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最悪主演候補にトランプ氏 米ラズベリー賞
2019年1月23日 12:24
【ロサンゼルス=共同】米アカデミー賞に合わせ最もひどい映画などを決める米ゴールデン・ラズベリー賞(ラジー賞)の候補が22日までに発表され、トランプ政権発足の経緯などを追ったドキュメンタリー映画「華氏119」などに"主演"したトランプ大統領が、最悪主演男優賞候補に選ばれた。
メラニア大統領夫人とコンウェー大統領顧問の2人も最悪助演女優賞にノミネートされており、トランプ政権に対する皮肉が込められているのは明らか。政権寄りのFOXテレビは「トランプ氏らを標的にした」と批判的に伝えた。
ゴールデン・ラズベリー賞の発表・授賞式はアカデミー賞前日の2月23日に行われる。
「華氏119」はトランプ氏批判の急先鋒(せんぽう)で知られるマイケル・ムーア監督による作品だが、作品自体は最悪作品賞候補などに選ばれていない。
トランプ氏を巡っては、出演者の組み合わせのひどさなどを選ぶ賞部門でも「トランプ氏と彼自身の尽きない狭量さ」が候補になった。米映画誌ハリウッド・リポーターによると、トランプ氏は以前、カメオ出演(端役)で最悪助演男優賞を受賞している。
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO4035410023012019000000?s=3
西山隆行が読み解くアメリカ社会
トランプ大統領が「やりたい放題」できる理由
2019/01/23
西山隆行 (成蹊大学法学部教授)
昨年末に始まった連邦政府の一時閉鎖は1か月以上続いており、問題解決の目途は未だたっていない。各種世論調査では、一時閉鎖の責任は民主党ではなくトランプ大統領と共和党にあるとする人々が多数を占めている。もちろん、一時閉鎖状態を好ましくないと考える連邦議会議員も多く、様々な妥協提案がなされているものの、国境の壁建設にこだわるトランプ大統領がそれを拒否する事態が続いている。
(写真:UPI/アフロ)
連邦政府が一時閉鎖している結果、連邦政府職員の中には賃金が支払われるかどうかの見通しがないまま労働している人もいる。給与が支払われなかったために家の契約を打ち切られた職員がいるとか、正月用の特別な夕食として囚人にステーキをサーブした刑務官は給与が得られるかどうかの見通しが立っていないというようなニュースがアメリカのみならず世界で報道された。
共和党内にトランプに批判的な立場をとる人はほとんどいない
興味深いのは、一時閉鎖の原因はトランプにあると多くの人によって考えられているにもかかわらず、トランプを諌めようとする動きが共和党内で活発になっていないことである。もちろん、先月の論考(http://wedge.ismedia.jp/articles/-/14898)でも記したとおり、共和党支持者の間では政府閉鎖の原因が民主党にあると考える人が一定程度存在することを考えれば理解できないわけではないが、無党派層の動向を考えるならば、トランプに再考を迫る動きを党主流派が示してもおかしくない。政府閉鎖以外にも、トランプ大統領は連邦政界の有力者の反対を押し切って行動することが多くなっているが、それを十分に抑制しようとする試みが著しく弱いのである。
トランプ政権成立前、共和党内にも、トランプに対して批判的な立場をとる人は一定程度存在した。だが、政権成立後は鳴りを潜め、トランプに批判的な態度をとるのはアリゾナ州選出のジョン・マケイン上院議員ら一部に限られた(マケインは昨年死亡した)。昨年の中間選挙でユタ州選出の上院議員となった、2012年大統領選挙の共和党候補であるミット・ロムニーもトランプに批判的な発言をするようになっている。だが、昨年11月の論考(http://wedge.ismedia.jp/articles/-/14458)でも指摘したとおり、共和党は中間選挙でトランプ人気に頼らねばならなかったこともあって、トランプに批判的な立場をとる人はほとんどいない。共和党はトランプに乗っ取られたような状態となっている。
「大統領の権限を抑制することが必要」という認識
