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特集:いかにメディアはベネズエラ報道で合意の捏造を続けているのか
『アジア記者クラブ通信』2月(313)号
「経済制裁という名の大量破壊兵器:米国がべネズエラに仕掛けた戦争」
・米国の対ベネズエラ制裁は犯罪だ
・石油と米国の単独覇権
・原爆と経済制裁の起源
・石油ドル体制を脅かす国は潰す
・カダフィの挑戦と挫折
・ベネズエラは人民元で決済
・メディアの腐敗
・ベネズエラをネオリベ政権へ
(2019年1月30日付 globalresearch.ca 掲載記事)
「中南米諸国のクーデターは米国によって仕組まれ、N.Y.タイムズ紙によって正当化される」
・CIAと共に歩むNYT
・決まり文句、おなじみの筋書き
・チリの悲劇:再分配政策を破砕
・議論の的をすり替える
・1953年イランの教訓
・メディアは問題の核心を抉れ
(2019年1月29日付 truthdig.com 掲載記事)
[投稿者注1]
上記特集記事2本は下記URLで全文を読むことができます。
https://docs.google.com/viewerng/viewer?url=http://venezuela.or.jp/embassy_web/wp-content/uploads/2019/03/190302-articulo.pdf
[投稿者注2]
下はコラムの各記事名と編集部による梗概です。こちらも上記URLで全文を読むことができます。
■ベネズエラでボリバル革命20周年を祝賀
テレスール・スペイン語版
ボリバル革命20周年の記念日にあたる2019年2月2日、革命の担い手は、ニコラス・マドゥーロ大統領を支援するために大規模な大衆動員でカラカスの大通りを埋め尽くした。ウーゴ・チャベスが20年前のこの日、大統領に就任して革命が始まった。写真8枚のルポ記事。(編集部)
■米国の対ベネズエラ戦争
民主主義でなく石油が目的 経済制裁は史上最悪の犯罪
ガリカイ・チェング(古代アフリカ史家、汎アフリカニスト)
カリブ海、中米、南米地域の戦略的な交差点に位置するベネズエラ。欧米主流メディアとその転電を繰り返す邦字メディアによる同国を巡るネガティブキャンペーンを耳目にしない日はない。反米独裁、大統領選の不正、資源大国の経済破綻、国民の困窮と抗議デモが全国で発生しているなどがそれに当たる。今も真しやかに政権の腐敗話がネット空間を駆け巡っている。本稿は、暫定大統領を支持してベネズエラ情勢への介入を宣言したトランプ権の同国への戦争の目的が同国の民主主義のためではなく、同国の石油獲得が目的であることを論証した解説記事である。筆者は、ベネズエラの騒乱がイラク、リビア、イランなどと同様にペトロダラー体制を弱体化(決済通貨をドル以外の通貨にすること)させようとする国への米国の戦争であり、経済制裁の起源を理解することが情勢把握に必要不可欠だと説く。(編集部)
■ベネズエラで繰り返されるNYTとCIAの政権転覆クーデター関与完全ガイド
アダム・H・ジョンソン(メディアアナリスト)
欧米主流メディア(MSM)は例外なくベネズエラのマドゥーロ政権を反米独裁政権だと決めつけ連日叩き続けている。ホワイトハウスで国内政策ではあれだけトランプ大統領と遣り合っていたMSMのエリート記者たちも、戦争につながる可能性の高いベネズエラへの介入政策ではトランプ政権と見事なまでに論調を軌を一にする。MSMの代表格ニューヨーク・タイムズ紙も例外ではない。本稿は、同紙が中南米で米国が支援したクーデターにこれまでいかに深く関与してきたのか、その完全ガイドである。筆者は、今日のベネズエラ情勢報道に至るまで、同紙がCIAに後押しされたクーデターを当該国の失政の責に帰すための決まり文句や議論の的のすり替え、おなじみの筋書で支援してきた手法を明らかにする。さらに筆者は、米国が気にくわない政権は追放しろと政権と一体化するNYT紙編集委員会の傲慢ぶりを批判した上で、既存メディアに実際に起きている情勢の本質を抉り出すジャーナリズムの原点に立ち返るべきだと促す。(編集部)
■中南米再編の標的にされるベネズエラ・ボリバル共和国 米軍事介入に民衆は武装化
Moon of Alabama
