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ベネズエラ国民の多数派に支持されていない人物を使って米国は侵略を試みている
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201902220000/
2019.02.23 櫻井ジャーナル
シリアでの空爆をアメリカのバラク・オバマ政権はシリア政府の承諾を得ずに始めた。つまり侵略戦争だ。空爆を始めた当時に国務長官だったジョン・ケリーがこの事実を認める音声もインターネット上で公開されている。そのせいなのか、ベネズエラでは配下のフアン・グアイドに大統領を勝手に名乗らせ、そのグアイドはアメリカの軍事介入を「承認」する可能性を排除しないと口にしている。 アメリカの支配層は他国を侵略する際、まずそのターゲット国のエリートを買収しようとする。それに失敗すると暗殺やクーデターを試みるのだが、クーデターの前に経済戦争を仕掛け、メディアや広告会社などを使ったプロパガンダを展開、コントロール下においている労働組合やNGOを使って抗議活動を実行、軍事行動に移る。こうして引き起こされる混乱の目的は巨大資本の利権獲得にあり、そのために民主主義や人権は踏みにじられるのだ。 オバマ大統領は師匠と言われるズビグネフ・ブレジンスキーと同じようにジハード傭兵を使ったが、ジョージ・W・ブッシュ政権のようにアメリカを中心とする軍隊、あるいはNATO軍で攻撃することもある。 ラテン・アメリカでは軍事クーデターの準備という意味もあり、第2次世界大戦の直後に訓練施設をパナマで創設した。SOAだ。 この施設は1984年にパナマ政府から追い出され、アメリカのジョージア州フォート・ベニングへ移動、2001年にはWHISC(またはWHINSEC)へ名称を変更した。設置場所と名称は変わったが、行っていることに大差はない。 しかし、現在のベネズエラ軍がアメリカ支配層の思い通りに動く気配は見られない。そこで東ヨーロッパで使われた「カラー革命」の手法を採用したようだ。 アメリカ支配層が大統領を名乗らせているグアイドは2007年にアメリカのジョージ・ワシントン大学へ留学、新自由主義を信奉している人物。政権を奪取した暁には私有化を推進、国営石油会社のPDVSAをエクソンモービルやシェブロンへ叩き売るつもりだと言われている。 本ブログでも書いたことだが、グアイドがアメリカへ留学する2年前、アメリカ支配層は配下のベネズエラ人学生5名をセルビアへ送り込んだ。 セルビアにはCIAから資金が流れ込んでいるCANVASと呼ばれる組織が存在しているが、そこでベネズエラの学生は訓練を受けている。 CANVASを生み出したオトポール(抵抗)!はスロボダン・ミロシェビッチの体制を倒すため、アメリカ支配層などによって1998年に作られた組織。運動の目的はごく少数の富豪による富の独占だ。 こうした組織は民主化、人権、人道といった耳触りの良い用語を使うが、実態は逆。一種のイメージ戦略だが、この戦略を始めたのはロナルド・レーガン政権の時代だった。1983年1月にレーガン大統領が署名したNSDD 77が始まりだと考えられている。 その前、1982年6月にレーガン大統領はイギリス下院の本会議でプロジェクト・デモクラシーという用語を使ったが、これはイメージ戦略の名称でもある。「民主主義」という旗を掲げながらアメリカの巨大資本にとって都合の悪い国家、体制を崩壊させようというのだ。いわゆるレジーム・チェンジ。国内での作戦はプロジェクト・トゥルースと名づけられた。その延長線上にカラー革命はある。 アメリカの支配層はウゴ・チャベスが大統領選挙に勝利した1998年から再植民地化を目指してきた。2002年のクーデター未遂は有名だが、そのときの黒幕はエリオット・エイブラムズ、オットー・ライヒ、ジョン・ネグロポンテだと報道されてた。クーデター計画はこれ以外にもあったが、暗殺も試みられた可能性がある。なお、アメリカ支配層が敵視したチャベスは2013年3月、58歳の若さで死亡した。その後継者がニコラス・マドゥロだ。 マドゥロ政権に対する経済戦争は苛烈を極めているが、庶民はこの政権を支持している。最近の世論調査の結果を見ると、国民の57%はマドゥロ支持、グアイドを支持しているのは32%。2018年5月に実施された大統領選挙でマドゥロの得票率が67.8%だったことを考えると支持率は低下したようだが、まだ高い水準だ。 この状態でマドゥロ政権を倒すことは難しい。歴史的にアメリカ資本の手先として働いてきたヨーロッパ系住民はグアイドを支持しているが、マドゥロの支持者よりかなり少ない。そこでアメリカ支配層はさまざまなことを仕掛けてきているのだ。 マドゥロ政権は民意が生み出したのであり、それを否定してアメリカ支配層にとって都合の良い政権を作り出すということは民意の否定にほかならない。混乱の原因はアメリカ支配層がベネズエラ国民の意思を粉砕するために内政干渉していることにある。この構図はウクライナでもシリアでもリビアでも同じだった。 そうしたアメリカ支配層の工作を漫然と眺めていることは許されない。それは民主主義者がとるべき態度ではなく、怠慢なだけだ。「乱暴はしないでね」と言いながら不正を容認することにほかならない。勿論、それでアメリカ支配層が暴力の行使を思いとどまるわけではない。繰り返しになるが、アメリカによるベネズエラ侵略は1998年、ビル・クリントンが大統領のときに始まり、大統領が交代しても続いている。これはアメリカ支配層の意思なのである。 |
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