このように、大統領が独断的に行動し続けるという事態は、これまでのアメリカ史上、必ずしも想定されてこなかった。それは一つには、アメリカでは、大統領の権限を抑制することが必要だという認識が一般的であり、合衆国憲法も連邦議会や裁判所などによって大統領権限を制約するという前提で制定されているからである。それに加えて重要なのは、大統領自身が独断的な行動をとるべきではないという規範を一定程度持ってきたからでもある。
合衆国憲法制定時、建国者たちは立法機構(連邦議会)、行政機構(大統領)、司法機構(裁判所)を分立させ、それぞれに権限を分有させるという三権分立の考え方を制度化した。その際には、一方では、立法部門に権限を与えすぎると多数の専制状態になるという危惧があった(例えば、当時のアメリカ国民の大半は貧しかったので、借金を帳消しにする法律が作られたりするのではないかと危惧された)。そのため、いわば民主主義の過剰を抑制するために設立されたのが大統領職だが、その大統領が巨大な権力を持ち、ヨーロッパにおける君主のような存在となることも避けたいと考えられた。
その結果導入されたのが、連邦議会を抑制することのできるほどには権限が大きいものの、君主とならないほどにはその権力が制約された大統領制である。議会との関係では、連邦議会が作成した法案に対して拒否権を行使する権限を持つことで連邦議会の暴走を防ぐことが想定される一方で、大統領は立法権を持たず、予算を決定する権限も基本的には議会に委ねられたため(予算は法律として作成されるために議会が決定したのち大統領の承認を経て成立する)、大統領は君主のようにふるまうことは制度的にできなくなった。他方、合衆国憲法で「行政権は大統領に属する」と定められたため、行政部門の中では大統領は圧倒的な権力を持つことになった。閣僚などは大統領の秘書(secretary)と位置づけられたため、例えば国務長官などが行った決定をも大統領は覆す権限を持っている。
このような形で、大統領は立法機構との関係では権限に一定程度制約がかけられたものの、その気になれば実は大きな権力を行使することが可能になる形でアメリカ政治のルールは作成された。例えば、大統領は連邦議会が作成した法案に対して拒否権を行使することで議会の試みを妨げることが可能である。また、行政部門で完結するような事柄、例えば大統領令や行政協定などの形で議会の制約を受けることなく行動する余地が残された。合衆国憲法は短い文章であることもあり、このような形での大統領の権力行使をおさえるためのルールは明文化されておらず、その運用は歴史的な慣行に委ねられることになった。
大統領権限を広げようとしたローズヴェルト
このような大統領による積極的な行動を妨げる制度的な術は多くない。だが、アメリカ政治史上、そのような形で大きな権限を払おうとするような人物が大統領候補になる可能性がそもそも低かった。かつては大統領候補は党の有力者によって実質的に決定されていた。今日では、二大政党の候補となることを志す人物は長い時期をかけて州ごとに行われる予備選挙・党員集会を勝ち抜かねばならない。そのためには、多くの州の有力者の協力を得るとともに、膨大な資金を確保する必要があるため、独断的な行動をとったり他部門に対し敬意に欠ける行動をとったりする可能性の高い人物は、その過程で排除されてきた。
また、歴史上、大統領は自らの権限をできるだけ抑制的に行使しようと努めてきた。初代大統領のワシントン以来、長らく大統領は、拒否権を行使するのは議会の立法内容に憲法上の疑義がある場合に限定するよう努めてきた。また、大統領令の発動も基本的には議会が定めた内容を実施する上で優先順位を定めるなどの目的に即した範囲で行われるのが原則とされていた。例外となる可能性があると危惧されたのはシオドア・ローズヴェルトである。20世紀初頭にローズヴェルトは、憲法上はっきりと禁止されていない限り大統領はいかなる行動をとることも可能であるという「大統領職のスチュワードシップ理論」と呼ばれる考え方を提示していた。大統領権限を広げようとするこの考え方は大きな懸念を抱かせ、共和党主流派はその野心を押し込めるために、ウィリアム・マッキンリー政権の副大統領職(当時閑職とみなされていた)にローズヴェルトを押し込めた。マッキンリーの暗殺に伴いローズヴェルトは大統領になったが、大統領となったローズヴェルトも伝統的なアメリカ政治の前提を覆すことなく自制した行動をとった。
