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トップニュース2019年1月23日 / 14:53 / 3時間前更新
焦点:
米政府閉鎖が経済指標に生む空白、雇用統計への影響は
Lucia Mutikani
3 分で読む
[ワシントン 22日 ロイター] - 2カ月目に突入する米政府機関の一部閉鎖によって、重要な経済指標の公表が遅れており、投資家や企業は、本能やひらめきに頼って大事な判断を下さざるを得ない状況に追い込まれている。
トランプ米大統領がメキシコ国境の壁建設予算57憶ドル(約6200憶円)の計上を要求して議会が対立したことを受け、政府機関の4分の1程度が12月22日から閉鎖されており、いまや米国史上最長の閉鎖日数を更新し続けている。
閉鎖の影響は商務省にも及んでおり、同省の経済分析局(BEA)や国勢調査局がまとめている経済指標の公表が停止された。労働省は閉鎖対象ではなく、同省労働統計局(BLS)は市場が注目する雇用統計を含む指標発表を続けている。
連邦準備理事会(FRB)やコンファレンス・ボード(CB)のような非政府組織から出される指標も、公表されている。
●公表が停止された指標は
最初に犠牲となったのは、12月最終週に発表が予定されていた11月の新築住宅販売や貿易収支(速報値)、卸売・小売り在庫といった指標だった。これらの指標の12月分も、公表が遅れる可能性が高い。
また、官民セクターによる新改築の支出状況を示す11月の建設支出の公表も延期された。11月の貿易収支の発表も延期された。
11月の企業在庫や製造業受注も延期されている。12月の小売りや住宅着工件数、建設許可件数も公表されていない。12月の耐久財受注や個人所得、消費者支出も公表されない可能性が高い。
これらの指標は、経済活動の中心指標である国内総生産(GDP)の計算に使われるものだ。30日に公表が予定されている第4・四半期GDP(速報値)は、仮に閉鎖中の政府機関が今週再開したとしても、公表が遅れる可能性が高い。
●それは何を意味するか
製造業や農家、小売業者や建設業者などの企業は、設備投資や生産、在庫管理などの決定に、これらの指標を頼みにしている。
政府や民間のエコノミストは、米経済全体の状況をつかむために、これらの指標に依存している。また、金融市場の参加者も、資産配分を決めるためにこれらを必要としている。
クリントン政権下で商務次官(経済担当)を務めたロバート・シャピロ氏によると、今回の政府機関閉鎖により、すべての調査が保留になった。データ公表を監督する立場にあった同氏によると、遅れを回復するのには時間がかかるという。
「GDPは、経済全体が向かう方向やペースを測る唯一の基準であり、主要な構成データは、長期的なビジネス・金融計画や短期的投資アルゴリズムの設計に役立つ」。現在ではジョージタウン大マクドノー・スクール・オブ・ビジネスでシニアフェローをしているシャピロ氏はそう語る。
複数のFRB当局者は、中銀が重視するインフレ率などの重要情報抜きで金融政策を決定しなければならないことに懸念を表明している。
「有効なデータを手にすることで、政策決定をしている」とニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は18日語った。FRBが政策決定する次回の連邦公開市場委員会(FOMC)は29─30日に開催される。
政府機関の一部閉鎖により、約80万人の連邦政府職員に給与が支払われていないほか、民間契約職員も無給で働いている。閉鎖の長期化で不確実性や不安が高まっており、消費者やビジネスのマインドが減退している。
1月の消費者マインドは、ここ2年超で最低の水準に落ちこみ、ニューヨーク連銀の景気指数も今月大きく低下した。
●1月雇用統計への影響は
BLSが出す雇用統計には、国勢調査局が出している世帯調査の結果も反映される。だが今回、国勢調査局の予算執行が停止されたことは、1月の雇用統計には影響しない。
世帯調査のデータ収集コストは、ほとんどBLSが負担しており、BLSは「現段階では、予算停止による影響はない」と語る。
ただ、労働市場や労働力、賃金の伸びの全体状況を測るために国勢調査局が提供している粗データの一部は、今回提供されないという。
消費者物価指数(CPI)も、予定通り公表される。BLSによると、2月6日に公表予定の第4・四半期の労働生産性指数は、GDPの内容をベースに作成されているため、GDPが予定通り公表されない場合は、完全な形では公表できない可能性があるとしている。
●政府閉鎖が終わったらどうなるか
2013年10月に政府機関が一部閉鎖された時の状況を参考にすると、BEAと国勢調査局は、延期された指標の発表スケジュールを新たに設定するだろう。またそうした指標の一部は、最新指標と同時に発表される可能性がある。例えば、12月の住宅着工件数は、1月の数字と同時に出てくるかもしれない。
11月分の新築住宅販売や建設支出、製造業受注、貿易収支(速報値)、そして卸売・小売り在庫などの指標は、閉鎖解除後、数日以内に公表される可能性があるが、12月分の指標が出てくるまでには時間がかかるかもしれない。
