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東京五輪時期、宿泊施設の料金高騰…1泊1万円→94万円に上昇の部屋も
https://biz-journal.jp/2020/01/post_135857.html
2020.01.06 文=編集部 Business Journal
昨年(2019年)はラグビーファンの来日が多かった
今年の夏に迫った東京五輪を前に、宿泊施設の料金が高騰している。昨年12月下旬に宿泊予約サイトで五輪開幕日(7月24日)チェックイン分の料金(1泊)を調べてみた。すると「東京」で796軒が見つかったものの、「選択した日程では、この目的地にある室の81%が当サイトで予約不可となっています」と表示された。料金は1泊8600円から。
その最低料金の部屋をみると、「大人2名 二段ベッドのベッド1台 12平方メートル」で「最後の1部屋」となっていた。外国人向けのゲストハウスのようだ。アパート(マンション)タイプの民泊施設(50平方メートル)は「1ベッドルーム 定員7人」で手数料・税込みで10万7200円、お台場のリゾートホテルは「スーペリア ダブルルーム ベイビュー」で11万4660円。そして、銀座に近い中央区内のゲストハウスは25平方メートルのダブルルームは94万円。サイトには「キッチン施設が充実。自宅のように寛げた」「ワンルームマンションの感覚で使えた」といった利用客の声が添えられている。この施設、1月中旬の料金を調べてみると、1万3260円となっている。
スカイツリー近くの開会式当日の物件で、1泊120万円というものもあるという。現在は1泊8万円強で、あるテレビ番組で取り扱い業者がAI(人工知能)で120万円の値付けをしたと説明していた。こうした極端なケースは別にしても、通常期に比べ料金が高騰するのは間違いない。都心のホテルの多くが五輪の大会組織委員会や旅行会社などに押さえられているからだ。そのため空いている部屋の多くは民泊施設(アパートタイプ)のようだ。2万円、3万円の部屋が安く思えてしまう高騰ぶりには唖然とさせられる。
■都内の民泊施設届出数は約7000件
五輪期間中、主だったホテルの予約が取りにくいとなると、狙いは民泊施設だろう。2018年6月に住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行されてから1年半。民泊の状況はどうなっているのだろうか。
観光庁が発表した2019年12月11日時点の民泊施設の届出状況は、全国で「届出件数」が2万2671、「事業廃止件数」が2471、「届出住宅数」が2万200となっている。同法施行前は全国に民泊施設は約5万6000あるといわれていたが、現在合法的に営業しているのは半分以下ということになる。
五輪期間中、主だったホテルの予約が取りにくいとなると、狙いは民泊施設だろう。2018年6月に住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行されてから1年半。民泊の状況はどうなっているのだろうか。
観光庁が発表した2019年12月11日時点の民泊施設の届出状況は、全国で「届出件数」が2万2671、「事業廃止件数」が2471、「届出住宅数」が2万200となっている。同法施行前は全国に民泊施設は約5万6000あるといわれていたが、現在合法的に営業しているのは半分以下ということになる。
都道府県別では東京が最も多い。届出住宅数は東京都(東京都下)が190、23区が6775で合計6965件となっている。次いで大阪府、大阪市、堺市を合わせた大阪が2822件、北海道と札幌市が合計で2796件となっている。ひところ闇民泊問題が話題となった京都は京都府と京都市合わせて724件にとどまっている。
宿泊の実態はどうか。2019年8−9月の2カ月間の事業者からの報告数によると、全国における宿泊総日数は30万4879日。東京都が11万7864日で最も多く、次いで北海道(4万7396日)、大阪府(4万623日)の順。宿泊者数は総数が38万4999人。最多は東京都の10万1294人で、北海道(6万3993人)、大阪府(3万8550人)と続く。
■インバウンドは伸び悩み気味
民泊というとキャリーケースを引っ張った外国人客というイメージだが、実際はそうでもないようだ。事業者からの報告によると、利用者の内訳は日本国内に住所を有する者が15万5312人で40.3%。海外からの宿泊者が22万9687人で59.7%だった。前回調査(6−7月分)は日本が8万948人、海外が26万9249人だった。日本人利用者がほぼ倍増し、海外客が4万人近く落ち込んだ。韓国人の利用者が2万人ほど減っている。
外国人利用客の内訳は1位が中国(30.9%)、2位が台湾(10.5%)、3位がアメリカ(9.5%)、4位が韓国(7.8%)、5位が香港(7.5%)。この5カ国・地域で全体の3分の2を占めている。
政府は2020年のインバウンド数を4000万人とする目標を掲げているが、日韓関係の冷え込みによる韓国客の大幅減少により、2019年1−11月の訪日客は2935万5700人で、前年同期比2.8%増と伸び悩み、2019年通年の訪日客数は3200万人程度とみられている。2020年の4000万人達成は困難との見方が出ているが、数の目標を追いかけるのはもはや意味がないのではないか。
すでに全国各地の観光地でオーバーツーリズムの弊害が顕著になり、五輪を控えた東京の宿泊料金高騰も問題となりつつある。それでも政府は富裕層向けの超高級ホテルの建設やカジノ誘致などに熱心だが、それで一体誰が潤うのか。カジノ誘致では国会議員が逮捕される事態となった。前のめりの「観光立国」路線の中身と方向性を、冷静に議論すべきではないだろうか。
(文=編集部)
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