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「EU共同スパイ学校」の目的とは...? 揺れる世界情勢を背景に欧州で何が起きているのか(ニューズウィーク)
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/166.html
投稿者 赤かぶ 日時 2019 年 1 月 09 日 02:55:30: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

「EU共同スパイ学校」の目的とは...? 揺れる世界情勢を背景に欧州で何が起きているのか
https://www.newsweekjapan.jp/stories/woman/2019/01/eu.php
2019年01月08日(火)16時45分 西川彩奈(フランス在住ジャーナリスト) ニューズウィーク


ギリシャが主導し、欧州25カ国の国防相が合意している Alkis Konstantinidis-REUTERS


<ロシアへの危機、トランプ政権、英国のEU離脱などを背景に進む、欧州防衛の「結束」と「自立」への道のり。一体何が起きているのか?>

昨年11月末、欧州25カ国の国防相が「EU共同インテリジェンス・スクール」創設計画に合意した。政治情報サイト「Politico Europe」は「同構想はEU域内の諜報コミュニティーにとって大きな一歩になりそうだ」と報じている。

現段階では同校について一握りの情報しか公開されていないものの、欧州理事会の資料によると、「加盟国、NATO、諜報機関と協力してインテリジェンス部門での教育と訓練を提供する」ようだ。同構想はギリシャが主導し、キプロス共和国に学校を創設する予定だ。

皮肉にもEU域内でのインテリジェンス分野での連携深化の契機は、英国のEU離脱だとみられる。英国はUKUSA協定(英、米、豪、カナダ、ニュージーランドの諜報機関が情報などを共有する協定)に参加しており、EUの同部門での連携は不都合な競合相手になると考えていたためだ。

この「スパイ養成学校」の目的は一体何なのか。

ベルギーのシンクタンク「エグモント・ロイヤル研究所」で欧州防衛を研究するスヴェン・ビショップ氏は本誌取材にこう語る。「EU各国の情報機関が互いに協力することは、間違いなく必要だ。共同のインテリジェンス学校の創設は、『共有の諜報文化』をEU域内で育むことに繋がる。そして、それは国境を越えたテロなどの脅威と闘うために必要となるだろう」

■欧州防衛統合を促進する「夢」の枠組み、PESCOとは?

前出の事業に限らず、欧州連合(EU)域内で防衛面での統合が進んでいる。2017年12月には有志の加盟国防衛協力を促進させる「常設軍事協力枠組み(PESCO)」が発足し、マルタ、デンマーク、英国を除くEU 25加盟国が参加した。また、同年夏には加盟国間の「防衛力強化」のための資金投資を共同で担う「欧州防衛基金(EDF)」が創設された。

EU域内での防衛統合強化の背景にあるのは、揺らぐ世界情勢だ。2014年のロシアによるクリミア併合、英国のEU離脱、そして北大西洋条約機構(NATO)で「相応な負担」へのプレッシャーをかけるドナルド・トランプ米政権の存在。これらが欧州防衛の「自立」への意識を高めたとみられる。また、EU域内での防衛産業の競争力強化やイノベーション活性の狙いもあるという。

【参考記事】「拷問したのか?」と元CIA工作員の本誌コラムニストに聞いた


 

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コメント
1. 赤かぶ[2663] kNSCqYLU 2019年1月09日 03:06:21 : foLi271siw : Gk_qr4u6MEE[1129] 報告

※続き

2017年の「PESCO」の発足時には、ドナルド・トゥスク欧州理事会議長は「夢が実現した」と喜び、フェデリカ・モゲリーニ外交安全上級代表は「歴史的」と表現した。

PESCOでは陸・海・空・サイバー作戦、合同訓練などに関する34の事業が定められ、各加盟国がそれぞれ事業を主導する。例えば、前出のギリシャ主導の「EU共同スパイ学校」創設計画も、34の事業の一環だ。他にも、下記のような野心的な事業計画が立てられている。



【PESCOにおける34事業の一例】

・「軍事のシェンゲン」と呼ばれる、加盟国内での軍の国境移動の円滑化
・最先端の無人戦闘攻撃機(通称ユーロドローン)を2025年までに開発。ドイツが主導。
・ギリシャが担当する、サイバー情報共有プラットフォーム
・軍を支える欧州医療司令部。加盟国間での医療のスタンダード化も図る。
・フランスは攻撃ヘリコプター「ティガーMk 3」の向上を主導
・電子戦における欧州共同の常備兵の形成を目指す。チェコが主導。
・オーストリアはCBRNE(化学・生物・放射性物質・核・爆発物)監視プロジェクトを率先

■「PESCO」は「NATO」を補強する

前出のビショップ氏は「PESCOには大きな可能性がある」と意気込む。「3〜5年で、ある程度の成功が見込まれるだろう。PESCOが創設されなければ、次世代の戦闘機の開発、サテライト関連の計画など重要な事業の発表はなかったはずだ」

一方、疑問として浮かぶのが既存の軍事同盟NATOとの違いだ。欧州理事会は「PESCOはNATOを補強する」と説明している。また、ビショップ氏はこう解説する。

「例えばPESCOが掲げる34事業のひとつ、『軍事のシェンゲン』とも呼ばれる国境間の移動の簡易化は、加盟国が集団で領地を守る最適の方法だ。それに結果的に、NATOの中核的任務である「集団防衛」を強化することができる」「また、加盟国がPESCOの事業を通して得た戦闘能力は、NATOなどの組織下でも発揮できるので、事実上PESCOはNATOを増強することになる」



PESCOが野心的な事業を掲げる一方で、Politico Europeは同枠組みの欠点として事業計画を遂行するペースの遅さを指摘している。ビショップ氏も「本腰を入れるべき」と言及。「2019年はPESCOにとって事業を実施して成果を出すべき、非常に大切な年だ。今後、PESCOが今すぐに『欧州軍創設』に繋がることはない。だが、もしこの仕組みが成功すると、加盟国間でさらなる防衛の結束へと進展するだろう」

「そして、これらの防衛強化の目的は詰まるところ『戦争阻止』のためかもしれない。高い防衛能力は、他国からのEUへの攻撃を防ぐ。また、強力な戦力投射能力は、EUの関心の対象に手を出そうとする近隣諸国の妨害を阻止するからだ」

【参考記事】まんが:プーチン最強伝説の嘘とホント──憧れのスパイになった問題児の素顔


[執筆者]
西川彩奈
フランス在住ジャーナリスト。1988年、大阪生まれ。2014年よりフランスを拠点に、欧州社会のレポートやインタビュー記事の執筆活動に携わる。過去には、アラブ首長国連邦とイタリアに在住した経験があり、中東、欧州の各地を旅して現地社会への知見を深めることが趣味。女性のキャリアなどについて、女性誌『コスモポリタン』などに寄稿。パリ政治学院の生徒が運営する難民支援グループに所属し、ヨーロッパの難民問題に関する取材プロジェクトなども行う。日仏プレス協会(Association de Presse France-Japon)のメンバー。
Ayana.nishikawa@gmail.com






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