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元国税が暴露。定年退職者の多くが「税金を払い過ぎている」現実
https://www.mag2.com/p/news/433717
2020.01.07 大村大次郎『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』 まぐまぐニュース
本来ならばもっとも公明正大が求められるはずの税務署員ですが、実態はまさに「目を覆うばかりの惨状」と言っても過言ではないようです。これまでもたびたび税務署の信じられない実態を暴いてきた、元国税調査官で作家の大村大次郎さんですが、今回もメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』で、納税者の無知につけこみ追徴金をむしり取る手口と、定年退職者の多くが払いすぎている税金の存在をひた隠す卑劣な一面を暴露しています。
※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2020年1月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:大村大次郎(おおむら・おおじろう)
大阪府出身。10年間の国税局勤務の後、経理事務所などを経て経営コンサルタント、フリーライターに。主な著書に「あらゆる領収書は経費で落とせる」(中央公論新社)「悪の会計学」(双葉社)がある。
税務署員は市民の無知につけこむ
前号「普通ここまでやるか?納税者を平気でダマす税務署の卑劣な手口」では、税務署員が市民を騙して追徴税を巻き上げるということをご紹介しました。今回もその続きで、「税務署員が市民の無知につけこむ」ということについてご説明したいと思います。
日本人というのは、指導者などにはとても従順な民族です。昔から、政治家やお役人にあまり楯ついたりしてきませんでした。政権を倒すための市民による武力革命って、起こったことがありませんからね。
日本人は、お役人は間違ったことを言わない、お役人の言うことは聞かなくてはならない、と思っている節があります。特に税務署の調査官などは税金のプロなので、彼らの言うことには必ず従わなくてはならない、と思っている人もいます。調査官はその心理を上手に利用して、追徴税を稼ごうとします。何度か述べましたが、税務の世界では、グレーなものがたくさんあります。課税になるかならないか、経費として認められるか認められないか、明確な線引きがされていないものが多いのです。
また個別の事情によって、線引きは変わってくることもあります。つまり、税務には微妙なものが多いのです。そういう微妙なものに関して、裁定を下すのは、実は調査官ではないのです。法律的に言えば、納税者が自分で判断していいのです。そして、調査官は、明らかに間違っているものだけを修正できるのです。調査官が、グレーゾーンに関して「これはOK」「これはダメ」などと判断する権利はないのです。
日本は申告納税制度を採っています。この申告納税制度というのは、国民が自分で申告し、納税するという制度です。そして、国税や税務署は、申告が明らかに間違っているというときのみに是正できるのです。
しかし、調査官は、あたかもその権利を握っているかのように納税者にふるまいます。たとえば、よくあるケースで、こんなものがあります。とある会社で、ゴルフ代を会社の経費で認めるかどうかで、調査官が追及しています。
「社長!このゴルフ代はだれと行ったんですか」
と調査官が社長に聞きました。
「以前から取引のあるYさんと行きました」
社長が答えます。すると、調査官はこう聞き返しました。
「Yさんとは今も取引があるんですか?」
「最近はあまりないです」
と社長は答えました。それを聞いた調査官は、こう言いました。
「Yさんは取引先じゃなくて、普通の友人でしょう?友人と一緒にゴルフに行ったんでしょう?これは会社の経費とは認められませんね」
こういうやりとりは、税務調査の中では、普通にあります。でも、これは明らかに法的にはおかしいのです。というのも、交際費(会社の経費)に該当するかどうかの判断を、調査官がする権利などはないのです。交際費などというのは、非常に線引きが難しいものです。どこからが会社の交際費でどこからがプライベートの費用なのかはなかなか判別がつきません。その場合、まず納税者の申告が尊重されるのです。そして、それが明らかに誤りであるというときに、調査官は否認することができるのです。このケースだと、明らかに誤りがあるとはいえません。
もし納税者が異議申し立てをしたり、行政裁判を起こせば、税務署は負けるでしょう。調査官が、「これは友人と行ったものなので、会社の経費ではおかしいのではないですか?」と社長に問いかけ、社長がそれに納得すれば、否認することもできます。でも、あたかも最初から調査官に判断できる権利があるかのごとく「これはダメです」などということはできないのです。
納税者は自分の潔白を証明する必要はない
調査官は、納税者の無知につけこんで、追徴税を認めさせようとすることも多々あります。調査官が課税漏れなどを指摘しようとする時、明確な証拠がない場合があります。つまり白か黒かはっきりしないようなケースです。
