利ではない。訴訟の趣意書で同社が示した主張はこれまでの判例に基づくものではないし、米国の憲法に違反しているとの言い分にも法的根拠はほとんどみられない。
テキサス州の連邦地裁で今月起こされた訴訟は極めて異例だ。華為側は、中国政府の関係会社だとして同社を名指しし同社の通信機器とそれを使う企業を米政府の契約から締め出した米議会を標的に、道徳上の問題があると痛烈な批判を展開しているようにみえる。
華為はこの提訴で何を得ようとしているのだろうか。根底にある目的は恐らく、米国が法治国家だという認識への攻撃だろう。
華為の敗訴はほぼ確実だ。だが裁判に負ければ、米国の裁判所は政府の言いなりだと同社や中国政府は主張できる。そして華為は、第5世代(5G)移動通信インフラの構築で世界のリーダーとしての中国の立場を固める能力を持つ企業と、米国の国益は相容れないと論じることもできるだろう。
華為が訴訟で照準を定めているのは2019年度国防権限法(NDAA)の889条だ。この法律は華為または別の中国通信機器メーカー、中興通訊(ZTE)と米政府は通信機器・サービスで契約できないなどとかなり単刀直入に規定している。両社を対象とする理由はどこにも書かれていないが、米議会は通常、法案可決の際に理由を説明する必要はない。
米議会が華為とZTEを禁止対象として特別に選び出し、憲法違反の「私権略奪法」を可決したというのが華為側の論点だ。だが、故アール・ウォーレン元米連邦最高裁長官が記したように私権略奪法を巡り憲法が禁じているのは「立法府による裁判」と「特定の人物もしくは団体に対する立法府による処罰」であり、889条は華為を罰してはいない。米政府が同社と契約したり、同社製品を使うことはないという規定だ。従って、華為側の論拠は極めて弱い。
中国共産党系の新聞、環球時報の英語版グローバル・タイムズは「高い地位にある人々からの提案」抜きに華為が米政府を相手取る訴訟を起こすことはなかっただろうと報じ、中国政府が提訴を承認したか、あるいは訴訟を始めるよう助言すらしたことをほのめかしている。
さらに同紙は論説で、華為は「政治的動機に基づく米政府による弾圧に直面」しているとし、「欧米の観点から見ても訴訟を起こす十分な理由」があると主張。この訴訟は「米国の司法制度の独立性を試すことになる」と結論付けている。
こうしたことが示唆する華為側の意向は、米国が憲法を軽視しているように見せることでプロパガンダ(宣伝工作)上の勝利を収めたいとするものだ。同社創業者の娘である孟晩舟最高財務責任者(CFO)が米国の要請に基づきカナダで逮捕されたことにも触れ、米国は中国への対応となると法の支配を無視すると主張するのに訴訟が利用できる。
もちろん、少なくとも889条を巡って、そのような主張は事実ではないが、華為や中国は気にしないだろう。
(ノア・フェルドマン氏はブルームバーグ・オピニオンのコラムニストで、米ハーバード大学の法学教授です。デービッド・スーター元米連邦最高裁判事の下で働いた経歴もあります。このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)
原題:Huawei’s Lawsuit Against U.S. Won’t Win in Court: Noah Feldman(抜粋)
This column does not necessarily reflect the opinion of the editorial board or Bloomberg LP and its owners.
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-24/POW6CQ6KLVR401
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