大統領に歯止めをかけられる存在は極めて限られている
このような大統領による自己抑制は、制度的なものというよりは、アメリカの歴史上築かれてきた一種の規範のようなものであり、大統領がそのような不文律を乗り越えようとした場合でも連邦議会やメディアなどワシントン政界の有力者が自制を呼び掛けてきた。だが、トランプはそのような不文律を積極的に破ろうとしているし、近年のアメリカでは、従来見られたような非公式の制約が利かなくなりつつある。
まず、トランプが不文律を破り続けていることは論を俟たないだろう。伝統的にアメリカの政治家は、政策やイデオロギー、所属政党を異にする政治家に対しても、基本的には愛国心を持っているという認識の下で行動してきたが、トランプは自らの意向に反する人や団体を非アメリカ的と評することにためらいも示さない。トランプは、歴代の大統領が持ってきた、前任者や他の機構、政党に対する敬意のようなものを持ち合わせていない。前任者のバラク・オバマの出自(国籍)を疑うバーサー運動にかかわっていたし、時にオバマを非アメリカ的と評した。移民問題について、自らと見解を共有しない民主党に対し、アメリカの国益よりも他国の国益を重視する非アメリカ的行動をとっていると評してもいる。トランプは、連邦最高裁判所の判断についても繰り返し疑義を呈している。そもそも、トランプは大統領選挙中に、仮に自らが敗北した場合にはその選挙手続きがゆがめられているためだと、民主政治の根幹にある選挙の正統性に対して疑念を呈したりもした。これほどアメリカ政治の不文律を破り続けている大統領は、当然ながらこれまで存在しない。
トランプに対し歯止めをかけることのできる人や組織もほとんど存在しない。例えば、連邦議会の有力者による抑制という規範は、そもそも、連邦議会内でも守られなくなっている。例えば上院に認められている議事妨害(フィリバスター)は、以前と比べて頻繁かつ党派的に用いられるようになっている。また、とりわけクリントン政権期以降、対立政党の政治家のスキャンダルの暴露などが激増している。歴史上、例えばジョン・F・ケネディ大統領などは不倫問題も抱えていたが、それはあくまでも私的な問題であるとの判断から、大きく政治問題とされることはなかった。だが、徐々に政治家の私的問題も政治争点化されるようになっていった。このように連邦議会自身が自制しなくなっている状況では、議会が大統領に自制を呼びかけるのは容易でない。
党による歯止めもほとんどきかない。そもそも、歴代の大統領は政党の有力者の支援があったがゆえに当選することができたのだが、トランプは幕大な資金力を持っているために献金を求めて有力者におもねる必要もなかったし、暴言を吐くなどしてメディアの注目を集めることで自らを売り出すことにも成功した。長きにわたる大統領選挙は一般的には候補と党との協力のもとになされる団体戦となるのが一般的だが、トランプはかなりの程度個人戦として大統領選挙を戦い抜いたため、党に対する忠誠心を持たない。そのため、党の主流派の発言に耳を傾ける意思もない。
さらに、現在の議会では、トランプのおかげで連邦議会議員に当選したといっても過言でない人々が一定程度存在しているため、2020年の大統領選挙と連邦議会選挙を前にして、トランプに行動を制止するよう発言することのできる人物は限定されてしまう。多くの共和党の政治家はトランプによる非難とトランプ支持者の反発を恐れて発言を控えざるを得ない状況に追いやられている。民主党議員による自制要求は、今日のようにアメリカ社会が分極化するとともに二大政党の対立が激化する中では、大統領の耳に届かないだろう。
メディアによる大統領に対する自制要求も意味をなさなくなっている。ケーブルテレビなどが発達してメディアが多様化する中で、有権者は自己の選好に合致するようなメディアのみを視聴する傾向が顕著になっている。そして、2016年大統領選挙の頃には、トランプは自らを肯定的に評価しないメディアによる報道をフェイク・ニュースと断じるようになっており、共和党支持者もその主張を支持している。ワシントンポストやCNNなどの伝統的なメディアが大統領に自制要求をしても、今日ではあまり影響力を持たないのである。