その場合、納税者としては自分の潔白を自分で証明しなければならないような気持ちになってしまいます。しかし、税法上、納税者は自分の潔白を証明する必要はないのです。日本の税制では申告納税制度という建前をとっています。これは「税金は納税者が自分で申告して自分で納める」というものです。国税や税務署は、申告に明らかな誤りがあったときにのみ、是正できるのです。そして申告の誤りについては、国税側が証明しなけれなならないのです。
つまり申告で不審な点があった場合、納税者は「それが潔白だ」という証明はしなくていいのです。もし不審点を否認するのなら、税務当局側(つまり税務署)に「それは黒だ」と証明する必要があるのです。にもかかわらず、調査官はさも納税者側に、無実の証明義務があるかのようにふるまいます。
たとえば、税務調査ではこういうことがよくあります。とある会社が下請け業者に50万円払っていました。その下請け業者は、倒産し今はどこにいったかわかりません。
税務署はその取引について、文句をつけてきます。この取引は架空じゃないか、と。会社の方は「架空じゃない、本当の取引だ」と主張するのですが、その下請け業者が今はいないのですから、証明しようがありません。税務署は、あたかも会社に潔白を証明する義務があるように責め立て、結局、この取引は架空であるということを、会社に認めさせてしまいました。
が、この会社は本当に取引があるのならば、わざわざそれ以上の証明をしなくてもいいのです。税務署が「架空である」という証拠をつかんだときに初めて、この取引を否認できるのです。
しかし、納税者にはそういう知識はありません。だから税務署の圧に耐えられなくなり、架空でもないのに架空だと認めてしまったりするのです。
定年退職者の多くが税金払い過ぎになっているのに何も広報しない
国税や税務署がいかに税金を取ることばかり考えているのか、わかりやすい例を一つご紹介しましょう。実は、退職したサラリーマンの多くは、税金が過払いになっています。しかし、このことを国税は進んで広報しようとは絶対にしないのです。国民にとっては、かなり重要な情報であるにもかかわらず、です。
なぜ退職したサラリーマンが税金の納め過ぎになっているのか、その仕組みは次の通りです。退職した人は、退職した時点で会社の関与は終わってしまいます。でも、税金(所得税)というのは、年間を通しての所得に対してかかってくるものです。年の途中で仕事をやめたということは、年末調整が行われておらず、税金の計算はきちんとされていないということなのです。そして毎月の源泉徴収というのは、年間を通して計算した税金よりも若干多めに取られています。つまり、サラリーマンの源泉徴収というのは、だいたい納め過ぎの状態になっているのです。普通のサラリーマンであれば、その納め過ぎの税金は、年末調整で還ってきます。しかし、年の途中で退職した人は、年末調整を受けていないので、納め過ぎのままになっているのです。
退職した人でも、すぐに再就職をすれば、次の会社が年末調整をしてくれて納め過ぎの状態が解消されることもあります。でも、退職してすぐに再就職していない人や、再就職先の会社の経理があまり丁寧ではない場合は、納め過ぎのままになっているのです。
このことは、あまり知られていないので、かなり多くの人が税金を納めすぎになっているはずです。
国民とって、非常に違和感があることですが、税金を納め過ぎている場合、請求しなければ絶対に戻ってこないのです。公共料金とか、民間のサービス関係ならば、お金を払い過ぎていたら、必ず戻してくれます。戻してくれなかったら「不当だ」として大変なことになるはずです。
でも、税金の場合は、そうではありません。納め過ぎの場合(税務署が誤って取り過ぎた場合を除いて)、自分が言わなければ返してくれないのです。サラリーマンの源泉徴収などというのは、国が強制的に調整しているものです。そしてサラリーマンには何の落ち度もないのに、取りすぎになっていても還付されないのです。
もし税金を納めていなかったり、納めた金額が足りなかったりすれば、税務署は督促をします。しかし、納めすぎた税金を税務署の方から自動的に返すなんてことは絶対にないのです。国税庁は、税金を徴収することばかりを考え、「適正な納税」を考えていないのです。税務行政でもっとも大事なことは、「適正な納税」のはずです。そして、「適正な納税」とは、多すぎても少なすぎても、いけないはずです。税務行政の基本中の基本を国税庁は怠っているのです。(メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』より一部抜粋)
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※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2020年1月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。
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