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(独自)「辺野古」軟弱地盤工事にお墨付き与えた委員に230万円 受注業者から資金提供 就任前にも570万円(東京新聞)
http://www.asyura2.com/19/ishihara14/msg/148.html
投稿者 蒲田の富士山 日時 2023 年 11 月 12 日 08:06:48: OoIP2Z8mrhxx6 ipeTY4LMlXiObY5S
 

2023年11月12日 06時00分

https://www.tokyo-np.co.jp/article/289467

米軍普天間ふてんま飛行場(沖縄県宜野湾ぎのわん市)の名護市辺野古へのこ移設問題。焦点となっている埋め立て予定地の軟弱地盤の対応を巡り、沖縄防衛局の設計変更にお墨付きを与えた技術検討会の委員2人が、就任した2019年9月以降に、関連工事の受注業者から計230万円の奨学寄付金を受け取っていたことが、本紙の調べで分かった。(中沢誠)
奨学寄付金 研究振興のため民間から大学などに寄付される資金。使い道が限定されていないのが特徴で、大学への交付金が減少する中で貴重な研究資金となる一方、産学の癒着の温床になりやすい。原子力規制委員会は委員の選任に当たり、直近3年間の関係業者からの寄付を申告させ、公表している。国の医薬品の承認審査では、関係企業から年50万円を超える寄付を受けた委員は議決に加われない。

◆技術検討会の8委員、半数が旧運輸省OBら政府系出身者
4年前の本紙調査では、委員3人が就任前、受注業者から計570万円の奨学寄付金を受け取っていた。
辺野古工事を巡っては、防衛局の変更申請を不承認とした県の敗訴が確定。国は県に代わって承認する「代執行」を目指しているが、受注業者から資金提供を受けた委員が関与していたことで、改めて設計変更の妥当性が問われそうだ。
技術検討会は、土木工学の専門家ら8人の委員で構成。設計変更に関して専門的見地から技術的な助言を得るため、防衛局が委員を選んで2019年9月に設置した。8人のうち半数が、旧運輸省OBの大学教授ら政府系出身者で、当初から審議の中立性や客観性に疑問の声が出ていた。
技術検討会での6回の会合を経て、防衛局は2020年4月、専門家からも理解が得られたとして、県に設計変更を申請した。防衛省によると、申請後も適宜、検討会の委員から助言を得ているという。
本紙は、委員就任後の2019年9月〜23月3月、奨学寄付金の有無を調査。8人の委員うち、情報公開制度のある大学や法人に属する6人には開示請求を行った。
開示文書によると、大谷順・熊本大教授が2019年9月に「不動テトラ」(東京)から80万円、23年3月に退任した青木伸一・大阪大学院教授(当時)が2020〜22年度に「東洋建設」(東京)から計150万円を受け取っていた。

◆寄付した業者は埋め立てや護岸工事受注
防衛局が発注した辺野古関連工事のうち、地盤改良を得意とする不動テトラは護岸工事を受注。海洋土木大手の東洋建設は埋め立て工事などを受注している。
大谷氏と青木氏は委員就任前にも、受注業者から5年間で、それぞれ120万円と300万円の寄付金を受け取っていた。
大谷氏と青木氏に見解を尋ねたが、11日までに回答はなかった。不動テトラは「個別事項への回答はしません」とコメント。東洋建設からは回答がなかった。
情報公開制度のない大学に属する委員には、大学や本人に問い合わせたが、「取材はお断りしている」などとして回答はなかった。
本紙の開示請求によると、8人の委員のうち少なくとも3人は、受注企業と共同研究をしたり、受注企業が設けた有識者会議の委員を務めたりもしていた。

◆沖縄防衛局「公正性・中立性に影響ない」
沖縄防衛局報道室の話 各委員の研究活動が、技術検討会における議論の公正性・中立性に影響があるものと考えていない。各委員が有している技術的・専門的知見を基に、客観的に議論いただいているものと認識している。