このような状況では、大統領に対して歯止めをかけることのできる存在は極めて限られてしまう。2018年の中間選挙で勝利した上院議員は2024年まで改選を迎えることがないので、彼らはそのような活動をできる可能性はあるだろう。とりわけ、莫大な資金力と知名度を持つロムニーなどは、そのような活動ができるわずかな政治家の一人だといえるかもしれない。そしてロムニーは、マケインなき現在、そのような役割を担うことを自らの使命と考えるようになっているのかもしれない。
これまで存在してきた不文律を破り続け、自制する意思を見せない大統領の行動にどのように歯止めをかけるか。アメリカ政治はこのような新たな問題への対応を迫られているといえよう。
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/15153
幻冬舎plus2019年01月23日 07:202回目の米朝会談、トランプ氏は在韓米軍撤退をぶち上げる?! - 杉本宏 1/2
2月下旬、2回目の米朝首脳会談が開催されることになった。膠着している北の非核化は進むのか? YouTubeで公開された2019年初の閣議は、まさに「トランプ劇場」そのもの。その衝撃の光景から、気になる米朝会談の行方を読み解く。
* * *
独断的、威圧的……閣議から分かった「トランプ流」
新年早々、「トランプ劇場」が開幕した。1期目の折り返しを迎えたトランプ大統領が2日、ホワイトハウスで開いた2019年初の閣議。その光景をYouTubeで見て、独断的、威圧的なトランプ流の統治手法に圧倒された。
閣議のテーブルでトランプ大統領の前におかれていたポスター。
「制裁が近づいている」と書かれている。
メディアに公開された閣議の模様は、日本にとっても他人事ではない。米朝首脳会談や米中貿易戦争などの行方を占うヒントがびっしり詰まっている。
1時間半に及んだ初閣議の主要議題は、トランプ大統領の目玉政策であるメキシコ国境の「壁」建設だったが、シリアとアフガニスタンからの米軍撤退問題や通商政策なども取り上げられた。ここでの大統領の発言は、米国内外への新年のメッセージだと言っても過言ではないだろう。
それを一瞥すると、型破りなトランプ大統領の少なくとも以下の3つの特性が浮かび上がる。
(1)「誰がボスか」と迫る威圧的なボスキャラ
(2) 気に入らない閣僚と側近の「ポイ捨て」癖
(3) 公約・持論は決して曲げない肝っ玉
閣僚による「トランプ礼賛」のオンパレード
大統領は冒頭、「壁」問題で持論を延々とぶったあと、この問題にかかわる関係閣僚に発言を促した。
「大統領閣下の力強いリーダーシップに感謝しています……」(ニールセン国土安全保障長官)
「大統領はクリスマスと新年の休暇を返上して、この問題に取り組んでおられる……」(ウィタカー司法長官代行)
「オバマ前大統領と異なり、立ち上がって、(不法移民は)入ってくるなと声を上げてくれる……」(ペリー・エネルギー長官)
「国境の安全問題での大統領の強固な姿勢に謝意を示します……」(ペンス副大統領)
Who’s your boss ? ――名指しされた閣僚が真顔で競うようにトランプ大統領の「業績」を称賛し、自分のパフォーマンスをアピールする姿を見て、こんな英語の言い回しが頭に浮かんだ。
「誰がボスか知っているね」と上司に念を押されれば、部下は震え上がり、Yes, Sir.と即答するしかない。トランプ大統領の言動は、そんな威圧的な上司のイメージを連想させる。
閣僚は、2人だけの場で大統領の怒りの矛先が自分に向けられたときの恐ろしさを知っているからこそ、記者とテレビカメラの前で、おべっかを使ってまで大領統に忠誠を示すのだと思う。
イエスマンだらけになったトランプ政権 »
イエスマンだらけになったトランプ政権
トランプ大統領の第2の特徴である「ポイ捨て」の性癖は、閣僚と側近の顔ぶれから透けて見える。何と、トップの代行(acting)が5人もいることに驚嘆せざるを得ない。
前任の司法長官と国防長官、大統領首席補佐官は事実上の更迭だ。内務長官と環境保護庁長官はスキャンダルで辞任を余儀なくされたが、トランプ大統領が2人を積極的に守ろうとした形跡はみられない。
閣僚や側近が辞任する際、たとえ嘘でも公僕の業績を称えるのが大統領の常だ。しかし、うわべだけの敬意すら示さずに、用済みとばかりに「ゴミ箱に捨てる」(trash)のがトランプ流だ。
その最たる例が、米軍のレジェンド、マティス国防長官の辞任だ。昨年12月、トランプ大統領の米軍シリア撤退論に反対し、2月末に辞任する意向を表明した。
