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異次元緩和の巨大なひずみ 目をつぶり続ける黒田日銀
https://www.asahi.com/articles/ASMDM63F8MDMULZU02C.html
2019年12月20日15時20分 朝日新聞
日本銀行の黒田東彦総裁=2019年4月撮影
日本銀行は今年最後の金融政策決定会合(12月18〜19日)で金融政策の現状維持を決め、19日夕、黒田東彦総裁が今年最後の定例記者会見を開いた。その内容は、あいかわらず想定問答原稿の棒読みである。日銀が政策を失敗していることの総括も、積み上げている国民負担リスクについても何の説明もなかった。
黒田日銀が「異次元緩和」と華々しく打ち上げてデビューしたのが2013年4月。気がつけば、あれからまもなく7年になろうとしている。
黒田総裁は最初の記者会見で「2年程度で2%インフレを達成する、そのためにマネタリーベース(日銀が市場に投入するお金の総量)を2倍に、日銀が買う国債を2倍に引き上げる」と公約した。「2年・2%・2倍・2倍」で市場を驚かせた、あの会見だ。
さて、それから2年どころか6年8カ月たった。いま目標の達成度はどうなったのか。
マネタリーベースは2倍どころか、3・5倍の511兆円になっている。しかし消費者物価指数の上昇率は0・5%前後にとどまる。2%目標よりはるかに低位を“安定”して推移しているのだ。(私は個人的にはこの安定状態を無理に変える必要があるのか疑問に思っている)
つまり7年たっても目標達成できる兆しがない、ということだ。論理的に考えればこれは「手段」が誤っていたか、「目標」をまちがえていたか、あるいはどちらもまちがえているか、いずれかである。
少なくとも、日銀が世界最大の量的緩和、異常なマイナス金利政策、中央銀行の常識を覆す長期金利コントロールといった「非伝統的な金融政策」をすべて動員しても物価は動かなかったということであれば、目標が誤っていると考えるべきではないか。ゼロ%台のインフレ率はもはや日本では「定常状態」になっていると考えたほうがいいのではないか。
欧米では数年前から、低成長・低インフレの日本経済の状態になることを恐れ、「日本化」という言葉が取り沙汰されている。「日本化になる前に金融政策の手を打て」というのが合言葉だった。
だが、その欧米の中央銀行も、実は日銀と同じような境遇になりつつある。あらゆる非伝統的な金融政策を打ち出して雇用が改善、株価は史上最高値圏という経済環境をつくりながら、インフレ率は2%目標よりかなり低い水準にしかなっていないのだ。
成長率も次第に下ブレしてきており、すでに日本経済にかなり似た状況になっていると言っていいだろう。
こうした日米欧の現状からもわかるように、金融政策で成長率やインフレ率を引き上げて好景気をつくる、というこの10年の中央銀行のもくろみはことごとく破綻(はたん)している。効果はほとんどなかったと言っていい。図らずも、中央銀行の力の限界を、中央銀行による社会実験で証明してしまったようなものだ。
ただこれは、中央銀行にはそんな力がありませんでした、で済む話ではない。問題は、その陰で異常な金融政策による副作用やひずみがたまっていること、政策コストが巨大であることだ。
日本では、国債市場でも株式市場でも日銀の存在感が大きくなりすぎた。日銀という巨大な買い手が引き揚げれば(つまり異次元緩和が終われば)、相場が大きく崩れるのはまちがいない。市場の参加者たち、企業経営者たちもそれが怖くて、もはや異次元緩和の終わりを望んでいない。そうとしか見えない。
19日の会見で黒田総裁はいつものように「緩和を粘り強く続けていく」と唱えた。「引き続き緩和方向を意識した政策をすることが適当だ」と、追加緩和まで選択肢になっていることも強調した。
要は、黒田総裁は副作用や深刻なコストには目をつぶり、「問題ない」との立場にしがみつき続けている。
どうやら巨大なひずみを積み上げ続ける異次元緩和に、当分「終わり」は見えそうもない。(編集委員・原真人)
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