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トップニュース2019年1月12日 / 09:41 / 15時間前更新
焦点:中国ウイグル「教育施設」の実態、テロ対策か同化政策か
Ben Blanchard
4 分で読む
[ウルムチ/カシュガル/ホータン(中国) 6日 ロイター] - 中国が西部の新疆ウイグル自治区で進める「過激派の再教育プログラム」に対し、世界は人権侵害だと懸念を強めている。中国政府は大きな成果を上げているとして閉鎖する姿勢を見せていないが、異例の現地取材が認められた1月初旬、複数の当局者は施設に送られる人数は今後減少すると語った。
人権活動家や研究者、各国政府、国連の人権専門家は、少数民族ウイグル族を始め、この地を故郷とするイスラム系住民を中国政府が大量に拘束し、厳しい監視下に置いていると非難している。
国連人権理事会は2018年8月、ウイグル族など少数民族100万人以上が、中国最西端にある「大規模強制収容所」に似た施設に拘束されているとした、信頼性の高い複数の報告を受けていることを明らかにした。
<100万人を収容か>
中国政府は1月初め、ロイターを含む外国人記者団を対象に、「職業教育研修センター」と称する施設3カ所を巡るツアーを行った。同様のツアーには、ロシアやインドネシア、インド、タイ、カザフスタンなど12カ国の外交官もさきごろ招待されたという。西側の外交官は対象から外された。
ウイグル族としてこの地域で最高位のショホラト・ザキル主席を始め、自治区の高官たちは、こうした非難を「中傷まがいの嘘」と呼んで一笑に付している。
ザキル主席は自治区の首府ウルムチ市で、施設は過激主義を抑えるうえで「きわめて効果的」に機能してきたと語った。法律を教えたり、標準中国語の習得を支援してきたという。「時間が経つにつれ、教育研修制度の対象者数はどんどん減っていくだろう」と同氏は述べた。
施設にはどのくらいの入所者がいるのか、正確には言えないという。「100万人という数字にはむしろ驚いている。この教育制度に100万人、それは現実的ではない。単なる噂にすぎない」と主席は述べ、一時的な教育施設だと強調した。
ドイツのミュンヘンに本部を置き、亡命したウイグル族の組織を束ねる世界ウイグル会議の広報担当者、ディルクサット・ラクシット氏はロイターに対し、中国政府は過激主義対策を口実に住民を拘束していると語った。「彼らがやろうとしているのは、ウイグル族のアイデンティティの破壊だ」
<施設の内部へ>
人権団体や元入所者は、施設内部の条件は劣悪であり、収容者が虐待を受けていると主張する。職業訓練は行われていないという。
中国政府はこうした批判に反論するため、カシュガル市、ホータン市、カラカシュ県にある3カ所の施設に記者団を案内した。いずれもウイグル族が多く、暴力的な衝突が起きた新疆ウイグル自治区南部の街だ。
記者団が短時間の入室を許された教室では、教師が標準語で、婚礼の場で歌ったり踊りするのを禁じたり、葬儀の場で泣くことを許さないのは過激主義思想の兆候だ、などと説明していた。
生徒たちはノートを取っていたが、記者団と当局者が教室に入ると手を止めて顔を上げた。ぎこちなく微笑を浮かべる者、教科書に目を落とす者、すべてウイグル族だった。誰も不当な扱いを受けているようには見えなかった。
別の教室では、「広大なわが祖国」という中国語の教材を読んでいた。歌や踊りを盛んに行う教室もあった。「幸せなら手を叩こう」を英語で元気よく歌う様子も見られたが、どうやら記者団の訪問に合わせて準備されたもののようだった。
数人が短時間の取材に応じたが、すべて政府当局者立ち会いのもとだった。記者団は常に監視されていた。彼らは皆、地元の当局者からセンターの存在を教えてもらい、自らの意志でここに来たと語った。そしてひどく似通った言い回しで、自身が「過激主義思想」に染まっていたことを話した。
ホータン市の施設で取材に応じたパザライブツイさん(26歳)は、5年前に近所で行われた違法な宗教会合に出席し、女性は顔を覆わなければならないと教えられたと語った。入所して1年の彼女は、「当時の私は過激主義思想に染まっていたので、ベールで顔を隠していた」と、きれいな標準語で話した。
カシュガル市の施設で取材に応じたオスマンジャンさん(年齢非公表)は、民族間の憎悪を煽ったとして、村の警察から再教育を受けることを提案されたという。「過激主義思想の影響を受けていたころは、イスラム教徒以外の客の相手をするのが嫌だった」と、たどたどしい標準語で語った。