その際、国防総省を通じて抗議声明とも受け取れる書簡を公表したことが大統領の逆鱗に触れた。憤慨した大統領は、退任時期を元旦に前倒しし、政府部門の経験が浅いシャナハン国防副長官を長官代行に格上げした。
「私はハッピーではなかった。結果を出さなかった」。トランプ大統領は閣議で、マティス氏の仕事ぶりを酷評し、マティス氏が自ら辞任したではなく、自分が彼を更迭したとの認識の周知徹底を図った。
いずれにしても、重責の代行は、面倒な上院の承認を得るまでの一時的な窮余の策ではなさそうだ。トランプ氏は、「代行が好きだ。その方が柔軟に政権運営できる」と記者団に語り、承認手続きを急がない考えを示した。昇格というアメをぶら下げ、代行の仕事ぶりや忠誠心をしっかり観察して正式の閣僚にするかどうか決める腹のようだ。
マティス氏の辞任で、トランプ大統領の衝動をなだめる「大人」のアドバイザーは政権内に一人もいなくなったといわれる。その影響は、とりわけ外交・安保の分野で深刻だ。
すでにティラーソン国務長官、マクマスター大統領補佐官も大統領と対立してポイ捨てされてしまった。残るはイエスマンばかり。強烈なエゴの持ち主であるナルシストの大統領に耳の痛い正論を直言する歯止め役は見当たらない。結局、トランプ政権では、すべてはトップダウンで決まる。
ただし、トランプ大統領の外交・安保政策に微妙な影響を与えていのるがゴルフ仲間の助言だといわれる。共和党のグラハム上院議員とポール上院議員とはプレーしながら対中政策などについて話し合う仲だと報道されている。
空軍出身で国防政策に詳しいグラハム議員は先日、大統領とホワイトハウスで昼食を共にし、シリアから米軍を直ちに全面撤退させるという決定を見直すよう促し、段階的撤兵論を呑ませた「実績」がある。ポール議員も大統領のシリアとアフガ二スタンからの撤退決定に影響を与えたふしがあるとワシントンの政界通は指摘する。
米朝首脳会談で在韓米軍の撤退をぶち上げるか?
さて、第3の特徴である。何が何でも公約や持論は押し通すというトランプ大統領の不屈の精神、俗な言葉を使えば「根性」で気になるのは、安保コストで同盟国の「タダ乗り」は絶対に許さないという主張だ。不動産王だった80年代から変わらない、この持論は新年の閣議でも「炸裂」した。
「我々は、富裕国に軍事的保護を与えているが、彼らは米国のために何もしてくれない。こういう国を同盟国と呼ぶなら、米国と納税者は同盟国にいいように利用されている。こんなことを続けるわけにはいかない……」
そして、トランプ大統領は、こう続けた。
「この考えにシャナハン(国防長官代行)は同意してくれた。長年、そういう考えだった。この点は、私にとって非常に重要だ。他の人に理解させることはできなかった。彼らは私の主張を理解できなかった」と。
ここがすごいところだが、シャナハン氏に同盟の費用負担問題で踏み絵を踏ませたことを世界中に公言したのだ。
看過すべきでないのは、大統領が同盟国のなかでも「富裕国」に限定したことだ。おそらく韓国を指していると思われる。文在寅政権は、在韓米軍の分担金(思いやり予算)を巡る交渉で米側の大幅増額要求を拒み続けている。
大統領の持論を受け、在韓米軍2万8000人の縮小・撤退のオプションがトランプ政権内で非公式に検討されてきたことは公然の秘密だ。大統領は、すでに昨年6月の米朝首脳会談で誰にも相談せずに米韓合同軍事演習の中止をぶち上げた。その後の記者会見で「将来は、在韓米軍を撤退させたい。あんなものは金の無駄だ」と言い張った。
一方、大統領は閣議で、北朝鮮の金正恩委員長から届いた書簡について「素晴らしい手紙だ」と称賛し、2回目の米朝首脳会談が「そう遠くない将来」に行われるとの見通しを示した。その場で大統領が北朝鮮による非核化の進展を条件に、在韓米軍撤退の方向に沿った何らかの見返りを与えたとしても不思議ではない。
こうした大統領の一連の発言を北朝鮮の金正恩委員長と中国の習近平主席が聞き逃すことはないだろう。8日に北京で行われた4度目の中朝首脳会談では、習主席が金委員長に対し、将来的な在韓米軍の縮小・撤退をめざして中朝間で連携すべきだとだと指南したのではないか。
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