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2023年4月5日 12時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/242084
埼玉県川口市で今月、妙な条例が施行された。「大きな声で川口が大好きだと叫んでみませんか川口プライド条例」だ。議員提案で成立したのだが、なぜ地元愛を大声で叫ばねばならないのか。実は他の自治体でも「プライド条例」は広がっている。何を目指した条例なのか。(中沢佳子)
◆川口プライドとは「心意気」
「川口の魅力の認知を広めることで、多様な価値観を持つみんながひとつになれる川口プライドを育む」。条例は高らかにうたう。
では、川口プライドとは。「自ら進んで、大きな声で川口が大好きだと叫びたくなるほど、川口をもっと良くしていこうとする心意気」と説いている。
川口愛を叫ばなくてもよく、「川口プライドを持つことを強く求めるものではなく、川口に対する思いを尊重するもの」。街の魅力を伝える活動や情報発信を楽しめばいい。対象は住民のほか、川口に通勤や通学をする人ら。市は街の魅力を高める事業を進め、条例の効果検証もする。
◆「『1番』になれるものがなく...」
古くから鋳物産業が盛んだった川口。荒川をはさんで東京都と隣接するアクセスの良さもあり、今や人口60万4000人超。県内2番目の都市だ。
「ここは代々住み続ける人がいる。暮らしやすいから、出たいとも思わない」
地元の川口銀座商店街振興組合の白井慎一理事長はもともと街への愛が強い土地柄だったと語る。
「でもね、『1番』になれるものがなく、卑下する傾向もある。川口を好きな人でにぎわえば喜ばしい。一時のブームで終わらせないようにしないと」
◆「一歩間違えれば、愛国心教育の自治体版に」
条例は自民党市議団が原案をつくり、2022年12月の市議会で議員提案した。議事録によれば、提案説明に立ったのは関裕通市議。同年度の市民意識調査で85.3%が「川口に住み続けたい」と答えた半面、「誇れる魅力がある」という市民は35.3%にとどまったことに触れ「ベッドタウン化による新たな住民も多く暮らし、市民の価値観は多様化し、地域における連帯意識の希薄化が懸念される」「一体感を醸成する施策の拡充が不可欠だ」と訴えた。審議では「憲法が保障する内心の自由に反する」と反対の声も上がったが、賛成多数で可決した。
明治大の西川伸一教授(政治学)は「新しい住民が入る都市で、帰属意識を持たせる狙いもあるのだろう。しかし条例で人為的に根付かせなくてはならないのか。一歩間違えれば、愛国心教育の自治体版につながりかねない」と口にする。
実は同様のプライド条例は、他の自治体にもある。
たとえば10年に施行された「鯖江市民主役条例」(福井県鯖江市)、17年の「WE LOVE とよた条例」(愛知県豊田市)だ。
21年には相模原市で「さがみはらみんなのシビックプライド条例」も。市観光・シティプロモーション課の担当者は「年700万円ほどの予算を確保し、市内の魅力を伝える写真や絵のコンテスト、市内キャンプ場利用への助成などを行っている。一昨年と昨年は転入増に転じた」と語る。
◆「条例は必要ない」と語る識者の指摘
「人口減少の中、転入者を呼び込むより、今いる住民の流出を止める発想になっている。そこで街に対する市民の愛着や誇りを表す『シビックプライド』醸成の機運が高まった。Uターンや転出抑止の効果が見込まれるためだ」
関東学院大の牧瀬稔教授(自治体政策学)はそう語る一方、「シビックプライドの醸成に条例は必要ない」ときっぱり。必要なのはシビックプライドを高める事業という。「条例はあくまで事業の予算を確保し、継続する根拠。住民が地元に目を向ける施策に取り組むことが前提だ。条例をつくって終わりではない」
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