ロイターは、彼らが話した内容の真偽を確認できていない。インタビューに応じた人は皆、記者団の訪問は事前に知らされていなかったと述べている。
入所者によると、標準語と法律知識の習得、過激主義思想からの脱却が一定のレベルに達したと判断されれば「卒業」できるという。家族との電話は許されているが、携帯電話は持ち込み不可。食事はイスラム教の戒律にのっとったハラール料理が提供されている。
3つの施設の警備体制は、いずれも最小限に見えた。ロイターは昨年、複数の施設の内部状況を報じ、見張り塔のほか、一部が有刺鉄線で囲まれている写真を撮影している。
<外国メディアの報道は「フェイク」>
新疆ウイグル自治区の状況をめぐっては、西側政府の懸念を招いてる。
少なくとも15カ国の西側大使が昨年、同地区の共産党トップである陳全国氏に協議を求めて書簡を送った。外交筋によると、書簡への返答はなかったという。陳氏は今回の取材中、記者団と面会しなかった。
米政府は陳氏を始めとした高官、新疆ウイグル自治区における人権侵害の疑いに関係した中国企業に対する制裁を検討中であることを明らかにしている。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチのマヤ・ワン氏は、世界が圧力をかける必要があると話す。「中国側が視察ツアーを企画する必要を感じているという事実は、圧力が効いている兆候だ」と、ワン氏はロイターに語った。
ワン氏も、世界ウイグル会議のディルクサット・ラクシット氏も、施設訪問や居住者へのインタビューに厳しい規制がかけられているのは、中国側がこの問題の本質を懸念している証拠だと指摘する。
ウルムチ市の共産党トップ、スイ・ハイロン氏はロイターに対し、昼食のケバブと馬肉、ナンを食べながら、新疆ウイグル自治区に関する外国の報道は「すべてフェイク(虚偽)だ」と述べた。米国の制裁については何も心配していないという。
「陳党書記を含めて私たちは皆、新疆ウイグル自治区の人々が良い生活を送れるよう、力を尽くしている」と、スイ氏は語った。「米国が私の入国を拒否するというのであれば、行くつもりはない。それが真実だ」
<「安定が何より大切な人権」>
中国政府は、ウイグル族が中国社会の本流の一部になることが目標だとしている。自治区のショホラト・ザキル主席は、南部の一部地域では、住民が標準語で挨拶すらできないと話す。
過去2年間にわたって暴力的な衝突がないことは、過激思想からの脱却プログラムが成功している証拠だと当局者は指摘する。ウルムチ市は「主なテロ攻撃」というテーマの展示会を開き、政府がテロと称する事件の写真や映像を公開する異例の対応に踏み切った。
「過去について理解を深めなければ、現在私たちが行っている措置を理解できない」と、自治区の共産党委員会で広報副主任を務めるシ・レイ氏は記者団に語った。
カシュガル市の人民解放軍関係者は、治安状況は劇的に改善されたと語る。「2014年や15年のこの辺りの状況は想像もできないだろう。絶えず攻撃があり、爆発や刺殺事件があった。混沌としていた」と、同関係者は言う。
カシュガル、ホータン、カラカシュでは、依然としてガソリンスタンドが有刺鉄線に囲まれ、頑丈な防御壁で守られている。住宅街には小さな駐在所が点在している。その1つを率いるツァン・イー氏は記者団に対し、駐在所は幅広いサービスを提供していると語った。ある駐在所で手渡されたパンフレットには、合法的な性別の変え方など、さまざまなテーマが書かれていた。
カシュガル市共産党のツァーク・ツルダン副書記は、「安定が何よりも大切な人権だ」と語った。ウイグル族の同氏は、カザフ族が多く暮らす新疆ウイグル自治区北部のグルジャ市出身。「西側諸国は(過激主義対策について)私たちから学ぶべきだ」と語り、ウイグル族の文化が攻撃されているとの懸念を否定した。
「旧ソ連のカザフ族はロシア語を学ばなければならなかったが、彼らは消滅しただろうか」とツルダン氏。「答えはノーだ。だからここでもウイグル族が消滅することはない」
(Ben Blanchard記者、翻訳:エァクレーレン)
https://jp.reuters.com/article/xinjiang-china-idJPKCN1P506J
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