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米支配層の不正を隠し、米露の軍事的緊張を高めるロシアゲートの茶番劇(2/2)
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2019.03.01 櫻井ジャーナル
バラク・オバマ大統領はロシアとの関係を悪化させる政策を推進していたが、クリントンはその政策を継承、核戦争も辞さない姿勢を示していた。それに異を唱えたのが民主党ではバーニー・サンダース、そして共和党のドナルド・トランプだ。 本ブログでも繰り返し書いてきたが、選挙の風向きが変化したのは2016年2月3日のこと。ヘンリー・キッシンジャーがモスクワを訪問、ウラジミル・プーチンと会談したのだ。そして3月からウィキリークスはヒラリー・クリントンの電子メールを公表しはじめる。 7月22日にはDNC(民主党全国委員会)の電子メールも明らかにされるのだが、その中には、民主党の幹部へバーニー・サンダースが同党の大統領候補になることを妨害するよう求めるものも含まれていた。民主党の幹部やクリントン陣営はトランプの前にサンダースを潰しにかかったのだ。それが発覚した。 この電子メールはハッキングされたと主張する人もいるが、データの分析からハッキングではなく内部でダウンロードされたと推測する専門家は少なくない。7月10日に射殺されたDNCのスタッフ、セス・リッチがウィキリークスへ渡したと考える人もいる。 警察は強盗がリッチを殺したと発表しているが、それに納得できなかったリッチの両親は元殺人課刑事の私立探偵リッチ・ウィーラーを雇って調査を始める。 この探偵によると、セスはウィキリークスと連絡を取り合い、DNC幹部の間で2015年1月から16年5月までの期間に遣り取りされた4万4053通の電子メールと1万7761通の添付ファイルがセスからウィキリークスへ渡されているとしている。のちにウィラーガーが雇い主に無断で調査結果を外部で話したことが問題になり、情報は出なくなった。 電子メールの件では国務長官時代のクリントンが機密情報の取り扱いに関する法規に批判した可能性が指摘され、FBIが捜査したのだが、ジェームズ・コミーFBI長官は取り扱いが「きわめて軽率」だと認めたが、不起訴にした。 声明の中に出てくる「きわめて軽率(Extremely Careless)」という表現は元々「非常に怠慢(Grossly Negligent)」だったとされている。それが書き換えられた。「非常に怠慢」だと認められた場合、罰金、あるいは10年以下の懲役が科せられるため、表現を変えたと見られている。 クリントンが3万2000件近い電子メールを消去してしまったことも不起訴の理由として挙げられているのだが、全てのメールはNSAが記録しているので理由にならない。この件をFBIは封印したいのだ。 最近、アンドリュー・マッケイブ元FBI副長官は新たなFBIの反トランプ工作を明らかにした。2017年5月にトランプ大統領がジェームズ・コミーFBI長官を解任した後、彼は同僚とドナルド・トランプ大統領をホワイトハウスから追放する謀議を行ったというのだ。 そのほかにも民主党やクリントンだけでなくCIA、FBI、司法省などがトランプをターゲットにした秘密工作を展開していたことは本ブログでも繰り返し書いてきた。 アメリカ支配層が執拗にロシア攻撃を続けている最大の理由は破綻した世界制覇プランを再び軌道に乗せるためだろう。そのプランは1992年2月に国防総省のDPG草案という形で作成された。 当時のアメリカ大統領はジョージ・H・W・ブッシュ、国防長官がディック・チェイニー、国防次官がポール・ウォルフォウィッツ。ウォルフォウィッツが中心になって書き上げられたことからウォルフォウィッツ・ドクトリンとも呼ばれている。 そのドクトリンが作成される直前、1991年12月にソ連が消滅した。アメリカが唯一の超大国になったと認識した彼らは潜在的なライバルを潰し、資源を独占しようとしたのだが、そのプランは21世紀に入ってウラジミル・プーチンがロシアを再独立させたことで狂った。まだロシアの経済はアメリカやイギリスの巨大金融資本に支配されているが、それでも外交や安全保障はプーチンたちが取り戻した。 ネオコンのような勢力は世界制覇の実現という夢を捨てていない。そのためにはロシアを再植民地化し、ライバル化しつつある中国も潰さなければならないというわけだ。ユーラシア大陸の沿岸部分を支配して内陸部を締め上げるという長期戦略も継続している。 中期戦略から見ても長期戦略から見ても、彼らは中東を手放そうとはしないはずだ。朝鮮半島を含む東アジアが経済活動で結びつくこともアメリカ支配層は許さない。日本はその手先として働かされるだろう。そうした視点からトランプ大統領と金委員長のハノイ会談を見る必要がある。(了) |
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