◆「軟弱地盤の調査不十分」県は不承認
技術検討会の意見は、沖縄防衛局が辺野古工事での設計変更を正当化する根拠となっている。
これに対し、沖縄県は「調査が不十分」として不承認にした。
不承認の主な理由は、軟弱地盤が最も深い海面下90メートルの「B27」地点で、地盤の強度を実測していないことだ。
90メートルにまで達する軟弱地盤の改良工事は世界でも例がない上に、「B27」地点には巨大な護岸が建つ。強度が足りなければ護岸が崩壊する恐れもある。これまで国会でも、何度も「B27」地点の再調査を求める声が上がっているが、防衛局は応じていない。
県は、不承認通知書の中で、こう指摘している。
「地盤の安定性等に係る設計に関して最も重要な地点において必要な調査が実施されておらず、地盤の安定性等が十分に検討されていないことから、災害防止に十分配慮されているとは言い難い」
防衛局は設計変更に当たって、最大で750メートル離れた他の3地点で計測したデータから類推し、「B27」地点の強度を推計している。
この設計方法についても、県は不承認通知書で「地点周辺の性状等を適切に考慮しているとは言い難い」と疑問を呈し、「他の3地点からの類推ではなく、B27地点における力学試験等を実施し、その結果をもって設定することが最も適切」と主張している。
逆に、技術検討会の委員らは、会合の中で、次のように発言し、防衛省の計画を支持していた。
「近傍の地点から強度を推定するという方法は決して間違ったものではない」
「近傍の地点の調査結果から推定できるので、B27で改めて調査をする必要まではない。これ以上お金と時間をかけて調査したとしても新しく得られる情報がすごく少ない」
意見を引き取った委員長も「もう追加の必要はないのではないかと思う」と語っていた。
防衛局は、本紙の取材に対しても、技術検討会の意見を引き合いに出し、「土の強度の設定方法は、技術検討会で適正なものだとの意見をいただいており、これまでに実施した土質調査は、護岸等の構造物の設計を行うに当たり十分なものだと考えている」と回答する。
辺野古工事を検証している新潟大の立石雅昭名誉教授(地質学)は、「リスクの高い地点なのに調査しないほうが不自然。意図的に避けているとしか思えない。技術検討会は、政府にお墨付きを与えるためだけにあるのか」といぶかる。

◆不可解な防衛局の地盤調査
そもそも防衛局の地盤調査には、不可解な点が目立つ。
その一つが調査の時期だ。
防衛局から開示された地盤調査の報告書によると、軟弱地盤の最深部に当たる「B27」地点では、簡易的な地盤調査が行われていた。実施したのは2017年3月。この調査でB27地点では、軟弱地盤が海面下90メートルにまで達してることが判明した。
一方で、「B27」地点の強度を推定するために引用した他の3地点の調査は、いずれも「B27」地点の調査の後に行われていた。3地点のうち2地点については、「B27」地点の調査から1年も経った2017年暮れから2018年にかけて行われていた。
2018年の追加調査は、より地盤の状態を詳細に調べるために実施したものだ。他の地点から推定するよりも、「B27」地点で調べれば、より正確なデータが得られるはず。なぜ、その追加調査に「B27」地点を含めなかったのだろうか。
防衛局に尋ねると、「準備が整ったものから実施した」という回答しか返ってこなかった。

◆他からデータ引用「つじつま合わせでは」
ある土木技術者は「追加調査したときにB27地点も一緒に調査していれば、費用も時間もあまりかからなかったはずだ。ましてやB27地点は一番危険な場所。技術者からすると、その危険な場所を調べもせずに設計するなんて冒険でしかない」という。
同じように軟弱地盤を改良して造成した羽田空港や関西国際空港の海底は、ほとんど起伏がない。一方、辺野古の埋め立て予定地の海底は凹凸のある複雑な地形になっている。本来なら、より慎重な調査が求められるはずだ。
土木技術者は、頑なに「B27」地点の調査を避けようとする防衛局の思惑について、こう推測してみせた。
「おそらくB27地点で地盤強度を測ると、基地を作るために必要な地盤の安定性を確保できないからでは。そのため、わざわざ他の地点のデータを引用して、つじつまを合わせようとしたのではないか」
辺野古の軟弱地盤問題 埋め立て予定地の海底で、軟弱地盤が確認されたとして、沖縄防衛局は2020年、沖縄県に設計変更を申請した。県は承認せず、国との間で法廷闘争になった。国は知事に代わって承認する「代執行」に向けて提訴し、既に結審している。防衛局の設計変更では、海底に約7万本の砂杭などを打ち込み、地盤を固める改良工事を計画している。総工費は2.7倍の9300億円に膨らむ。仮に代執行が認められ、国が地盤改良工事に着手しても、普天間返還は2030年代半ば以降となる見通し。

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