2002年4月のチャベス大統領殺害を企てたクーデターの際のテレビ報道による情報操作は、政権転覆を成功寸前まで導いた。今日もそれに負けず劣らずの情報戦が繰り広げられている。本稿は、かってウォーターゲート事件報道でニクソン大統領を辞任に追い込んだワシントンポスト紙が、ベネズエラ治安当局によるギャング摘発事件を民主化運動の弾圧と報じたように牽強付会も甚だしい情報工作に加担している実情に光を当てる。筆者は、米国によるラテンアメリカ再構築の第一弾としてベネズエラが標的にされ、暫定大統領を名乗るグアイド国会議長と現地の実情を歪める主流メディアの役回りを明かにする。その上で、軍事介入した米軍がベネズエラ軍を粉砕した場合でも、チャベス、マドゥーロ両政権下で権利獲得に奔走してきた民衆や労働者が武装して戦えば、その鎮圧は容易でないと説く。(編集部)
■ベネズエラの民営化促進 政変の背後に富裕層の復権 WSJがグアイドの役割代弁
ベン・ノートン(ジャーナリスト)
本稿は、米国に暫定大統領に任命されたクーデター・リーダー、ファン・グアイドのベネズエラでのミッションを的確にWSJ紙が代弁する形で伝えた要約記事である。筆者は、石油産業と国有資産の民営化を軸にした民間部門の復活に加え、国際金融機関からの資金を借り入れた「構造調整」プログラムの採用にグアイドの政策の肝があることを明らかにする。その結果、富裕層と寡頭支配者の復権を招き、貧困と不平等の爆発的拡大へ導くことになると筆者は警告する。(編集部)
■フランス黄色いベスト運動2019 「市場」主義との対峙続く試練のフランス民主主義
ダイアナ・ジョンストン(米国人政治記者、在パリ)
燃料税の値上げに端を発した黄色いベスト運動がフランスで瞬く間に拡大したのは昨年11月のことだった。下火になりながらも今も続くこの運動は新たな社会運動のモデルになるのか、革命につながるのか、様々な議論が彼の地で交わされている。本稿は、フランスでは左右どちらの陣営が政権を担っても「市場」に従属する政策を追求することから、人々がすべての既存政党や政治家を信頼しなくなった末に、それに代わる選択肢としてこの運動が街頭で拡散した側面を指摘する。いかに直接民主主義を組織するかについての実験にもなっているという。筆者はジャーナリスティックな視点から、黄色いベスト運動が暴動であるかのように世界のメディアに印象づけるために仏政府による様々な分断工作が間断なく続いている現状を踏まえ、西側主流メディアがマクロン政権の側にあり、外国メディアがフランス国内メディアの記事や放送をそのまま伝えているせいで運動の実体が見えないのだと説明する。この運動が「現行システム(体制)」の本質を曝露している点を肯定的に捉える一方で、フランス人が民主主義を実現できないのなら、民主主義は実現不能だと筆者は断を下す。(編集部)
【編集後記】
米政府がベネズエラへの軍事介入も辞さないという政権打倒宣言を1月下旬に行ったことを受けて、それに迎合する邦字メディアの目に余る報道内容のデタラメさを座視できず、予定稿を差し替えて本特集を組むことにした。邦字メディアの記者も読者も全く関心と反応を示さないことが想定されるので、時間と労力を要するこのような特集を組むと徒労感に襲われるのだが、心を奮い立たせて、このベネズエラ報道がジャーナリズムに突きつける問題が何なのかを明らかにしたい。
▼テレスールの革命20周年の写真ルポは、チャベス前大統領(当時は中佐)が空挺部隊を率いて決起した1992年2月4日(4-F)と並んで重要な日を伝えた記事なのだが、この写真を見てお分かりいただけるように、政府支持者は人種的にはミックスの人ばかりだという点に注目していただきたい。チャベス前大統領も先住民とスペイン人とアフリカから連れて来られた黒人のミックスだった。彼の口癖は「ミックスとはいいものだ」。
▼欧米のテレビや動画、邦字メディアも同じなのだが、政府批判を述べる人の圧倒的多数が白人だという点。ベネズエラの人口の70%が貧困層で、その大部分が政府を支持している。邦字メディアのように富裕層が住む地区だけで取材すると現実と全く違った世界を報道することになる。APCのツイッターにRTされる「独裁国家だ」という説明動画に登場する人物もなぜか白人だった。
▼中南米は世界で最も貧富の差が激しい地域であることを見逃してはならない。地平線まで自分の土地だという大地主もいれば、トタン屋根のバラックに大人数の家族がひしめき合って暮らしている。この両者は生まれた瞬間にこうした人生が決まってしまう。こうした不公平な社会を潰して正義を体現した公正な社会の実現を唱えて大統領に当選したのがチャベス大統領だった。中南米の歴史の中で、悲惨な現実に目を瞑らなかった政治指導者の多くは米国が支援する軍事クーデターで葬られてきた。