「11月分の指標については、閉鎖前にデータ収集されていたものがあるかもしれないが、それがどの程度かは分からない」とシャピロ氏は語る。「12月分は、これからデータ収集を始めなければならないだろう。時間はかかるかもしれないが、いずれ公表されるだろう」
(翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)
https://jp.reuters.com/article/usa-shutdown-data-idJPKCN1PH0BY
コラム2019年1月23日 / 13:38 / 3時間前更新
トランプ氏、壁建設で「しっぺ返し」食らう訳
Lincoln Mitchell
3 分で読む
[22日 ロイター] - メキシコ国境の壁建設費を巡るトランプ米大統領と議会民主党の対立は、大統領に政治的なダメージを与えている。大半の米国人は、史上最長となった一部政府機関閉鎖の責任は大統領にあると考えている。
その上、トランプ氏は窮地に追い込まれている。選挙公約の目玉だった壁の建設を断念したと見られるのを避けつつ、政府機関閉鎖の解決策を見出す必要があるからだ。
トランプ氏は閉鎖を解除するため、幼少期に親と不法入国した「ドリーマー」と呼ばれる若者などの在留資格を延長するという交換条件を提案したが、民主党は拒否した。
トランプ氏にとって厄介なのは、壁建設に固執すれば支持層には受けるかもしれないが、実際に建設すると自身が政治的に悲惨な目に遭いそうなことだ。移民流入に反対する同氏の支持層は、メキシコ国境は穴だらけで、不法移民の大量流入を許していると考えている。
しかし実際に壁の建設が始まれば、2020年の大統領選でトランプ氏が再選を果たすのに必要な無党派層の票を取り逃す程度ではすまない問題が生じるだろう。
第1に、大半の移民専門家は、壁を建設してもトランプ氏が指摘する問題は何1つ解決できないとの見解で一致している。不法移民労働者の数は近年減少している。米国に流入するドラッグの大半は、既存の検問所もしくは通関手続き地から持ち込まれている。
2001年9月11日の米同時多発攻撃以来、国外から違法に入国したテロリストはほとんどいない。そしてトランプ氏の主張とは裏腹に、不法入国する人々のほとんどが犯罪者というわけではない。暑く人けのない地域に壁を建設しても、反移民運動家らが解決を求めている問題のどれにも対処できないだろう。
第2に、壁の建設費は極端に高くつく。トランプ氏は着工のために約50億ドルの予算を求めているが、完工するにははるかに大きな支出が必要となる。癇癪(かんしゃく)持ちの象徴として後世に残るであろう壁を建てるより、50億ドル、100億ドル、いや200億ドルの予算を気候変動やオピオイド中毒問題、医療といった本当に大切な問題の対策に充てるほうが、政治的な見地でさえ、ずっと賢い資金の使い道となるだろう。
第3に、壁はおそらく完成しない。次の大統領選でトランプ氏が再選されなければ、民主党の大統領は就任後真っ先に壁の建設を中止するだろう。再選を果たした場合でも、壁建設に対する世論の支持は強くないため、議会民主党は予算を削ることが可能だろう。つまり国境の一部に、建設途中の錆びついた数マイルの壁がいつまでも残り、トランプ政権の記念碑となる可能性が現実としてあるのだ。
第4の問題は、だれが壁を建てるのかということだ。
このプロジェクトを落札した企業は、一部は熟練労働者を雇う必要があるが、コストを抑えるため、残りの部分については賃金の安い労働者を探さなければならない。過去数十年の米国の施設建設について研究した人ならだれでも、建設業界が主にメキシコからの不法移民労働者に大きく頼っているのを知っている。壁を建設する国境付近では、こうした労働者を雇いたい誘惑は非常に強いだろう。実際にそうした事態になれば、トランプ氏の支持率上昇につながりそうもない。
民主党は壁建設費の承認に応じる姿勢をほとんど見せていないが、妥協と引き換えにトランプ氏から大きな政治的譲歩を引き出せれば、貴重な戦略的成果を得られるかもしれない。民主党は、国境警備について交渉するのはトランプ氏が政府機関を再開してからだと突っぱねている。
完成しそうもなく、最終的にトランプ氏の恥となりそうな壁と引き換えに、例えばドリーマーの在留資格延長にとどまらず恒久的な市民権獲得を引き出せるなら、民主党のペロシ下院議長にとって悪い結末ではないだろう。皮肉なことに、議会民主党が一歩も譲らなければ、トランプ氏は屈辱を免れるかもしれない。
*筆者はニューヨークとサンフランシスコを拠点とする文筆家で学者。コロンビア大政治科学部で教えており、「Baseball Goes West: the Dodgers, the Giants and the Shaping of the Major Leagues,Kent State University Press,2018」(原題)などの著作がある。
*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/us-mitchell-wall-commentary-idJPKCN1PH09C
- ベネズエラで反乱未遂か=兵士ら武器強奪で拘束 米副大統領、ベネズエラ国民に野党支持呼び掛け ベネズエラ、米国との断交示唆 うまき 2019/1/23 23:31:50
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