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ゴーン被告逃亡 10カ所下見、関空に狙い 警備甘さつく 米紙報道
https://mainichi.jp/articles/20200107/ddn/041/020/008000c
毎日新聞 2020年1月7日 大阪朝刊
プライベートジェット利用客の専用施設「プレミアムゲート玉響」=関西国際空港で2020年1月6日午後5時40分、鶴見泰寿撮影
日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告(65)がレバノンに逃亡した事件で、この逃亡計画に関わったグループが事前に日本を20回以上訪れ、国内10カ所以上の空港を下見していたと、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)が5日、報じた。このうち、関西国際空港の警備が甘いことに気づき、同空港から脱出することが決まったという。【ニューヨーク隅俊之】
前会長は2019年12月29日夜、コンサート用の音響機器を運ぶ大型の箱に潜んでプライベートジェットに乗り込んだとされる。同紙によると、逃亡計画には異なる国の10〜15人が関与。約3カ月前の下見で、関西国際空港のプライベートジェットの専用ゲートは人が少なく、大型荷物は同空港のX線検査の装置に入らないことが分かったという。
同紙によると、トルコまでの逃亡には、元米陸軍特殊部隊隊員ら米民間警備会社の関係者2人が同行。事情を知る関係者の話として、計画にかかった費用は数百万ドル(数億円)だったとしている。
大きな荷物はX線検査せず
関西国際空港にはプライベートジェット(PJ)の利用客が保安検査や出国手続きをする専用施設「プレミアムゲート玉響(たまゆら)」があり、ゴーン被告はこの施設を通って出国したとみられる。空港関係者によると、この施設に設置されているX線検査の機械は、一般の機内持ち込みサイズまでを対象としており、中に人が入るような大きさの荷物は検査しないという。
X線検査ができない場合、荷物の中身を目視で確認する手続きが取られるが、危険物の持ち込み防止を目的とする保安検査は、PJの場合、航空法で義務化されておらず、運航会社や機長が必要と判断した場合に限られている。【鶴見泰寿】
新幹線で大阪へ
2019年12月29日のゴーン被告の足取り
ゴーン被告が、2019年12月29日に大阪まで新幹線で移動していたことが関係者への取材で判明した。東京都内の防犯カメラには、ゴーン前会長が米国籍とみられる協力者の男2人と合流している様子が映っていたという。
前会長は29日午後2時半ごろ、東京都港区の制限住居から1人で外出する様子が住居の監視カメラに映っていたことが確認されている。
関係者によると、その後、同区内のホテルで男2人と合流。午後4時半ごろにはJR品川駅で姿が確認され、東海道新幹線に乗って午後7時半ごろ、新大阪駅に到着したとみられる。
前会長は関西国際空港近くのホテルへ移動。午後10時ごろ、男2人がホテルを出た際、前会長の姿はなかった。男2人は大型の荷物を運んでおり、前会長は中に潜んだまま関空の保安検査を通過した可能性があるという。
東京地検は前会長が無断で出国したとして入管法違反容疑で捜査している。
一方、前会長の弁護団は、前会長が裁判所の許可を得て逃亡する前まで使っていたパソコンについて、東京地検に任意提出することを決めた。関係者への取材で判明した。前会長と弁護団との打ち合わせのデータを削除した上で地検に引き渡すという。【遠山和宏、志村一也】
森法相「遺憾」
ゴーン被告が逃亡した事件について、森雅子法相は6日、臨時の記者会見を開き、「不正な手段を用いて不法に出国したものと考えられ、誠に遺憾だ」と述べた。事実関係は「調査中」とした上で、再発防止に向けた措置を講じたことを明らかにした。【村上尊一】
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