▼2002年4月のクーデターの直前、ベネズエラのスラム街バリオに入ったCNNのライブ放送を見ていた時のことだ。記者が疲れきった表情の住民女性の一人に尋ねた。「あなたはベネズエラがキューバのような国になってもいいのですか」。女性「ここには電気も水道もきていません。子供を学校や病院にやることもできません。キューバのような国になって、電気と水道がきて、子供を学校や病院にやることができるのなら、その方がいいです」と言った途端に画面が真っ黒になってしまった。忘れもしない場面だ。このバリオの住民は政府を支持している。こうした欧米主流メディアの歪みが国際衛星放送局テレスール開設の大きな理由になった。ちなみにCNNは、中国が海外放送を遮断して画面が真っ黒になると今も非難している。
▼2月1日にプレスセンターで、堪りかねたのか、セイコウ・イシカワ駐日ベネズエラ大使が情勢について記者会見を開いた。主要メディアは在京の地方紙も含めて勢揃いした。1時間続いた質疑応答で在京全国紙の外信部編集委員が述べた質問が「石油資源も豊富な国で、なぜ経済危機と食料不足が起こるのか」。現地駐在の経験もあり、イスパニア語学科卒。なぜこうしたレベルの低い、素人同然の質問が出るのか。理由は2つ。ラテンアメリカに関心がないこと。バイアスの激しい欧米主流メディアの転電ばかりして自分の頭で考えてこなかったからだ。これは邦字メディア全体について言えることだ。
▼今般のベネズエラ情勢を巡る報道をどう考えるかという問題は、ジャーナリズムのあり方を根本から問いかけているのではないか。日ごろ調査報道の必要性を説く記者も全く関心を示さないばかりか、何が問題なんだという口調(問題意識)だ。本通信で指摘したように、邦字メディアの鏡、NYT紙とWP紙を頂点とした欧米主流メディアが米国やNATOの国益や戦争に関わる記事になると、いかに歪められ好戦的なのか、検証を迫っているからだ。在京全国紙の社説も無残であった。読者や視聴者のメディアリテラシー(情報判読能力)が確たる基準を満たしていれば、100%見放され信用を失うのではないか。
▼チャベス前大統領が陸軍士官学校生の1974年、ペルー左翼軍事政権のファン・ベラスコ・アルバラード将軍(大統領)と面談して、著作『ペルー革命』を贈られて、チャベスは座右の書にしてきた。小学校は素足で通ったほどの貧困家庭の出身ながら陸軍士官学校まで首席で通し、白人で構成された軍上層部で先住民の血を引きながら陸軍参謀総長まで上り詰めたアルバラードはクーデターで政権を握った。公表されなかったインカ計画は社会主義計画であった。国連児童基金(ユニセフ)に表彰され、後に武装闘争で名を馳せたペルー共産党からも支持された軍事政権を率いた。現在のペルーからは想像できない政治の時代だった。ベネズエラの軍と民衆の関係を考える上で重要なヒントがここにあると考えている。
▼米軍の軍事侵攻があった場合、ベネズエラは抗戦できるのか。2002年4月のクーデターが失敗した直後、軍関係者が多数関与したことで、大統領警護隊長らは軍の再編を訴え、この15年間、実行されてきた。チャベス前大統領の後輩ばかりになった。ムーン・オブ・アラバマは「腐敗した軍部」と辛辣だが、キューバ軍との交流、同国の軍事顧問団の影響がどこまで及んだのかは分からない。10万の民兵部隊にはカラシニコフの最新型AK103が配布され、チャビスタや労働者が武装することになれば文字通り革命軍となる。米軍も一筋縄ではいかないだろう。
▼ベネズエラ報道で最も深刻な問題は、ジョンソンの完全ガイドがNYT紙のケースで指摘しているように、加害者と被害者を逆転させていることだ。同じ米国とその為政者が日米同盟の重要性を説き、イラン制裁を実行し、中国に制裁を課し、北朝鮮との非核化交渉を担っている。日米同盟に矛盾はないのか。ベネズエラから日本の姿勢はどのように見えるのだろうか。
▼黄色いベスト運動のジョンストンの記事は唯一の予定稿です。永田町の政治、有権者の政治離れ、政治腐敗や汚職と社会運動の関係、直接民主主義を考える上で恰好のテキストだと判断しました。巻頭の吉野誠さんの報告とジョンストンの記事にもつながるストーリーを当初は考えていましたが差し替えました。今号の特集がメディアリテラシーの向上に寄与できるのならば幸いです。3月定例会は、3・1独立運動を取り上げたいと考えています。(森)
※本文は通信上でお読み下さい。
※全頁カラーのPDF版も提供中。
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