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アマゾン、止まらぬ人気の理由とは?
今や米国全世帯の半数が「プライム家族」になったという事実
2019.2.28(木) 小久保 重信
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アマゾン・ドットコムのロゴ(2016年12月28日撮影)。(c)AFP PHOTO / LOIC VENANCE〔AFPBB News〕
米国では昨年(2018年)、アマゾン・ドットコムの有料会員プログラム「Prime(プライム)」の加入世帯数が、同国全世帯の47.4%に達した。この比率は今後も拡大を続け、今年は全世帯の51.3%(6390万世帯)と、初めて過半を占める見通しだ。
そして、これが2020年には、同54.8%(6870万世帯)、2021年には同56.9%(7170万世帯)に拡大すると見られている。
こうした調査結果を、米国の市場会社eマーケターがまとめた。
多様化する特典の数々
Primeの加入世帯が増え続けている理由は、多様化する特典にあるとeマーケターは分析している。
Primeには、「配送」「ショッピング」「デジタルコンテンツ」など、さまざまな分野の特典がある。このうち、配送特典には、最短1時間以内で商品が届く「Prime Now」や、即日・翌日・2日後に商品が届く急ぎ便サービスなどがあり、アマゾンは、その対象商品を増やし続けている。
ショッピング特典には、生鮮食料品を購入できる「AmazonFresh」のほか、タイムセールやパントリー(少量購入)サービス、アパレル商品の自宅試着後購入サービス「Prime Wardrobe」といったものもある。
デジタルコンテンツ特典には、映画・テレビ番組を無料で視聴できるストリーミングビデオサービス、音楽の無料聴き放題サービス、電子書籍の無料レンタルサービスなどがある。
米国では、「Amazon Household」と呼ぶファミリー向け特典も用意している。会員以外のもう1人の大人(18才以上)と、13〜17才の子ども(4人まで)、12才以下の子ども(4人まで)が、これら特典の一部を共用でき、さらに、紙おむつなどの子ども用品を割引価格で購入できるというものだ。
こうした仕組みが、Prime世帯増大のけん引役になっていると、eマーケターは指摘している。
米国の年会費は1.3万円と日本の3倍以上
アマゾンが、Primeを米国で始めたのは2005年2月。当初は、79ドル(約8700円)の年会費で、商品を2日後に届ける配送サービスを追加料金なしで利用できるようにしたり、翌日配送便の料金を割り引いたりする特典で開始。
その後の2014年4月、年会費を99ドル(約1万900円)に上げ、昨年5月には、これを119ドル(約1万3100円)に引き上げた。これは、今の日本のPrime年会費、3900円の3倍超。それでも米国では、加入世帯数が増え続けているとは驚きだ。
低所得者向け料金プランの対象を拡大
一方で同社はもう1つの仕掛けを施している。低所得者層向け料金プランの対象を拡大したのだ。これは対象者に対し、Primeの会費を減額するというもの。
アマゾンは従来から、連邦政府の「栄養補給支援制度(SNAP)」や、「貧困家族一時扶助制度(TANF)」、「女性・乳幼児向け特別栄養補給支援制度(WIC)」の受給者に対し、Primeの月額料金を5.99ドル(約660円)に減額していた。
昨年はこれに、「メディケイド(Medicaid)」と呼ばれる「低所得者向け公的医療保険」も加えた。現在、米国人の2割が。メディケイドの受給者と言われている。
eマーケターは、こうした施策も加入世帯数の増加につながっていると見ている。そして結局のところ、これらがアマゾンに利益をもたらしているようだ。
別の市場調査会社CIRP(コンシューマー・インテリジェンス・リサーチ・パートナーズ)によると、非Prime会員は、1年間にアマゾンで平均600ドル(6万6000円)の買い物をしている。この金額は、Prime会員だと1400ドル(15万5000円)になる。Prime会員は、非会員の約2.3倍もの金額をアマゾンで費やしている。
(参考・関連記事)「アマゾン、Prime拡大戦略を強化」
(参考・関連記事)「アマゾン、ついにPrimeの米国会員が1億人を突破」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55629
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