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幸楽苑、突然240店一斉休業&客数3割減に…打開のため中華そば「10円」で販売
https://biz-journal.jp/2019/12/post_131609.html
2019.12.14 文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント Business Journal
幸楽苑の中華そば(「Wikipedia」より/Corpse Reviver)
ラーメン店「幸楽苑」を展開する幸楽苑ホールディングス(HD)が試練に立たされている。10月の国内直営既存店売上高は、前年同月比30.7%減と大きく落ち込んだ。それ以前は好調で、9月こそマイナスだったものの、8月まで11カ月連続でプラスとなっていた。このように少し前までは好調に推移していたが、ここにきて急ブレーキがかかったかたちだ。
10月は台風19号が大きく影響した。台風19号は土砂災害や河川の氾濫などを引き起こし、東日本を中心として各地に甚大な被害をもたらした。これにより、幸楽苑HDも甚大な被害を被った。福島県郡山市にある本社工場が浸水し、10月13日から操業停止を余儀なくされたのだ。また、この影響で東北を中心に約240店が休業に追い込まれた。これは全店のほぼ半数にあたる。
こうした状況を受け、神奈川県小田原市にある小田原工場で増産を実施し、郡山工場が管轄する店舗に食材を供給した。これにより、休業中の店舗の営業を順次再開することができた。ただ、休業の影響に加え、営業を再開した店舗の消費者への商品提供がしばらく通常の6割程度にとどまる状況が続いたことから、郡山工場が管轄する店舗の客数は大幅に落ち込んでしまった。
また、小田原工場は郡山工場管轄店舗に食材を提供しなければならなかったため、小田原工場が管轄する店舗において「塩野菜たんめん」などの人気メニューが販売できないという事態に陥った。そのため、同工場管轄店舗の客数も落ち込んだ。
こうしたことが影響し、10月の既存店全体の客数は28.9%減と大きく落ち込んだ。客単価は2.4%減だった。そして既存店売上高は30.7%減の大幅マイナスとなった。
このように10月はさんざんだったが、11月4日には郡山工場が操業を再開し、12日には全店で通常営業を再開することができた。そのため、今後は客足が回復するだろう。だが、店舗が休業している間に流出した顧客の一部が戻ってこないことも考えられる。店舗の営業休止を機に、かつての客離れに苦しんでいた時代に逆戻りしてしまう可能性がある。
■経営改革が奏功して業績回復
幸楽苑HDは、少し前までは集客に苦戦していた。競争激化やラーメンに従業員の切断された指が混入した問題が16年に起きたことなどが影響し、厳しい状況が続いていたのだ。17年3月期の既存店売上高は前期比3.3%減、18年3月期は1.6%減と落ち込んでいた。
こうしたこともあり、18年3月期の連結最終損益は32億円の赤字(前期は1億5400万円の黒字)に陥った。最終赤字は1997年の株式公開後初となる。
厳しい状況を受け、幸楽苑HDは経営改革を断行する方針を表明。不採算店の閉鎖を進めたほか、商品力強化を進め、競争力向上と収益性の改善を図った。
商品力を強化するため、看板商品のリニューアルを行った。18年4月に「あっさり中華そば」を「極上中華そば」に、「ギョーザ」を「餃子『極』」にぞれぞれ改良して売り出した。このリニューアルは成功し、19年4月までに極上中華そばは1200万食、餃子『極』は1600万食を売り上げている。
期間限定の商品を毎月のように投入したことも功を奏した。たとえば、18年5月に「野菜たっぷり味噌つけめん」を販売した。同年10月には「味噌カレーらーめん」、19年2月に「チョコレートらーめん」を売り出している。こうした期間限定商品が客数増に寄与したという。
こうした経営改革が実を結び、19年3月期は業績が大きく改善した。売上高は前期比7.0%増の 412億円、最終損益は10億円の黒字(前年同期は32億円の赤字)となった。
19年4月以降も期間限定商品の投入を続けている。4月に新元号の「令和」を記念して「令和紅白らーめん」を売り出したほか、8月にユーグレナと共同で開発した藻の一種のミドリムシが入ったつけ麺を投入し、9月に「中華そばクラシック」など過去の人気商品を復活販売している。こうしたことが奏功し、19年4〜9月期の既存店売上高は前年同期比2.0%増と堅調に推移した。
既存店が好調だったため、19年4〜9月期連結売上高は前年同期比2.2%増の206億円と増収だった。ただ、売上高販管費比率が上昇したため、営業利益は4.9%減の9億4200万円と減益になった。純利益は28.7%減の5億2200万円だった。建物の改修工事について受けていた損害賠償請求で和解金を支払うことになり、特別損失を計上したことが響いた。
19年4〜9月期は、特にラーメン類がよく売れた。同期のラーメン類の直営店売上高は124億円で、前年同期比41%増と大きく伸びている。全体の売上高に占める割合は前年同期が43.6%だったが、 19年4〜9月期は60.3%にまで拡大している。また、19年3月期(50.4%)よりも高い数値を叩き出している。期間限定のラーメンを相次いで販売したことが寄与したとみられる。
■残る台風19号の影響
幸楽苑HDが実行した経営改革は実を結んだ。さらに磨きをかけ、業績を大きく上向かせたいところだった。だが、台風19号で甚大な被害を被ってしまい、先行きに暗雲が垂れ込めている。店舗と工場はともに損害保険に加入しているということなので、この面の損失はカバーできるだろうが、流出した顧客を呼び戻せるかは不透明で、一抹の不安が残る。
もちろん、幸楽苑HDは客足を戻すために対策を講じてきている。まずは、台風19号の影響で休業していた店舗全店が営業再開したことを受けてキャンペーンを打ち出した。11月29日と12月6日の2日間、全国約500店で各店先着100人までの限定で、通常440円(税込み、以下同)する中華そばを10円で販売。また、101人目以降の来店客には、次回に中華そばが無料となる券を配布。お得感を演出して集客を実現したい考えだ。
期間限定商品でも特色のある商品を売り出し、集客を試みている。11月21日から期間限定で「平田牧場コラボ Wチャーシューめん」の販売を始めた。ブランド豚を手がける平田牧場と連携し、「金華豚」と「三元豚」のチャーシュー2枚を使用した贅沢なラーメンを開発した。価格は880円 と幸楽苑としては高めだが、高付加価値商品として訴求し、集客につなげたい考えだ。
当面は厳しい状況が続くとみられるが、客足を呼び戻せるかに関心が集まる。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)
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