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国家崩壊ベネズエラ、アメリカは遂に力でマドゥロを排除するか
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/03/post-11835.php
2019年3月13日(水)16時30分 デービッド・ブレナン ニューズウィーク
全土停電4日目、断水が続いて川に流れ込む排水を汲む人々(3月11日、ベネズエラの首都カラカス) Carlos Garcia Rawlins-REUTERS
<トランプはかつて側近に、「アメリカはなぜベネズエラに侵攻して独裁者を排除しないのか」と尋ねたことがある>
アメリカ政府は、最後まで残っていたベネズエラ駐在の米大使館職員全員に帰国命令を出した。トランプ政権がベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領を退陣に追い込むために仕掛けた政治的、経済的な圧力が功を奏さず、膠着状態に陥っているなかでの決断だった。
マイク・ポンぺオ米国務長官は3月11日、ベネズエラに残留しているアメリカ人外交スタッフがマドゥロと「暫定大統領」就任を宣言したフアン・グアイド国会議長との権力闘争に巻き込まれることを懸念し、ベネズエラからの完全撤退を発表した。ポンぺオによると、アメリカ人職員は全員、週末までに帰国するという。
ベネズエラでは3月7日以降、全国規模の停電が続いており、主要都市の交通運輸は麻痺し、水の供給は途絶え、冷蔵庫の貴重な食料は腐敗するなど、もともとの生活困窮に拍車をかける大混乱に陥っている。マドゥロは、大規模停電はアメリカが発電用ダムに攻撃を仕掛けたせいだと非難した。
ポンペオは即座にこれを一蹴、「今回の帰国命令は、ベネズエラの状況悪化と、米大使館に外交職員が残留していると政策の自由度が制限されるとの判断によるものだ」とツィッターで説明した。
■若きリーダーへの期待
マドゥロはウゴ・チャベス大統領の死去に伴い後継者として2013年に大統領に就任。それ以降、独裁的な権力を維持している。彼の経済政策は国を窮地に陥れ、何百万人もの国民が国外へ逃れるほどの危機を引き起こした。政権幹部は私腹を肥やし、数々の腐敗と相次ぐ人権侵害で国内外から非難されている。
グアイド(35歳)は野党主導の国民議会における若きリーダーで、今年1月に暫定大統領への就任を宣言した。グアイドは昨年5月の大統領選挙におけるマドゥロの勝利が違法だったと主張。そのような場合、ベネズエラ憲法は、新しい選挙が行われるまで国会議長が暫定大統領になると定めている、とグアイドは言う。
ドナルド・トランプ大統領はただちにグアイドへの支持を表明した。この若いリーダーを合法的な暫定大統領と認め、マドゥロの辞任を求めた。
トランプ政権はグアイドの暫定大統領就任を支持すれば、すぐにマドゥロの失脚につながると期待していた。ウォールストリート・ジャーナル紙によれば、トランプ政権は数カ月にわたって議論を重ね、グアイドと連携する計画を立てていた。
だが影響力の強いベネズエラ軍部は、相変わらずマドゥロに忠誠を誓っている。誰が政権をとるにせよ、軍部の支持は治安の安定に欠かせない。グアイドと米政府は軍の支持を集めようとしたが、期待に反してグアイド支持に転向したのはほんの一部だった。
NBCニュースの報道によれば、国際的には50カ国以上がグアイドへの支持を表明しているが、ロシアと中国など、マドゥロを引き続き支持する国もある。中国とロシアの支援を受けて、56歳のマドゥロ大統領は、米政府の当初の期待よりもはるかに長く、政権を維持することができるかもしれない。
外交と経済からマドゥロに圧力をかける計画が行き詰まり、米政府はもっと「積極的な」選択肢を検討する可能性がある。トランプは以前、「アメリカはなぜ、ベネズエラに侵攻して独裁者を排除できないのか」と尋ね、側近や軍高官を青ざめさせたことがあるという。
■きな臭い政権幹部の動き
観測筋によれば、タカ派で知られるジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は、ベネズエラに対してより強硬な政策を提唱しているようだ。ボルトンは最近、「5000人の部隊をコロンビアへ」という文字が書かれたノートを抱えて記者会見に登場、その写真が各紙に掲載されニュースになった。コロンビアはベネズエラの隣国だ。
今年1月に、レーガン政権で国務次官を務めたエリオット・エイブラムスが人道援助担当としてベネズエラ問題の責任者に起用されたことも注目されている。エイブラムスは80年代に、ロナルド・レーガン大統領によるニカラグア右派反政府勢力への資金と武器の支援に関わっていた人物であり、マドゥロ政権を弱体化させる秘密作戦がもうすぐ実行されるのではないかという疑惑が囁かれている。エイブラムスはまた、チャベスに対する2002年のクーデター未遂にも関係していた。
マドゥロはベネズエラでは人気がない。だが専門家によれば、グアイドの勝利がアメリカ政府によって導かれ、コントロールされたものだという見方が広まることは警戒すべきだ。南米にはアメリカからの干渉を受けた長く苦い歴史があり、南米の人々はアメリカの指導者たちの約束をまったく信頼していない。マドゥロも、自分に対する抗議運動を帝国主義者によるクーデターの試みだと信じさせたがっている。
マドゥロは、ベネズエラ侵攻は「アメリカには想像できないほどひどい第2のベトナム戦争」になると警告している。彼はまたアメリカ国民に、直接の軍事介入をやめるよう政府を説得してほしいと求めた。
大使館職員全員への帰国命令は、トランプ政権が外交を通じてベネズエラに介入する道をあきらめた証拠にみえる。ポンペオが言うように、政策がどこに向かうにせよ、アメリカ人の存在は、もはや今後の展開を「制約」するものでしかない。
(翻訳:栗原紀子)
国家崩壊ベネズエラ、アメリカは遂に力でマドゥロを排除するか トランプはかつて側近に、「アメリカはなぜベネズエラに侵攻して独裁者を排除しないのか」と尋ねたことがあるhttps://t.co/JYBqkRgCjb#ベネズエラ #マドゥロ pic.twitter.com/v03ujnB0p4
— ニューズウィーク日本版 (@Newsweek_JAPAN) 2019年3月13日
国家崩壊ベネズエラ、アメリカは遂に力でマドゥロを排除するか|ニューズウィーク日本版https://t.co/xeh7WmycE9#ベネズエラ に核兵器を搭載可能な #ロシア の長距離爆撃機を離発着させる政権が存在する事自体が、米国にとって地政学的に大きなリスク。
— フォロン (@bea2003) 2019年3月13日
課題は現政権をいかに排除するかだ。
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